「Hello,world end」
◾︎ Hello, world end.
「君はどうしてその人が嫌いだと思ったの?」
友人の問いに、僕は答えに詰まる。
嫌いな感情には根拠がある。
そう思っていたが、意外と明確な理由を言葉にするのは難しい。
けれど、「好き」の方がもっと曖昧だ。好きな理由を聞かれても、大抵の人は具体的な答えを持たないし、僕自身も同じだった。
思えば、人を好きになる瞬間なんて、一種の錯覚だ。誤解や勘違い、それでも心が浮き立つ瞬間を美しいと思ってしまう。
だが、今の僕にはその美しさを抱える余裕がない。精神の器が既にひび割れ、溢れる寸前だ。
最近、僕は多くの人と距離を置いた。
「さよなら」を言う相手を選ぶ基準は簡単だ。言葉と行動が噛み合わない人、僕に「大切」と言いながら裏では軽んじている人だ。
そのような人々と交わる度、僕の心はえぐられる。どんなに努力しても、「好きな人」からは愛されず、「嫌いな人」からは執着される。そして、「大切な人」から日々与えられているはずの愛すら、僕には見えなくなる。
「どうしてこんなに繰り返すんだろう……」
夜の静寂の中、ふと独り言が漏れた。思い返せば、何度同じ失敗を重ねてきただろうか。誰かを信じて、傷ついて、それでもまた信じて。
だけど、今回は違った。目の前で起きた出来事が僕の心に確信を突きつけたからだ。
僕に本当に大切だと思われている人たちには、ある「共通する言葉」があった。それは、特別な言葉というわけではない。ただの些細な一言だ。だが、その言葉の背景にある誠実さを僕は見逃さなかった。
そして、その違いを感じ取ったとき、ようやく目が覚めた。
僕は良い人間ではない。
こんな状況でも、人を試すような行動を取る。大事な仲間を失うリスクを冒してでも、僕は確かめたかったのだ。誰が本当に僕を思ってくれているのかを。
その結果、僕には何も残らなかったように見える。大切な人々が去り、心は空虚だ。
だけど、もう一つ確信も得られた。僕のお金も時間も、そして感情も、これからは僕を本当に大切に思ってくれる人のために使おう。
それ以外のすべてを手放す覚悟はできている。
「もう十分だろう?」
自分に問いかけながら、僕は新しい世界を迎える準備を始めた。何かを終わらせ、何かを始める。それだけの話だ。
さよなら、嘘だらけの世界。そして、こんにちは、僕が選び直す未来。
Hello, world end.