流れ星
みなさんは、流れ星を知っていますか? ある一定の状況下と条件で表れる、星の光です。今回は、そんな流れ星に纏わるお話し。
その子は言いました。
「流れ星にお願いすると叶うんだよ」
流れ星。私はいつしか見た光景を思い出す。流れ星は今までで、一度だけ、たった一度だけ父さんと見に行ったことがある。それは、綺麗で、美しく、そしてキラキラしていた。すると、その子はある歌を歌い始めました。聞いたことのある歌。星に纏わる歌。どこか悲しいようで、楽しいようで、思う歌を歌いました。歌うというよりかは口ずさんだと言った方が正しいでしょうか。
「明日、引っ越すんだ。だから、これで最後。ううん。最後じゃない。また会おうね! いつか、この一本の木の下で! 約束だよ!」
そう言ってその子は駆けて行きました。その日は雪がシンシンと降りました。悪魔はもう、いない。
あれから、5年。もう、あの子は覚えていないだろうか。約束は、覚えていないだろうか。そう思うと少し、悲しくなる。むなしくなる。それもそのはずだろう。もう、あの子はいない。消えてしまったのだから。
「今日は流れ星がよく見れるんだよ。だから、今度こそ約束を果たそうね?」
そして、辺りが暗くなった時に約束の木の下に向かった。丘の上にあるあの、木の下に。寒い。手が震える。手袋をしているのにも関わらず震える。マフラーしてきて良かった。午後10時を回った頃に約束の木の下に着いた。体を木に預けもたれる。そっと座り、空を見る。満天の星空。いつ流れ星が来てもおかしくはない。
「あっ今。お願い事すれば良かった」
流れ星は消えてしまった。すぐに消える。きっとあの子も願うことはできないだろう。速すぎるから。けど、次はお願いをする。そう心に強く誓い、もう一度空を見る。そして、光った。一つの星が流れる。手を伸ばせばつかめそうでつかめない星。落ちて行く星が流れた。
「あの子も見てますように」
と、願った。心だけじゃ収まりきれないから、声に出して。届くように。落ちないように。
天使はもう、いない。消えてしまったのだから。あの子は今、こうやって願っているだろうか? ここからじゃ分からない。でも、流れ星に願ったから、きっと叶えてくれるはずだ。5年。長いようで短いような年。寂しい。この寒さも寂しさのせいだろうか。分からない。けれど、きっと叶えてくれる。どこかで笑ってくれるように。
『会えた、やっと、やっと会えた』
はい。短編小説です。あと、二つ作ってる途中です。待ってて。