第三便「ゲリーによろしく」
ひっそり更新
暫くの時間が過ぎる。
ここはとある異世界の農村。
便秘スレイヤーはここで貧農の三男として転生した。
長男は跡取りに、次男は魔法の才能を開花させて都に、三男は便秘スレイヤーに、四男はボンクラで引きこもりに......と
突っ込み所が多い一家だが現実は非常である。
産まれてすぐに言葉を語り、オギャアと三回泣く度に......
「名前は便秘スレイヤーでよろしく」
と言い放ち両親の腰が抜けた。
そして僅か三才で便秘スレイヤーは使命に覚醒し、日々便秘との戦いに勝つために修行を始めていた。
突きで田畑を耕し、兄弟の便秘を解消して肥料とし......
サルモネラ菌との調和と理解で作物を育てた。
そんな彼が十才になったある日、彼は暴漢に襲われる!
「ヒャッハー! 食い物と水を置いてけー! ついでに金も女もだー! 」
現れた暴漢達は、モヒカンとサイズピチピチのレザーの服であしらった世紀末スタイル。
彼らが極めた暴漢道は、今日も何処かで犠牲になる為に主人公に立ち向かう。
運命がそうさせたと、宇宙が決めた理だと。
そして今日も儚く散るのだ!
「未だ実力は全盛期の半分にも敵わず、だがここで討ち果たさなければ便秘スレイヤーの名折れ、その便! 存分にヒリ出そう! 」
三才の時点で体の便が透けて見え、十才には触れずとも便を操作する技を体得する。
今こそ便秘解消拳復活の時。
「何言ってんだこのガキ! 大人しく人質になれば命ばかりは取らねえぜ! 」
「ついでに金が無ければ、食料だけでいい、親の形見の剣とか、妹に被せる予定のケーブとかはフラグになるから要らないぞ! 」
この暴漢は警戒心の塊の様だ。
だが相手が悪い。
目の前に居る少年は、決してチートを授かった現代人ではなければ、親の七光りで伝説の剣を振りかざす勇者の末裔でもない。
だたの便秘スレイヤーなのだ!
迫り来るモヒカン集団、便秘解消拳が今異世界で炸裂する。
「便秘解消拳奥義! 」
「「 袴壊牛歩拳!! 」」
打ち込まれる手刀による付きの連打。
モヒカン集団が嗚咽を漏らしながら躍り狂う。
......そして
ブリブリブリブリブリブリブリブリブリブモゴモゴモゴモゴビチイイ!!!
モヒカン集団のズボンが、まるで風船の様に激しく膨らみ。
たちまちその下半身は醜い姿に成り果てる。
「......ああああ......ト......イレ、トイ......レ(ふらふら)」
汚いみなし◯ハッチと化したモヒカン集団は、トイレを求め内股で牛歩で進みながらゾンビのごとく......さ迷うのであった。
(みなし◯ハッチを検索すれば、彼らがどの様な下半身の状態か解るかもしれない)
「全盛期の半分に満たない快便闘気......だが技は、この便秘スレイヤー魂が記憶しているぞ! 」
「後数年もすればきっと......全てを取り戻すであろう」
新たな復活への決意に燃える便秘スレイヤー、そんな彼がある日......敵の臭いを感じとる。
(この微かな臭いは......便秘のガス......)
(一体何処から......)
立ち込める悪臭......便秘スレイヤーはそれが便秘の屁である事を感じ取った。
ヴァリカタヴェンの気配はすぐ近くに有るはず。
だが......ここで臭いの方角を見る便秘スレイヤーの前に......
巨大な王宮が存在していた。
そう、それはこの世界の最大の魔法王国......
「スペルキングダム」
である。
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五年の歳月が経った。
便秘スレイヤーはおおよそ、全盛期の七割の快便闘気を取り戻し。
二キロ先の便秘を、闘気でスナイプして解消するまでに至る。
だが立ち込める悪臭は止まることを知らず、それどころか益々その勢いを増し。
今や世界に名の知れた伝説の王国、スペルキングダムは......
今や地に落ちた王国となっていた。
都で魔法の修行をしている兄ゲリーの手紙が届く。
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拝啓我が弟、便秘スレイヤー。
王宮集辺から謎の悪臭が立ち込めている、王族の誰かが酷い便秘になっていると言う噂だ。
便秘スレイヤー、お前の力を借りたい。
便秘スレイヤーの持つ......
あの"業"で、是非ともこの国の未来を照らして欲しい。
お願いだ便秘スレイヤー、このままでは世界に名だたる魔法の王国「スペルキングダム」が......
悪臭蔓延る「スメルキングダム」になってしまう!
助けてくれ!!
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便秘スレイヤーは兄からのSOSを受け取った。
奇しくも彼の長き戦いの初陣であった。