第7話:狙われた刑事(後編)
俺と洋子は川島の両親が暮らしている一軒家へやってきた。
ピンポンとチャイムを鳴らすと、おばさんが出て来た。
「どちら様ですか?」
洋子が警察手帳を見せる。
「警視庁捜査一課の荒川です。実さんのことでお話を伺えないでしょうか?」
「中へどうぞ」
中に上がると、リビングへ案内された。
俺と洋子はソファに腰掛ける。
おばさんがお茶の用意をした。
「ああ、お構いなく」
「それで、息子の話って何です?」
言いながら向かい側に座るおばさん。
「実はですね、実さんが殺人事件に関与しているんじゃないかという疑いがありまして、それで調べているんです」
「そんなっ、実が人殺しを!?」
「いや、まだそうと決まった訳じゃないんですが……」
「帰って下さい」
「洋子、お暇しようか」
「そうね」
俺と洋子は川島家を後にする。
「収穫なしだったわね」
「そうだな」
「次、どこ行く?」
「練馬署」
俺と洋子は練馬署へ行き、刑事課へと入った。
「あ、黒沢さん!」
刑事が寄ってくる。
「何ですか?」
「死亡した山田 徹なんですが、高校時代に川島 実と言う同級生を虐めていたことが分かりました」
「虐め?」
「当時、担任だった教師がそう証言しています」
殺害の動機は虐めか?
「それから、川島 実と山田 徹は警察学校の同期でもあります」
「有り難う御座います。洋子、葛飾署行くぞ」
俺と洋子は練馬署を後にして葛飾署へとやってきた。
受付で川島の居る課を訊く。
「川島 実は何課ですか?」
受付職員が職員名簿を見る。
「刑事課ですね」
「有り難う」
俺と洋子は刑事課へ行った。
「お、黒沢じゃん。どうしたんだ?」
「山田 徹を殺害した犯人が分かったんだ」
「何?」
「犯人は警察関係者だった」
川島が眉を顰める。
「犯人は俺の指紋を偽造して金属バットにつけ、それを持って殺害現場へ行き、被害者を電話で呼び出して撲殺したんだ」
「へ、へえ。で、誰が犯人なんだ?」
「それはな……お前だよ、川島 実」
「なっ、何で俺が? 動機は?」
「お前、高校の時、山田に虐められていただろ。それが動機だよ」
川島は脱力し、その場に四つん這いになった。
「何で……何でバレちゃったんだろうな……」
「認めるんだな、川島?」
「ああ、そうだよ。俺が殺してやったんだよ。高校の時、散々虐めてきたからな」
「洋子、逮捕だ」
川島は咄嗟に立ち上がり、拳銃を取り出して自分のこめかみに銃口をあてがう。
「やめろ川島!」
だがしかし。
パアンッ!──銃声と共にその場に倒れる川島。
「そんな……自殺するなんて……」
「川島──っ!」
俺はその場に崩れ、涙した。
 




