第五便「やめろその技は俺に効く」
ひっそり更新
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「兄ゲリーの犠牲......無駄にはしない......」
もう兄は逝った者と悟り、一直線で王宮を走る便秘スレイヤー。
そんな便秘スレイヤーの前に、あの王女ルスウェットが現れる!
「穢らわしい......このような魔力の持たない劣等民に助けを求めなければならないなんて......んぎあぎゃいいい!! 」
よくある魔法世界の王族ムーヴをかます王女ルスウェットだが......
その腸はヴァリカタヴェン四天王"トゲグッソ"に制圧され、傀儡も同然である。
そして操られるままに便秘スレイヤーに攻撃を仕掛ける。
「魔力の無い貴様では、耐えられまい......ファイヤーボール! 」
空間に形成される火球、この世界ではポピュラーな炎属性魔法だ。
だが強大な魔力を誇る王族が使うと、その大きさは通常の手のひらサイズとは違い。
その大きさ足るは、直径が王女の身の丈は有りそうな大火球。
骨まで焼き付くす地獄の業火が今、便秘スレイヤーに襲い掛かる!
危うし! 便秘スレイヤー!
彼は所詮、体は魔力の無い貧農の三男である。
食らえばひとたまりもないだろう。
だが......
「哈アアアアア!! 快便闘気!! 」
彼は快便闘気を練り上げ、火球に向けて発射する!
「血迷ったか便秘スレイヤー! 魔法は便などしないぞ! そのまま死ねええ! 」
ルスウェットに巣食うトゲグッソが笑う!
だがその笑いとは裏腹に......
強大な魔力のファイヤーボールが......
霧散した!!
「馬鹿な!? 何故だ!! 」
驚きの声をあげるトゲグッソ、同時に宿主でもあるルスウェットも驚愕している!
トゲグッソがルスウェットに代弁させて語る!
「これは......まさか! 炎の精霊が脱糞しているのか! 」
以前、神をも脱糞させた便秘スレイヤーの快便闘気は......
魔法を司る精霊ですらも容易に脱糞させてしまうのである!
その衝撃は周囲の炎の魔法全体を機能停止させるほどに迷惑であり。
本来、便すらひり出さない精霊に、無理矢理に便秘を解消させるという驚異的な道理を与え......
悶絶昏倒させるという結果をもたらした。
「ええい! 炎の魔法が駄目なら他の魔法で攻撃しろ!! 」
ルスウェットが精霊に語りかけ魔法を発動しようとするが......
当然、残りの五大元素全ての精霊が脱糞を恐れ完全拒否。
......発動すらしなくなった。
「なんということだ! 便秘解消拳は魔法をも脱糞させるというのか!! 」
一気に抵抗力を失ったトゲグッソだが、ルスウェットの意識を操って劣等感を与え。
便秘スレイヤー攻略の手立てを考えさせた!
「王家の召喚に呼応せよ! ロイヤルドラゴン! 」
そう......精霊が駄目なら別の魔法生命体を使役すれば良いだけの事。
彼女はこの世界最強の生物である......
"ドラゴン"の助力を得たのだ!
「ドラゴンの爪や牙ならどうかしら!(炎は精霊脱糞のせいで出ないから) ......以下に修行を積んでも所詮は人間! 」
「肉体の強さの限界は変えられない! 魔力の無い人間なんて尚の事! 」
「「 行け!! ドラゴンよ、奴を潰してしまえ!! 」」
ドラゴンが咆哮と共に便秘スレイヤーに襲い掛かる!
その爪は鉄をも引き裂き、その顎は岩をも砕く!
そのような戦闘力の暴君が、便秘スレイヤーを捕らえようと顎を開いた!
......しかし。
「「便秘解消拳!! 奥義!! 」」
「「 便斬腸断破!! 」」
ドラゴンの頭から尻まで快便闘気が突き抜ける!
激しい快便闘気エネルギーは、ドラゴンを弾き飛ばした!
「ハハハ!! それだけか便秘スレイヤー! ドラゴンは傷すらついておらぬぞ!! 」
「立てロイヤルドラゴン、便秘スレイヤーを踏み潰せ! 」
しかし無傷の筈のドラゴンは立ち上がらない......
「まさか......泡吹いて気絶しておるのか! ドラゴンが!? 」
「信じられない! 最強の生物がこうも簡単に! 何故だ! 」
ドラゴンが神話の生物であるが殆どが爬虫類ベースである。
爬虫類は咀嚼を行わない、噛み砕いては吐き出し、また噛み砕いて飲み込む。
咀嚼をしないというのは鳥類も同様であり、消化に時間がかかり、胃腸への負担は人間の比ではない。
更に爬虫類はとても腸がデリケートなのである、体調を崩すとすぐに下痢になる......
つまり、無理矢理下痢にするような存在である便秘スレイヤーは。
......天敵も同然だ!
ピクリとも動かなくなってしまったドラゴンに唖然とするルスウェット......
そんな彼女の前に遂に便秘スレイヤーがたどり着いた。
「ヴァリカタヴェン四天王の一便......刺腸のトゲグッソ!! 」
「今貴様を、その女性からヒリ出させてやろう! 」
そう言うと便秘スレイヤーは、快便闘気を練り上げ飛び掛かった!