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第26話:沖縄県脅迫状殺人事件(中編)

 小島家を出た俺と聡美。

「所長、これからどうするんです?」

「交友関係洗ってみようか」

「でもそれは警察がやってると思いますよ。警察がやってないことをやりましょうよ」

 俺は携帯電話を取り出した。

「どこへかけるんです?」

 電話帳を開き、洋子の携帯にかける。

「もしもし、聡だけど、まだ沖縄に居る?」

「居るよ。那覇署の刑事課が一斉に居なくなったけど、何か遭ったの?」

「ああ、小島 哲朗氏が亡くなったんだ。俺、依頼を受けててさ、困ってんだよね。お前が居れば調査もはかどるんだが」

「分かった。協力する。那覇署の前で待ってるね」

ツー、ツー──電話が切れる。

「倉田さん、那覇署行くよ」

「もしかして、荒川さん?」

「うん」

 俺と聡美は那覇署へ向かい、洋子と合流した。

「待たせたね。それより、逃亡した容疑者は?」

「部下が連れ帰ってくれたわ」

「そうか」

「で、どこ行けばいいの?」

「ちょっと待ってね」

 俺は携帯を取り出し、下山警部の携帯にかけた。

「はい、下山」

「黒沢です。捜査状況を教えてくれ……はしないですよね?」

「それは無理ですね」

「では差し当たりのないところだけ教えてもらえますか?」

「そうですね……。電話では何なので、どこかでお会い出来ませんか?」

「いいですよ。どこへ行けばいいですか?」

「私がよく行ってるお店でいいでしょうか。山の里と言うんですが。那覇署の近くにあるので、そこで待ってて下さい」

「分かりました」

 電話を切る。

「山の里だって」

 俺たち三人は山の里へ向かい、下山警部が来るのを待った。



 山の里で待つこと十分。下山警部がやってきた。

「お待たせしました。って、一人増えてますね」

 洋子は下山警部に警察手帳を見せる。

「警視庁捜査一課の荒川です。捜査に協力します」

「ご苦労様です」

「事件の捜査状況を教えて下さい」

「被害者は小島 哲朗、四十歳。死因は青酸カリによる中毒死。容疑者は三名浮上しております」

「もうそこまで行ってるんだ。じゃあその三人のお話を聞けないでしょうか?」

「一人目は岩上いわがみ つよし、三十九歳。被害者が勤める会社の同僚です。事件当時、彼はファミレスで食事をしていました。そのことは店の従業員に確認済みです」

「アリバイがありますね」

「次は磯山いそやま 優子ゆうこ、三十五歳。被害者の恋人で、事件当時は自宅にいたと言うことでアリバイの証明が出来ませんでした」

「そうですか」

「最後は白崎しらさき 裕典ゆうすけ、四十歳。パティシエをしています。事件当時は工房でケーキを同僚と一緒に作っていました」

「と言うことは、磯山かしら?」

「しかし証拠が無いぞ?」

「それもそうね」

「ところで、被害者の会社は何て言うんですか?」

上島うえじま金属加工です」

「金属加工業なら青酸カリありそうですね」

「その線で調べてみたんですが、盗難の被害は出ていませんでした」

「そうですか……。取り敢えず、我々は脅迫状の方を調べます」

「そうですか。では」

 下山警部が去っていく。

 俺は聡美と洋子を連れて小島家へ戻った。

 だが、見張りの警官が入り口で俺たちを止めた。

「現在は立ち入り禁止となっています」

 洋子が警察手帳を見せる。

「ご苦労様です!」

 警官が立ち入り禁止と書かれた黄色いテープを持ち上げる。

 俺たちは中に入った。

 さっきは現場検証で調べられなかったが……。

 俺たちは小島の寝室に入る。

「何かあるといいんだが……」

 俺は使い古された勉強机を調べた。

 引き出しの中から鍵のかかった日記帳を見つける。

「洋子、これ、中を見たいんだけど、どうしたらいいかな?」

「素直に鍵を探すしかないんじゃない?」

「だよなあ……」

 俺は引き出しを調べるが、鍵は出て来なかった。

「鍵が同じところにあるとは限らないわよ」

「それもそうか」

 俺たちは寝室を出た。勿論、俺の手には日記帳が。

「那覇署の鑑識行くか」

「何で那覇署なの?」

「それは那覇署に鍵があると思うからよ」

 俺たちは小島家を出ると、那覇署の鑑識課に足を運んだ。


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