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さようなら異世界

作者: konakusa


神殿の奥、神しか立ち入ることが出来ないその場所で老婆が一人杖片手で立っていた

あたりは薄暗く風の音すらも聞こえない


「神よ、お前の契約に則って儀式を行うことにする。 まさかこの儀式をすることになるなんて思いもよらなかったが・・・・すまない、ティーレ」


よわよわしい声で、最後に最愛の人の名を口にした

その声は彼女にとって謝罪の言葉であり、そして覚悟の言葉でもあった

そして彼女は紡ぐ


「我契約を終え正しき世界に今帰還する」


この言葉と共に、神殿は光で埋もれ数秒のうちに光が消えそしてだれもいなくなった



今から50年ほど前の事、この世界に神の代理人、巫女が神殿その奥の神域へと現れる

巫女は、神の力であった光の魔術にて世界にはびこっていた魔物と瘴気を吸いすぎた魔王を討滅に10年という歳月で達成させた


巫女はそれだけではなく、その膨大な知識で周辺諸国の国々を導き世界を覆いに発展させた、すべてをやりおえると、巫女が現れた国の国王の求婚によって結婚、それから40年あまり王妃としての生活を送る

国王は結婚してから39年後になくなり王妃も難病を患う

それから一年がすぎ、王妃の戴冠式をした元巫女はその日にその足で神殿の奥へとすすみ、その後二度と神殿から出ることはなかった




暗い暗い空間の中で老婆は一人、昔の思い出を思い出していた


彼女はサクラ=イナバ、ある世界で神の代理人、巫女をして大国の王妃として異世界で五十年の歳月を送った女性である


(そう、あれは忘れはしない五十年前、私が三十歳の誕生日を迎えた日だった)


稲葉 桜 異界渡りで巫女として王妃としての人生を送った自分の本当の名前の書き方


私は異界渡りをする前まで、とある大学の歴史の准教授をしていた

といっても、それ以外に得に何もなく年齢でいけば29歳までそこの大学に在籍していた

そして私の30の誕生日の日に、尊敬する教授の研究発表を見にいくため新幹線に乗り寝ていたら知らない間にどこかしらない古い建物の中にいた


ここ? え? と頭は既にパニックになったのをよく覚えている

辺りをみわたすも誰もいなく、所々壁の石にヒビが入っていて草の根がつるのようになって壁に巻きついていた


私の職業は歴史学者で、主に古代遺跡の発掘で世界を飛び回るばかりの人生も何年か送っていたから、この建物がもう数百年は過ぎているであろう事はわかったし人も出入りしていないだろうと言うこともわかった


どこだろうか、ここは? と考えながらとりあえず建物の出口をさがすために立ち上がると、一瞬地面が揺れて目の前の壁が崩れ奥に通路が現れた

呆気にとられて数分してから、我に返り緊張しながら奥(?)へと進むと、今度は大きな石の扉があって、ダメもので押すのを試みるとなんともあっさりと石の扉は前に動き外へと出た


そしてすぐにその場にいた神官の一人が私がこの扉から出てくるのに発見し、大騒ぎになり、私は人を発見したのに何故か大騒ぎになってどうしようと固まってしまう

しかしまぁ、事情もすんなり教えてくれて神官曰く私は神門をくぐってきた神の代行人でその扉の奥には(私が眠っていた場所)神と神の代行人しかいくことが出来ない神域だそうで、神が人間に与えてくださった救世主なんだって言われた。そしてここが異世界で私のいた世界ではないだろうとも知った


三十代の私は、職業が歴史学者だったので異世界? うんぬんのことは、知識になく下の妹がそういうのが趣味で、学生の頃に聞かされた位で今の自分の置かれている状況が理解できなかった


そのあと、国王と面会し何故かこの国の問題の改善のために神託をくれといいだすわ、自分がこの世界を救うために異世界から呼んだ巫女だと神に夢の中で言われるわ意味の分からないことだらけの日々を過ごした


巫女の使命は魔族と呼ばれるこの世界の負のエネルギーの凝縮体を消すことでそのために神によって膨大な魔力と光の加護を貰った

 

それから、この世界に来てから十年でようやく私の巫女しての使命は終わりを告げた

十年の間に私の発言でこの国と周辺諸国が大きく代わり、私がいた世界に近い制度を取り入れた憲法に変わるわ、人間同士の差別があってそれが前に比べ少なくなるわ、食料は改善されるわとよりよくなっていった


私と親密な関係であった国王は、10年がたって35歳になった

私は、こちらに来た当初に皆が私の年齢を年齢も10歳のサバ読みしていて20歳って言われていた、それで巫女の仕事が終わったときははみんなの認識では30歳となっていた、本当は40歳だったのに

そんな折、役目を終えこれからどうするか考えている最中、国王から結婚の申し込みをいただいた。そして同時に神からの神託で元の世界に帰る方法を聞かされた

結婚の返事は申し訳なかったが保留にさせていただき、私は神託にあった帰還方法について考える事にした


方法は簡単

神域にあった陣を描き、神との契約で巫女としての役割の終了を継げることでいい

しかし、帰還には代償を伴った、残りの寿命の四分の三を削られてしまうらしい

それを聞かされたとき、思わず私は笑ってしまった

勝手にこの世界に放り出しておいて最終的に戻るには自分を犠牲にしなくてはならない

これじゃあ私は生贄ではないかって


その時は40歳でで80歳まで生きられるとしても、その四分の三削られるのでどうせ戻っても長くて10年ほどしかしか生きられない、そう考えるとこの世界で40年生きた方がいいと思った

だから、いやどちらにしても私は国王と結婚する事に決めていただろうけど、国王の求婚を受けることにした


元々、国王はいいなって気はあったし結婚も彼との子作りも抵抗はなかったし逆にようやく幸せを手に入れられたと幸せのことの方が多かった


幸せな残りの40年間だった

愛した国王は死んでしまったけれど、息子と孫も出来た


でも、私の死が近づくにつれて私は本来の世界である私の場所に帰りたくなった。戻った所ですでに私の場所など、どこにもないだろう

だけど、死ぬときはやはり元の世界で死になたくなってしまった

79歳の時、私はガンにかかった

もう時間はない、死期は近いと私の体は叫んでいる。王妃としての最後の仕事、戴冠式も終えた。そして80歳でようやく準備は整い約50年ぶりに私の世界に帰還しようと私はしている


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