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25(エレクトラ視点)

 馬鹿王子に首を絞められてから今生の人格であるエレクトラが表に出る事はなかった。


 まあ、今更出てきても今生の人格(エレクトラ)に、この体を返すつもりはないが。エレクトラこそが、この体の本来の人格だとしても。


 シオンは前世の人格である曽我紫苑を撃退した。


 それは当然だ。あの体で本来生きるべきなのは、今生の人格であるシオン・アーテルなのだから。


 私はシオンと逆の事をしている。


 私が今生の人格(エレクトラ)を消した訳ではない。それでも、結果的に、この体を乗っ取ってしまったのだから。


 魂が同じとはいえ、前世の人格(わたし)が、この体で生きるのは本来なら間違っているのだろう。


 女性として最悪で理不尽な死に方だとしても、菱崎藤子としての人生は、()()()、終わったのだから。


 だが、何の因果か、今生の人格は消滅し、前世の人格である「私」が目覚めた。


 前世とは異なる世界であっても美しく健康な体で「私」として再び生きるチャンスを与えられたのだ。


 ならば、私は生きたい。


 前世は体が弱く、ほぼベッドで寝たきりだった。


 とても人生を謳歌しているとはいえない人生だった。


 今度こそ人生を謳歌したい。


 それが間違っているとしても。


 許されないとしても。


 私にとっては幸いな事に、周囲は「エレクトラ」が変わった事にいぶかしんでも、誰も「前のほうがよかった」という人は一人もいなかった。


 エレクトラが最も愛するお姉様でさえ。むしろ、「私」になった事を歓迎している。エレクトラがした事を考えれば無理もないが。


 だからといって、前世の人格である私が今生(エレクトラ)の体を、人生を、乗っ取る事を正当化できるとは思ってない。


 それでも、エレクトラ・アーテルとして、だが「私」として生きていく。


 いつか、断罪されるその日まで――。



 


 


 





次話からウィスタリア視点に戻ります。

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