23 スキル〈火〉
「馬鹿!!よせ!」
「発火」
そう、兵の一人が呟くと炎が自然と蜘蛛の体に現れ蜘蛛の体を燃やした。
ギィギ…
俺はなんとなく…出来ると思い手のひらをその炎へと向けた。
「なるほど…これがスキルの力か」
炎は蜘蛛の体から分散し俺の手のひらへと吸収されていく。
スキル…〈火〉
力の全容は把握出来ないがどうやら火を操る事ができるらしい。
「返そうか…」
俺はスキルを行使する。
「日暈」
すると先程の火とは比べ物にならない炎が30人を囲い火の壁が現れ燃え上がった。
さて、彼らはどう出るか…。
先程の火はどうやって出したのか分からなかった。
もう少し、こちらの世界の事を知りたい。
「なっ…なんて事を…」
一人取り残された隊長であるカゲシゲは絶句した。
こんな巨大な炎が急に放たれ部下を覆ったのだ。
考えが追いつかない。
「水だ! 急いで水を早く!」
「発水」
「だめだ、こんな量の水じゃあ埒が明かねえ」
これはなかなか…やはりスキルは強力だ。
俺は目の前にいるカゲシゲを放置し興味深く火を観察する。
「頼む!! 部下を許してくれ!
代わりに何でもする!
金だろうと命だろうと、だから頼む!」
さてどうするか…。
実験を少しやり過ぎた。
おそらく彼らはこの火を何とかできる力を持ち合わせていない。
そう考えているとシュラが不意に俺の体を乗っ取った。
「ほう、命でも何でも…とな?」
突如として増大した殺気と荒立つ妖気に目の前で土下座している男は体を震わせた。
「そうだなぁ、30人分の命…。
貴様の命はそれに足る物なのか?」
シュラは笑い、跪き頭を垂れる人間を見据える。
「立て、そして妾と戦え。
貴様がそれほどの器の持ち主かどうか…確かめてやろう」
『おい、シュラ。
どうするつもりだ?』
しかし、シュラからの返事は無い。
全く後は適当に追い返せば良かったのになぁ。
いや、また軍を整えてやって来る可能性はあるのだが。
殺す…よりはましと思われる。
「どうした人間…立て。
それとも、このまま焼け死ぬ部下を見守るか?
貴様一人なら見逃してやっても良いぞ?」
カゲシゲは震え頭を上げることすら出来なかったがその言葉でようやく頭を上げ立ち上がった。
「死ならばもろとも」
刀を抜き構える。
カゲシゲはシュラを見据え斬りかかった。
「見事」
シュラは数太刀、浴びせられたがその全てを片手で軽く弾き最後には刀身を握り、止めた。
痛みは無い。
どうやらこちらは無傷らしく、それどころか更に握る力を強め刀を握り折った。
「妾は仲間の為にならばと命を捨てる様な阿呆は好きだ。
妾と貴様では天と地程の差がある。
それは戦う前より分かっておったな?
それでいて尚、貴様は自らの命では無く他者の命を選び妾と戦った」
シュラは満足げに頷くと刀から手を離し話を続ける。
「命…と言ったな」
カゲシゲはシュラから目を離さず折れた刀を捨て目の前に座り首を差し出す。
「無論」
シュラはそれを見て笑い、手刀を作り大きく振り上げ、それを下へと振り下ろした。
しかし、まだ首はついている。
「鬼刀」
シュラが切ったのは炎。
カゲシゲの後ろで燃えている炎の壁が切れ炎が消えた。
やべえ、シュラの奴。
やっぱつえー。
最大の敵は己の中にありと聞いたことがあるが…。
これは勘弁願いたい。
「去れ…。
そしてもう二度とこの地に踏み入れるな。
次は無い」
シュラはそう告げるとその場から歩き蜘蛛を引き連れ去っていく。
それを見てカゲシゲは息を整え、部下を見て命令した。
「撤退だ…」
…
「全く…人間を殺しそこねたな。
ルーク、貴様のせいだぞ?」
森の中を歩きながらシュラが話しかけてくる。
『殺す覚悟はあったが、別に殺さなくてもいいだろ?』
「だからお前は甘いというのだ」
蜘蛛の里につくとテンとイナリそしてアイノスケが出迎えてくれた。
アイノスケは人間の為置いといてテンとイナリはどうやら居残っていたらしい。
万が一の為ここから離れこの先にある天王山…妖魔の里へ帰るよう言っておいたはずだが…。
「お帰りなさいませ ルーク様」
「ルーク様」
「いやぁ、旦那。
見てましたがね、あの巨大な火。
さすがっすねぇ」
「黙れ、殺すぞ」
…
とある陰陽師達は、一連の流れを離れた位置より目撃していた。
その場から離れ依頼を受けた村へ戻る最中。
「やべぇ、やめだ辞め。
蜘蛛狩ったらあのぶっ飛んだ子鬼が出てくるんじゃ話になんね」
「それに、あの蜘蛛の群れはちょっと…」
「しょうがないわね。
ルークちゃんに頼んで蜘蛛何匹かなんて…。
でも…ちょっと待ってよ。
要は家畜をあの蜘蛛に襲われなきゃいいんでしょ?
それなら頼めば何とかなるかも。
あんた、あの森に偵察で入った事あるって言ってたわね」
アオイがそう言いイタズキを見る。
「馬鹿、冗談じゃねぇぜ。
あの森はもう行かねぇって決めた。
絶対だ!!」
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