五十話 死に薔薇の騎士Ⅲ
めっちゃ短いです…
低い草木が生い茂り、強く張った根によって湿気を含んだ大地ーーステップ気候が広がるアンバ・メコン街道を、200を超える、馬や牛、ロバなどの輓獣が、背に流種を乗せてひたすらに駆け抜ける。
ガチャリという蹄鉄の当たる音と、騎乗する者が纏っている武具の擦れる音が何もない草原にこだますることもなく、溶け消えた。
そんな音にかき消されない声量で、最前線を駆けていた鎧に杖という独特の外見をした上種が声を荒げた。
「じき、群盗のアジトへと到着するッ! 頭を守る用意をしておけッ! 奴らは矢を使うからな!」
その声にははっきりとした焦りの感情が含まれていた。
(まさかすでに、こちらの情報が漏洩していたとは)
その情報は、偵察として出していた小隊によってもたらされた。
ーー群盗が農村を蹂躙し、占拠している。
騎士団や狩人の集いなどが総動員して、群盗を潰しにかかろうとしていることを知った群盗達は、アジトを捨てて農村を襲撃し、農民を人質とすることで国外逃亡を要求しているらしい。
「どこから漏洩したと言うんだ…。やはり、狩人の集いに協力を持ちかけたのが間違いだったのか…?」
「…ゲンリッド。…必ずしも、狩人の集いとは、限らない」
小さく呟いた独り言のような者だったが、馬上で、さまざまな雑音が多い中、その独り言に答える者がいた。
「レーズガン殿…。聞かれておりましたか…。…たしかに、狩人の集いにこの情報がもたらされたのがつい昨日で、そこからこんなにも早く情報が回るとは考えにくい。しかし、騎士団が情報を売るなど…考えたくもない…」
長い独り言を言い終えた時、雑音の中に小さな声が聞こえたが、その発生源がレーズガンだったことしかわからなかった。
ゲンリッドは、その小言をレーズガンの独り言と解釈し、聞き質すことはしなかった。
しかし、レーズガンの言葉は大きな意味を持つことを失念してはいけない。
小さくとも、彼は確実に犯人を導き出していたのだから。
『デルグリ・ドネショバ』と。
インフルエンザにかかってしまい、頭が回らないので今回かなり短かったです。
明日は元気であれば投稿します(*´ー`*人)




