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第13話:敵討ち

 渋谷区の一角で殺しが遭った。

 害者の名は黒田くろだ 雅俊まさとし。死亡推定時刻は昨夜十一時前後。死因は後頭部殴打による脳挫傷。職業はウェブデザイナー。

 俺と洋子は遺体の前で合掌した。

 現場検証が終わり、鑑識が遺体を運んでいく。

 俺と洋子は現場を離れ、車で黒田の家に向かう。

「洋子さ、どうして刑事になったの?」

「何よ、薮から棒に?」

「どうして刑事になったの?」

「それは、お母さんを殺した犯人をこの手で捕まえる為よ」

「ああ、あの事件ヤマか。確か未解決だったな。……あれから五年か。犯人、どこへ消えたんだろう?」

 と、そんなことを話している内に黒田の家に着いた。

 俺と洋子は車を降りると、黒田家のインターホンを鳴らした。

 中から女性が出て来る。

 洋子は懐から警察手帳を取り出した。

「警視庁の荒川です。雅俊さんの奥さんですね?」

「ええ、そうですけど、何か?」

「ご主人が遺体で発見されました」

「そっ……そんな!?」

「それでなんですけど、貴方は昨夜の十一時頃、どちらにいらっしゃいましたか?」

「そんな、雅俊さんが……」

「奥さん、ショックなのは分かります。ですが我々の質問に答えていただけますでしょうか?」

「あ……昨夜の十一時頃だったわね。その時間なら家でぐっすり眠ってました」

「それを証明出来る人間は?」

「居ません」

「そうですか。じゃあ、ご主人に何か変わった様子は?」

「これと言って特に」

「有り難う御座います」

 俺と洋子は会釈をすると、車に戻った。

「次はどこへ行けばいいかしら?」

「警視庁かな。捜査に進展があるんじゃないか?」

「そうね」

 俺たちは警視庁に行き、捜査一課九係へと入った。

「あ、荒川警部!」

 洋子の部下、唐沢刑事が駆け寄ってくる。

「亡くなった黒田なんですが、昨夜十一時頃に事件現場で誰かともめていたのを目撃したと言う人物が居ました」

「その方の名前は?」

山田やまだ 俊彦としひこ、サンテイ警備の社員です」

「それで、誰かってのは男?」

「はい、男です」

それから──と、続ける唐沢。

「黒田の体内から多量の麻薬が検出されました」

「麻薬?」

 暴力団がらみか?

「洋子、組対五課行こう」

 俺は洋子を連れて組織犯罪対策五課へと移動した。

 一人の男性署員がこちらへやってくる。

「黒沢警視長、お久し振りです」

 この男は神谷かみや 小五郎こごろう。俺が刑事だった時の部下だ。

「久し振りじゃねえか、神谷。お前、捜査一課から移ったのか」

「警視長が辞めて直ぐです。それより、今日はどんな用で?」

「あ……黒田 雅俊を洗いたいんだけど、データベースに登録されてないか?」

「ちょっと待って下さい」

 神谷がパソコンの前に移動し、キーボードを打つ。

「出ました、これです」

 俺と洋子もパソコンの下へ移動する。

「五年前に覚醒剤取締法違反で逮捕されていますね。こいつがどうかしたんですか?」

「殺されたんだ、昨夜ゆうべの十一時頃に」

「となると……暴力団がらみですか?」

「それは調べてみないと判らない」

「取り敢えず、ヤクの入手経路である銀龍会に乗り込みますか」

「組対五課総出でか?」

「当然ですよ」

「そうか。よし、じゃあ行こう」

 俺と洋子は組対五課の連中と共に、広域指定暴力団、銀龍会に乗り込んだ。

「何だてめえら!?」

 組対五課の連中が警察手帳を出す。

「警察だ! お前らに訊きたいことがある!」

「訊きたいこと?」

「黒田 雅俊、知ってるな? 昨夜殺された」

 静寂に包まれる。

「お前ら全員、署まで同行してもらおうか」

「ちょっと待てコルァ! あんたらは俺らを疑ってんのか!?」

「被害者の体内から麻薬が見つかってんだよ!」

「麻薬が出たからって俺らとは限らねえだろ!」

 組対五課の連中は暴力団たちを取り押さえ、警視庁へと連行して取り調べを始めた。

 アジトに残った俺と洋子は、アジト内を調査した。

 すると四角い大きな箱を見つけた。その中から男の遺体が出て来る。

 遺体の胸には拳銃で撃たれた痕がある。

 俺は携帯を取り出し、百十番通報した。

 それから暫くして警察が到着し、現場検証が始まった。

「身元の分かる所持品は何一つないな……」

 遺体を調べていた唐沢刑事がそう呟いた。

「洋子、警察の前科者リストと照合してみないか?」

「そうね」

 俺は遺体の顔写真を撮ると、洋子と共に警視庁に行き、鑑識課へと入った。

 鑑識課の一人、米田よねだ まさるがこちらへ来る。

「どういったご用件で?」

「この男を前科者リストから探していただきたいのですが」

 俺は身元不明の遺体の顔写真を見せた。

「お預かりします」

 米田は顔写真を手に、パソコンの前に移動し、前科者リストを調べるが、しかし。

「ありませんね……」

「ない?」

「ええ、ありません」

 米田は写真を俺に返却した。

「そうですか。有り難う御座いました」

「あの……失礼ながら、お二人は何の捜査を?」

「銀龍会のアジトで見つかった遺体の身元を調べています」

「銀龍会と言えば、麻取りが内偵中だという噂がありますね」

「そうですか。洋子、行こう」

 俺と洋子は厚労省へ向かい、麻薬取り締まり部へと入った。

「どちら様でしょうか?」

 麻取りの一人がこちらへ来て訊ねる。

 洋子が懐から警察手帳を出した。

「警察?」

 俺は遺体の顔写真を見せた。

「遺体写真で申し訳ないですが、この方をご存知ですか?」

「これは……浦河うらかわ 陽一よういちですね。殺されたんですか?」

「恐らくは……」

「そうですか。あ……私、矢島と申します」

 矢島は名刺を取り出した。それには矢島やじま 浩一こういちと書かれている。

「では、矢島さん、浦河さんから何か聞いてませんか?」

「そうですね……何も聞いてませんね」

「そうですか。洋子、他を当たろう」

「お力になれずにすみません」

「いえいえ。では」

 俺と洋子は会釈をすると、麻薬取り締まり部を後にしようとしたが、

「ああ……浦河さんの住所を教えてもらえませんか?」

「いいですよ」

 矢島がメモ帳に浦河の住所を書き、それを俺に渡した。

「有り難う御座います。では」

 俺と洋子は今度こそ麻薬取り締まり部を後にした。



 世田谷区の住宅街に浦河の家はあった。

 俺は浦河家のインターホンを鳴らした。

 中から女性が出て来る。

「どちら様?」

 洋子が警察手帳を見せる。

「警察!?」

 驚き戸惑う女性。

「どうかしましたか?」

「い、いえ、何でもありません。それで、警察が何の用ですか?」

「浦河 陽一が殺害されました」

「テレビのニュースで見ました。銃殺されたそうですね」

 その時、洋子の携帯が鳴る。

「ちょっと失礼」

 洋子は携帯を取り出して応答した。

「はい、荒川です。……はい、……はい。……分かりました」

 電話を切り懐へ仕舞う。

「聡、浦河を殺害した犯人が判明したわ」

「誰なんだ?」

「黒田 雅俊よ」

「マジ?」

「嘘吐いてどうすんのよ?」

「黒田を殺したのは誰なんだ?」

「それは不明だけど、一つ面白いことが分かったわ」

「何?」

「浦河と黒田が高校時代の同級生なのよ」

「あの……刑事さん」

「はい?」

「どうせ分かることだから白状します。黒田を殺したの私です」

「警視庁へ同行していただけますね?」

「はい」

 洋子は浦河の妻と思しき女性を警視庁へ連行した。


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