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第1話 vsリリス① 神様との出会い

神崎チヒロは失踪した友人、川本コータローを捜索していた。


行方不明になったのは一昨日の夕方だが、彼が昨日学校に来なかったのがチヒロにとっては気になった。


コータローとは小学校入学から9年ちょっと一緒だが、学校だけは決して休んだことも遅刻したこともない。


それだけに彼が学校を休むということはチヒロにとっては一大事なのだ。


今日は土曜日で朝から歩き回っていることに加えて、9月にも関わらず真夏のような天気である。


若い高校生と言えどもさすがに疲労を感じずにはいられないため休憩することを選択した。


休憩に選んだ場所は小高い丘にある神社。


疲労困憊の状態でかなりの数の階段を上る必要がある神社を選択したかはチヒロにもわからない。


木々に囲まれた神社が、この暑さを回避してくれると思ったからかもしれない。




階段を登りきり、境内の賽銭箱前に腰をかけてミネラルウォーターを飲みながら、頭の中を整理した。


その時、「あのう、何か用ですかあ?」

声がした後方を振り返ると白い小袖に赤い袴姿でお下げ髪の少女が立っていた。


「この人を知りませんか?」

と少女の元に寄り、1枚の写真を見せた。


「立ち話も何ですから中へどうぞ」

と本殿の中に案内をした。


そのゆったりとした喋り方が、少女のおっとりとした雰囲気を増幅させる。




二人は向かい合って座った状態で、少女は写真をじっと見つめていた。


さらに少年はその様子をじっと見つめていたため本殿は沈黙が支配していた。


その沈黙に気まずさを感じて、

「あのう、あなたはこの神社の巫女さんですか?」

とチヒロが尋ねると、


「私ですか?神と呼ばれている者ですよ。神崎チヒロ君」

と少女は平然とした様子で答えた。


いきなり神様を名乗ったこと、そしていきなり自分の名を呼ばれたことに対してチヒロは戸惑っていた。


神を名乗る少女は続けて、

「川本コータロー君は蔦に覆われている洋館にいます」

尋ね人の名前も言い当てられ、チヒロはますます戸惑うばかりだった。

だが初めて得た手がかりはその戸惑い以上に気持ちを高揚させた。


「蔦の絡まる洋館にいるんだな」

チヒロはそう言いながら立ち上がり、小走りで本殿の入口に向かった。


「あ、ちょっと待ってください」

「あれ?開かない」

入口の鍵をかけた形跡は無いはずなのに開かなかった。


「ダメですよう。そのままじゃ。コータロー君と同様にチヒロ君も行方不明になってしまいますよ。」

神様は立ち上がって、ゆっくりとチヒロの元に向かってくる。


「私が力を貸しましょうか?」

それまでのおっとりとした雰囲気から一気に迫力が増した。


その迫力にチヒロは

「ああ」

と返事をするのが精一杯だった。


「わかりました」

と神様が言うと辺りは眩い光に包まれた。




その光がおさまると、チヒロは自分の着ている服に異変を感じた。


それはメイドのようなエプロン付き黒の膝丈ワンピースに、


さらに手に二の腕まである白いロンググローブ、脚には純白のタイツと黒い編み上げブーツを着用しているのだった。


そして自分の胸元を見て、栗色の長いウイッグ装着していることから、チヒロは女装していることに気付いた。


「何だ、こりゃあーっ!」

と絶叫して、声まで女性になっていることに気付いた。


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