表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/29

第4話:ラーメン評論家殺人事件

 北海道苫小牧市の路上。

 俺と洋子は車で函館に向かっていた。

「洋子、腹減らない?」

「そう言えば、お昼まだだったわね。何食べる?」

「あ、そこにラーメン屋がある」

 俺たちはラーメン屋の駐車場に車を止めて中に入った。

「いらっしゃい! 何にしやす?」

「チャーシュー麺二つ」

「はいよ!」

 俺と洋子は席に着く。

 チャーシュー麺が出来上がり、席へ運ばれてきて、俺と洋子は食べ始めた。

 その時、後ろの席で男性が苦しみだした。

「うっ……うう……!」

 床に倒れる男性。

「どうした?」

 男性の友人らしき男、香取かとり 悠輔ゆうすけが男性を揺さぶる。

「お客様、どうなさいました?」

 店員が心配そうに男性を見つめる。

 俺は男性に歩み寄った。

 男性の口元からアーモンド臭。男性は既に死亡していた。

「店員さん、百十番お願いします」

 店員は店の奥へと入っていった。

 それから暫くして、北海道警察苫小牧署の捜査員たちがやってきた。

「みなさん、遺体には振れてないでしょうな?」

 俺が遺体に振れていた。

「ちょっと貴方、何してるんですか?」

 俺は無言のまま遺体の所持品を引っ張り出し、その中の免許証を確認した。

「被害者の名は高柳たかやなぎ 浩三こうぞう、三十五歳。死因は毒物によるものだと思われます」

「あのね、君!」

 俺は振り返り、目の前の刑事に返答した。

「何ですか?」

「何ですか? じゃない! 遺体に振れるなと言ってるんだ!」

 洋子が刑事の肩を叩く。

「何!?」

 振り返る刑事。

 洋子は懐から警察手帳を出して刑事に見せた。

「警視庁の荒川と申します」

「これはこれは! 大変失礼致しました!」

 刑事は敬礼の後、俺に向き直った。

「貴方も刑事なんですか?」

「いや、僕は探偵の黒沢 聡です」

「黒沢 聡って、あの有名な!?」

「ええ、そうです」

「会えて嬉しいです。実は私、ファンなんですよ」

「そんな事より、事件の捜査はいいんですか?」

「ああ、そうでした」

 刑事は遺体を調べ始めた。

「毒殺か……」

 刑事は香取に話を訊く。

「被害者とはどういう関係で?」

「お友達ですよ」

「お仕事は何をされてる方だったんですか?」

「ラーメン評論家ですよ。辛口評論で有名でしたよ。彼の評論で潰れた店もあるとか」

「成る程。となると、恨みを買ってる人物は多いでしょうね」

 刑事は踵を返し、

「名取、害者の交友関係洗うぞ」

 と、部下の刑事と共に去っていった。

 俺は香取に話を聞く。

「あのー、さっき言ってた店を潰されたってやつなんだけど……」

「ああ、そこの店員さんの父親ですよ」

 俺は店員に向く。

「そうなんですか?」

「ええ、そうです。だからって私は殺しちゃいませんよ?」

 しかし容疑者は店員と香取の二名。殺せるのはこの二人しか居ない……。

「洋子、警察署行こう。何か進展があるかも」

「分かったわ」

 俺は店員に代金を払い、洋子と共に店を出て車に乗り、警察署へと向かった。



 苫小牧署の刑事課では、捜査会議が行われていた。

 俺と洋子は捜査会議が終わると同時に中へ入った。

「すみません」

「はい、何でしょう?」

 一人の刑事が返答する。

「警視庁の荒川です。高柳 浩三の件でお話を聞かせて頂けませんか?」

 そう言って警察手帳を見せる洋子。

「ご苦労様です」

 刑事は立ち上がり、ホワイトボードの前に移動した。俺と洋子もそれに続く。

 ホワイトボードには被害者とその知人の写真が貼られていた。その中には当然、香取 悠輔の名もある。

「被害者の評論で店が潰れた方はどなたです?」

「この方です」

 刑事が指で示したのは、佐山さやま 敬一郎けいいちろうだ。

 苫小牧署の捜査員が佐山の所へ向かったところ、佐山は既に他界していたという。自殺らしい。

「佐山さんの自殺の動機は何です?」

「店を潰されたことですね」

「佐山さんにはお子さんって居るんですか?」

「事件の遭ったラーメン屋の店長です」

「名前は?」

誠一せいいちです」

「たぶん佐山 誠一が犯人ね」

「洋子、何でそう思うの?」

「だって、店を潰され自殺って、十分殺害の動機になるじゃない」

「だからってそいつが犯人とは限らないだろ?」

「そう言う聡は誰が犯人だと思ってるの?」

「まだ分からない」

 本当のところ、香取 悠輔を疑っている。

「香取には兄弟とか居るんですか?」

「姉が一人居ますね」

「姉の名は?」

佐山さやま 香奈子かなこ、敬一郎の妻です」

 これで繋がったな。

「洋子、犯人が判った」

「え、本当?」

「香取 悠輔の所へ行こう」

 俺と洋子はラーメン屋へと戻った。

「あなた方は?」

 刑事がそう訊ねると、洋子が警察手帳を出した。

「香取さんはどちらにいらっしゃいます?」

「香取さんなら帰られましたよ」

「香取さんの現住所を教えて頂けませんか?」

 俺と洋子は香取の住所を教わり、その場所へと向かった。

 ピンポンとインターホンを鳴らす。

「はい」

 香取が出て来る。

「高柳 浩三さんを殺害したのは貴方ですね?」

「はあ? ちょっと待って下さい。いきなり何なんですか?」

 洋子が香取に警察手帳を見せる。

「なっ……警察!? 何の用ですか?」

「佐山 敬一郎……貴方のお義兄にいさんですね」

「え?」

「佐山 敬一郎は高柳 浩三の評論により店を潰され、自殺をなさっています。貴方はその仕返しに高柳 浩三を毒殺したのです」

「何をバカなことを。第一、青酸カリはどこにあるんですか? 俺が犯人なら持ってる筈でしょ?」

 その問いに俺はニヤリと笑みを浮かべた。

「何が可笑しいんですか?」

「どうして青酸カリだと?」

「しまっ……」

「もう遅いですよ、香取さん」

「そうさ。あんたの言うとおりさ。あいつが義兄さんを自殺に追いやったから殺してやったんだ! 青酸カリは姉さんが用意したものだ」

「そうですか。詳しい事情は署の方で。ご同行して頂けますね?」

「はい……」

 俺と洋子は香取を車で苫小牧署まで連行した。

 その後、香取は刑事の取り調べで犯行の全てを認め、逮捕され、姉の方も殺人幇助の罪で書類送検されたと言う。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ