第四話
私は会場を出た後、ミルトン家の馬車に乗り、屋敷へ帰った。
馬車の窓を眺めながら、ふっと思ってしまった。
2人はどうやって恋仲になったのだろうか?いつ2人の間に愛が芽生えたのか?どこまで関係入ったのだろうか?今でも2人は会場の庭で愛を囁いてるのかしら?
前世から小説を読む事に好んでた私は何故か第三者目線で見てしまう。自分の周りで起きた事なのに…
(ふふ、私にとってもう彼らは他人なのね…)
そう思っていたら、いつの間にか屋敷に着いていた。
私は馬車から降り、屋敷の玄関に向かおうとしたら、私の専属侍女のサラが玄関の扉を開けてくれた。
「おかえりなさいませ、お嬢様。今日はお早いお帰りで。」
「ええ、ただいま。色々ね…。お父様は家に居るかしら?」
「はい、書斎に。お嬢様、もしかして…」
「ふふ、サラは察しがいいわね。さすがね。そうよ。噂は本当みたい。」
「そうですか…」
そう話しながら屋敷の中に入った私はすぐにお父様の書斎に向かった。
「お嬢様。」
「何かしら?」
「お嬢様にとって使用人の心配など要らないでしょうが、言わせてもらいます。」
「ええ、いいわよ。」
「お嬢様が何を望もうと、私はそれを従います。お嬢様の幸せの為なら、私は命をかけてでも何でもします。なにせ、お嬢様は幸せになる権利があるのですから。」
「…」
驚いた。正直、サラはいつも無表情で、あまり何を思って考えてるかわからなかった。
サラは私が学園へ入学した時に出来た私の専属侍女。
その時私は学業で忙しかったのもあり、サラとはあまり会話が出来なかった。
ちゃんとした(?)会話といえば、私がちょっと弱音をポロっと言うぐらいだった。
そんな小さな交流しかない主にこんな事言えるだろうか。普通の使用人とは思えない律儀さ。私に何か恩があるぐらいに…
「ふふ。サラありがとう。そんな風に思ってくれたのね。でも命は大切しなさい。」
「しかし…」
「気持ちはちゃんと受け取るわ。あなたのお陰で気持ちが楽になったわ。ありがとう」
「い、いえ。ただの使用人の為にそんな言葉…」
「私がしたいから言ってるのよ。私の自己満足。受け取って。」
貴族にとって世話されるのは当たり前なのかもしれない。でも感謝の気持ちを言わないのは違う。私達貴族が贅沢出来るのは使用人、そして平民たちのおかげ。だって大変な掃除、洗濯、料理をしなくて済むのよ?なんて幸せなのかしら。
こんな侍女を持てて私は幸せ者ね…
そう思いながら話してたら、お父様の書斎の前に着いた。