第21話:通り魔
黒沢探偵事務所。
「おはようございます」
と、聡美が入ってくる。
「おはよう」
と、挨拶を返す俺。
プルルルルル──と、固定電話が鳴り、俺は応答した。
「はい、黒沢探偵事務所です」
「私だ。和夫だ」
「義兄さん!?」
「洋子が通り魔にやられた」
「え?」
「洋子が刺されたんだ。今、病院に居る」
「よ、容態の方はどうなんです!?」
「命には別状は無いと先生は仰ってる」
「そうですか。それで、どこの病院ですか?」
「東京警察病院だ」
「分かりました。直ぐに伺います」
俺は受話器を置くと、聡美に言った。
「病院に行ってくるな。調査の依頼があったら受けといてくれ。それじゃあ」
俺は事務所を出ると東京警察病院に向かった。
東京警察病院、洋子の部屋。
「洋子!」
部屋に飛び込む。
「あ、聡」
起き上がろうとする洋子を制する俺。
「寝てていいよ」
「うん」
「案外、元気そうだね。ところで義兄さんは?」
「仕事があるって、警察庁に戻ったわ」
「そうか。で、犯人の顔は見たか?」
首を横に振る洋子。
「目出し帽してたから」
「そう」
「貴方なら見つけられるわよね?」
「調べてみないと何とも……」
「お願い、犯人見つけて」
「……分かった」
と、言って病院を出たはいいものの、どこから手をつけたらいいか分からない。
俺は考えながら事務所までの道を歩いていた。
その時、向かい側から目出し帽をした何者かが走ってくるのが見えた。
「待て──っ!」
見ると目出し帽の何者かは誰かに追われていた。
「退け──っ!」
目出し帽の何者かは懐からナイフを取り出す。
奴が通り魔か!
俺は向かってくる目出し帽の何者かの手首を掴み背負い投げをした。
「ぐっ!」
背中を強打して悶絶する目出し帽の何者か。
その後を追ってきた男性、元い刑事が手錠を取り出し、何者かの手にかけた。
「殺人未遂の現行犯で逮捕する!」
刑事は目出し帽を外した。
正体は男だった。
刑事は俺を見る。
「逮捕にご協力いただき感謝します!」
「こいつが警視庁刑事部捜査一課第八強行犯捜査殺人捜査第九係の荒川をやった犯人か?」
「その荒川って、荒川 洋子警部のことですか?」
「ああ、そうだけど?」
「僕、昨日、捜査一課に配属になったんですよ。貴方も刑事なんですか?」
「いや、俺は探偵さ」
「探偵、ですか」
「黒沢探偵事務所、ご用の時はいつでもおいで下さい。それよりいいのか? 逃げるぞ」
刑事は男の方を向いた。
男は逃げようとしていた。
「待てって」
男を捕まえる刑事。
「さあ来い!」
刑事は男を連れ去っていった。