第六便「快便魔法」
レーディング引っ掛からない様にひっそりと......
「哈あああああ!! 」
「便秘解消拳、奥義! 健膓便壊拳! 」
便秘スレイヤーの両親指が、王女ルスウェットの細いウエストに突き刺さる!
だがその素肌に傷一つ付けないその技は、膓に響き、内部の便を破壊する技であり。
その場で脱糞させてプライドを傷だらけにする大技でもある!
だが......
「馬鹿め! 引っ掛かったな便秘スレイヤー! 」
「 何!! 」
ここにおいて王女ルスウェット(トゲグッソ)は物凄い勢いの屁を噴射!
「そんな技利きませんわ......おべべべべうんほおおおお!! ブブブブブブベベベブベッブベッベバビインバッビインッブッボオオオオオオオオ(大放屁)」
あまりに臭い為に周囲の植物が枯れ果て、美しく囀ずる小鳥が醜い声を出してもがきながら墜落し。
沢山の猫が、次々にカメラ目線でフレーメン反応をしたまま固まって気絶する。
その有り様は正に......
スメルキングダム(悪臭王国)である。
便秘スレイヤーがその勢いで激しく吹き飛ぶと、大きな岩壁に叩きつけられ吐血する。
「ガハッ......」
そうやはり生前の実力は取り戻せていないのだ、以前の彼ならこのような失態を犯す事はないだろう。
「いい格好だな便秘スレイヤー! このヴァリカタベン四天王の一便! トゲグッソ! 」
「まだ未成熟な貴様と戦う事を想定して、この世界の魔法の呪文パワーの最前線である、スペルキングダムを乗っ取ったのよ! 」
王女ルスウェット(トゲグッソ)は放屁によるホバリングで、神々しいポージングを決めて便秘スレイヤーを見下して言う。
「快便闘気を食らっても、便が出なければ良いじゃない! 」
「全て"屁"に変換すれば、便秘解消拳なぞ恐るるに足りず! 」
彼女は王族が持つ強大な魔法の力で、余すことなく便秘スレイヤーを追い詰めようと......
「便秘スレイヤー、貴様は屁が燃える事を知っているか!! 」
爆発させるべく、屁に松明の火が投げ込まれる!
......そう! 放屁爆発だ!!
轟音が響き渡り!
黄土色のキノコ雲が大きく立ち上る!
「うおおおお!! 」
快便闘気の防御により、この爆発から逃れる便秘スレイヤー。
だがこのままでは打つ手がない!
「さあどうした便秘スレイヤー! 私を脱糞させて見よ! 」
もう意識がルスウェットなのかトゲグッソなのかわからないほど、混ざりあった声が響く。
しかしここで便秘スレイヤーは何やら、手を合わせて身構えた!
「また快便闘気を放つのか?! 無駄だ! 」
「この王族ルスウェットの"変換防御魔法"は、貴様の未熟な快便闘気を全て屁に変える! 」
「つまり今の貴様では太刀打ち出来ないのだうんべべべべブヒヒヒバビビビ!! 」
更に放屁が周囲に広がる!
ついには世界の土魔法を司る大地の精霊までもが、屁の臭さに耐えきれず、地に堕ちて溶け始めている!
このままでは世界の魔法の均衡が危うい。
つまり世界が匂って危ないぞ、便秘スレイヤー!
「ならば......私も"魔法"を見せよう! 」
立ち上がった便秘スレイヤーは正面に両手を握りしめ、魔法の力を溜め始めた!
「馬鹿め! 血迷ったか! 便秘スレイヤー! 王族でもない英雄でもない貧農の三男である貴様が魔法だと?」
「笑わせるな! 」
ルスウェットが強大な魔法力を見せつける様に放出し、バリアを形成。
「有りとあらゆる魔法を止められる"絶対防御壁"!! 」
「この防御の前にどんな魔法も意味を成さない! 」
余りにも強大な魔法防壁の存在は巨大な城壁の如く、便秘スレイヤーに立ちはだかる!
最早無いに等しい程の貧弱な魔力を集めて便秘スレイヤーは言う。
「農家の魔術は空気を圧縮させて冷気を作る保存の魔術......だが」
「今ここで圧縮するのは......空気ではなく!! 」
便秘スレイヤーは握りしめた両手をゆっくりと開く!
「私の全開放出された......"快便闘気"だ!! 」
そう......便秘スレイヤーの突き出された両手の中で、膨大な"快便闘気"が圧縮された球体となって神々しく輝いているではないか!!
「な......なんだとおおお!! 」
ルスウェット(トゲグッソ)が怖じ気づく!
圧縮された快便闘気は、もはや今まで受けたどんな便秘解消拳のモノよりも強大だ!
便秘スレイヤーは魔法を撃つべく構えて言う。
「これが、この魔法の世界で生み出された最初の"快便魔法"!! 」
「「 快便闘気砲魔法だ!! 」」
ついにその魔法、快便闘気砲魔法が放たれる!
高濃度で圧縮された快便闘気は、強力なエネルギーの奔流となって絶対防御壁に突き刺さり!
ルスウェットにより屁に変換されながらも、勢いを失わず。
轟音を鳴らして絶対防御壁を打ち破ると......
矢の様な形となり、ルスウェットを撃ち抜いたのだ!
「ぐああああああああ!! 」
快便闘気の矢がルスウェットの腹に突き刺さる、だがルスウェットはそれらを変換する為に魔法力を結束して耐えしのぶ!
「うがががが!! こんなモノで倒せると思うなよ! 」
だがその目の前にはすでに便秘スレイヤーが立っていた。
そして便秘解消拳最大奥義を見せる!
「今こそ見せよう! 」
「便秘解消拳!! 奥義!! 」
「「 無腸便製!! 」」