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ダンジョン泊②

 俺の荷物増量は許容範囲だ。楠葉さんも、そこまできつそうでは無い。

 しかし撫子は一日分の水と食糧の重さでジワジワと体力を削られ、夕方頃、普段帰る時間には疲労困憊といった有り様だった。

 撫子と俺たちの体力差が露骨に現れていた。


「まぁ、慣れるまでは大変だよな」

「撫子ちゃん、荷物、少し持とうか?」

「大丈夫、だよ。お姉ちゃん」


 後半の撫子は休憩してもすぐに疲れるので、早めにモンスターと戦うのを切り上げようと思った。

 だけど撫子は疲れを理由に稼ぎを減らすのをよしとせず、根性を見せた。


 結局、狩りの時間はいつも通り行われた。





 夕方になれば、寝るところを設営しないといけない。

 と言っても、迷宮内なので寝床を整えるだけで、そこまで複雑なことはしない。

 そして寝床を整えると言ったところで、モンスターの侵入を知らせる罠を置くだけだ。「ここからここまで俺たちの陣地だから入ってくるなよ」という、他の冒険者への警告とも言う。

 風の吹く屋外ではないので、寝袋さえあればわりと適当でもなんとかなる。極論だが、寝ている最中、地面に体温を持って行かれなければそれで良いのだ。



 なお、野営で一番警戒するのは他の冒険者モドキだ。


 モンスターは小鬼しか出ない場所を選んでいるので、そちらは寝ずの番をしている人間一人でもどうとでもなるのだ。撫子以外なら。

 寝ている冒険者を襲う強盗もいるので、陣地内に入ってきたら問答無用で殺す(・・)ように言ってある。できなくても俺をちゃんと起こせと。


 これも、割り切れないなら冒険者を続けるべきでは無い話である。



 あとやるべき事は食事の準備。

 火を熾し、軽く温めたものを口にするだけなんだが。


 この日の夕飯として用意したのは、干し肉と葉野菜を煮込んだだけのスープに、パン。

 干し肉の塩味がスープに染み出して、煮込んだと言うより湯に潜らせただけと言った方が良さそうな野菜に味付けをしている。そのスープでパンを柔らかくして食べている。

 不味くはないが、あまり美味しいとも言えない手抜き料理。

 ダンジョン内でこった料理を作るのはほぼ不可能といっていいので、文句を言う気も無い。



「寝ずの番だけど、楠葉さん、俺、撫子の順でいいよな?

 時間はこの砂時計を使ってくれ」


 そこそこの飯で腹を膨らませたら、後は寝るだけ。

 寝ずの番は、俺が一番厄介と言われる真ん中の時間を選んでおけば問題ないだろう。


 二人からは特に反論もなかったので、明日に備え早々に寝てしまうのが良い。

 俺は防具を外し、剣を鞘にしまったままだが傍らに置くと、そのまま寝袋に潜って目を閉じた。


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