哨戒
午前8時00分
自衛隊の偵察により、周辺状況が明確になって来たが、そのせいで政府官邸サイドは大混乱に陥っていた。
時間は少々前後する。
午前6時00分
自衛隊は政府の指示により、周辺への偵察任務へと赴いていた。
その時点で各方面み自衛隊は送られていたが、その西へ赴いた機体から驚愕の情報がもたらされた事により、自体は急変することとなる。
まず北や南へ向かった機体は良かった。
北は樺太や千島列島等の確認が取れたことにより、正常と判断され、南も沖ノ鳥 島や南鳥島までの範囲が偵察されたが、異常無しとのことだった。
しかし、対馬方面からの情報により事態は一変する。
対馬へ向かった機は順調に対馬を確認するとさらに先の朝鮮半島方面へと向かっていた。
何故ならば、最近は政治の問題で対立気味だが、それでも最も近い外国なのだ。
直接飛んでいって通信をしようという試みだった。
しかし、一向に陸地を発見することは出来なかった。
本来ならば、もうとっくに陸地が見えてもいい頃であるはずであるが、対馬以降は島一つ見当たらない。
たとえ夜間飛行だとしても、流石に海と陸地の区別はつく。
この事態に搭乗員はありのままの情報を政府側に伝えた。
政府側も困惑気味であった。
朝鮮半島消失なんて言う報告が着たら誰でも一度は報告の内容を疑うであろう。
しかし、そうも言っていられない事態が起こる。
沖縄方面へ向かった哨戒機からも同様の報告が発せられたのだ。
沖縄方面へ向かった機体は沖縄本島を越え、尖閣諸島や与那国島へ向かっていた。
もし、今回の事態が中国の攻撃だとすると、一番最初の攻撃の的となるのは尖閣諸島周辺である。
なので搭乗員も注意して、哨戒任務に向かっていた。
しかし懸念事項であった尖閣諸島への攻撃は存在せず、搭乗員、政府側両方とも安堵の息をもらすのであった。
しかし、これにより更に事態の謎は深まった。
当初から、政府側はこれは他国の攻撃であると思っていたため、その仮想敵国筆頭である中国を疑っていたのである。
だが、今回の偵察結果によりその可能性も無くなり、原因が更に分からなくなった。
頭の痛い政府はその哨戒機に対馬側と同じく、台湾との交信を図る様に命令した。
しかし、やはりその意図は達成が不可能となった。
前述の通り、台湾の発見も出来なかったのだ。
与那国島から少し西へ行けばすぐに台湾領空である。
普通なら直ぐに警告の通信が入るが今回はどの周波数に合わせても民間も軍も全ての無線に応答が無い。
仕方なく台湾が存在したはずの座標の場所まで飛行してみるが、やはり島一つ存在せずに大海原が広がるだけであった。
この報告により、政府は大混乱であった。
この頃午前6時を回り、夜が明けてきたため目視による哨戒も可能となった。
それにより、政府は北はウラジオストク、西は中国大陸、南はグアム等の更に広い範囲での偵察を決定した。
そして、そこで自衛隊はとんでも無いものを発見することとなる。