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名も無き者

 売られそうになっていた亜人達は涙を流し息子や娘を抱き締め泣いていた。

 しかし、全員がそうだった訳ではない。

 天狗族のテンと妖狐のイナリは俺の側で少しでも離れまいと白衣を掴んでいる。

 

 話を聞くと、二人共、単独で捕まったらしい。

 里を出て二人でこっそりと落ち合い遊びに行った。

 までは良かったのだが、道に迷い人里近くまで山から降りてしまったそうだ。

 

 うん…何というか…子供らしい。

 きっと親は今頃は血眼になって探しているのだろう。

 

 そして彼ら他、3組の親子は人里におり、食べ物を買い込んでいた際に捕まったらしい。

 酷い話だ。

 

 お金は山賊と一緒に風魔法で飛ばしてしまった為、もう無い。

 本日初やらかし…。

 そして、よく考えれば他の山賊を飛ばした為、檻に入れといた山賊…このままだと助けが来なくて餓死する。

 しかし…また開けに行くのはかっこ悪い…。

 俺はそう思い、目の前の男を呼んだ。

 

 「アイノスケ君、この鍵を洞窟の檻の中に放ってきてくれたまえ」

 「任せてくだせぇ旦那。

 そんな雑用ならいくらでも…へい」

 

 彼は、こういった雑務に向いているらしい。

 言われるがままに走って行きすぐ帰って来た。

 きっと、今までこうして生き繋いで来たのだろう。

 手慣れた速さ。

 便利な事、この上ない。

 

 「旦那! 放ってきやしたぜ!

 次は何をしやしょう?」

 「次はそうだな…うん…」

 

 どうするか、とりあえず拠点が欲しい所だ。

 この世界で活動、調査、そして捜索する為の。

 そのためにはまず…人の村にでも行くべきだろうか?

 しかし、妖魔は嫌われており、下手をすれば捕まえられる可能性すらある。

 となると、妖魔の里か…。

 

 「よし! 決めた。

 まずは妖魔の里とやらに向かうことにする。

 テン、イナリ。

 場所を教えてくれ」 

 「えっと」

 「その…、私達も迷子になって…その道が…」

 

 しまったそうだった。

 子供に頼るべきでは無い案件だった。

 ならば大人は…。

 着たいを込めた目で見る。

 するとやはり知っている様だった。

 白い髪をした犬神族の大人がオロオロとしながらも話し出す。

 

 「あの…正確ではありませんが…。

 大体の場所なら分かりますよ」

 

 

 ✿❀✿❀✿

 

 火の上がる村、少女は一人その中で佇んでいた。

 

 いつもの様に帰りを迎えてくれる村の人達はいない。

 帰る家は火に包まれ跡形もなく潰れてしまっている。

 

 「お婆ちゃん!! お爺ちゃん!」

 

 少女の叫び、呼ぶ声に返事は無い。

 ただ、炎に包まれた家がギギギ…パチパチと音を立て崩れていくだけだ。

 

 「あっ!」

 

 ズシャリ

 

 何かに躓き転んだ。

 それを見ると人形の何かだった。


 「…何これ…?

 お婆ちゃん!! お爺ちゃん!!

 どこにいるの!?」

 

 怖くなり少女は起き上がると血が滲み出る膝を無視し涙を流しながら村を彷徨う。

 

 グガァアアアア!!

 

 そんな中、空気が震え炎が一時的に消える程の唸り声がこだました。

 少女は恐る恐る声がした方へと歩み、それを見る。

 瓦礫の中に立っている赤い体に角。

 鬼だ。

 鬼が炎の中を平然と歩き暴れ回っている。

 

 あいつが…村を…。

 

 鬼は何かと戦っているらしく、大きな声で唸り、黒装束の集団に向かって行く。

 悪霊払いだろうか?

 きっとそうだ。

 悪い鬼を退治しに来たに違いない。

 

 少女はそう思いながら意識が遠くなっていくのを感じる。

 疲労からか…煙のせいか、この熱気のせいかは分からないが抗うすべも無くそのまま地面に倒れ込み意識を手放した。

 

 …

 

 暖かい…気持のいい心地だった。

 どうやら、抱きしめられている様でとても安心感がある。

 目を開け見ると森の中、誰かに抱っこされ運ばれているらしく木々が離れていく。

 

 横を向きその顔を見ると黒装束を着た女性だった。

 

 「起きた? 起こしてごめんね…。

 もう少しで安全な……場所につくから」

 

 女性の声は少し、違和感があった。

 どうやら痛みをこらえているらしく、どこかフラフラとした足取りだ。

 

 「大丈夫? お姉ちゃん、血が」

 

 頬から流れる血を見て少女は心配そうに尋ねる。

 女性は左袖でその血を拭う。

 

 足を引きずり腕からも血が垂れ息も荒い。

 それでも少女は確認したい事があり聞いた。

 

 「ねぇ? お爺ちゃんとお婆ちゃんは何処?」

 

 その問には沈黙が長く続いた。

 なんと応えるべきだろうか…。

 あの村に生き残った人は私とこの子だけ。

 この子の言う人達はきっと…。

 

 「す…少しの間、出掛けてる。

 だからその間は私が、面倒を見るようにって頼まれたの」

 

 嘘だった。

 正直にもう死んでこの世にはいない、と伝えるべきだったのだろうか?

 これまで、戦いしかして来なかった私には分からない。

 

 それでも…私はこの子に光を見た。

 暖かな光、この暗く冷たい世界の中に浮かぶ、まるで太陽の様な光。

 

 よく、分からないけど私は…この子と暮らしてみたいと思った。

 読んでいただきありがとうございます     m(_ _)m

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