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二十九話 悪魔モラクス

 




 良夜。弄月するに相応しい月明かりの帷が地を優しく覆い尽くし、青白く彩る。

 

 そんな月下で二つの影は互いに大きな得物を構えて見つめあっていた。


 片方は巨漢。

 牛頭で体には黒く濃い体毛、足先には蹄といった風貌で、まさに牛であるかのように思わせる。

 しかし牛と決定的に異なる、二足歩行という点と、手の形が人と同じである事、そして、背中についた小さな羽根が異形である事を示していた。


ーー悪魔モラクス。

 爆発的な力を有する剛腕の持ち主だ。

 かつて起きた大悪魔の眷属としていく匹かはこの世に顕現したと言われている。

 そんな剛腕は片手で軽々と巨大な斧を持っていた。それを見たものは口を揃えてこう表現するだろう。

ーー破壊の権化と。


 


 もう一つの影は前のものよりも一回りも二回りも小さく、腕も細い。

 しかし、その細い腕の先にあるのは前述した悪魔のもつ大斧と引けを取らない大きさの槌だ。

 青白い巨大な岩から削り出したかのような風貌の石槌には、精巧な装飾が施されており、それだけでただの石槌でないことがわかる。

 

 そんな大きな石槌を髪の赤い人間は両手で構えていた。

 体とは不釣り合いな得物。しかしなぜかその人間にはとてもよく馴染んでおり、まるで身体の一部かとすら幻視する。


ーー狩人頭エイレン・リスク。

 人間でありながら流種の街で暮らす女。その背景には、盲信し愚行を繰り返す人間と、大いなる父の存在がある。

 父の背中を見て育ったエイレンは父のような偉大なる英雄に憧れており、いつしか偉業をなすと心に誓っている。





 エイレンは楽しみだった。


 父から受け継いだ力がどこまでこの場で解放できるかが。


(あぁ…モラクス。私は嬉しいよ。貴様のようなバケモノと出逢えてな…)


 石槌を両手で構えて眼前に映る強大な存在を見つめる。

 

 モラクスの頭が微かに動き、月明かりにやってその黒毛が金属のような質感を持って光る。

 そして訪れる咆哮。





ーーモラクスが蹄で土を巻き上げながら一気に距離を詰めてくる。

 上に掲げられた斧は初撃が振り下ろしであると教えてくれる。

 

「フフ…デカいくせに速いじゃないか…」


 攻撃範囲内に入った瞬間、モラクスから撃滅の一撃が振り下ろされる。

 それをエイレンは槌の頭を使い防ぐ。

 衝撃で地面に少しのヒビが入り、あたりの小石が宙に浮く。


「ッ…。なるほど、防御は悪手か。力比べはモラクス、貴様に勝ちを譲ろう」


 そう言ってエイレンはモラクスからバックステップで距離をとる。


「中域神秘ーー<蜻蛉の風>」


 エイレンのあたりに風が発生する。その風は素早さを上げるバフであり、エイレンはモラクスの攻撃を躱すつもりでいることがわかる。

 

「さぁ来い。貴様の大振りな攻撃などあたらんぞ」


 その挑発に乗るかのようにモラクスは再び距離を積める。

 しかし、その斧は横に構えられており横凪の攻撃に派生することがわかる。

 横凪の攻撃は振り下ろしと違い、攻撃範囲が広いのが厄介だ。

 風を切る轟音と共に迫り来る斧。


 エイレンはそれをさも当然のように上に跳ぶことで避けた。

 あの大槌を手に持ったまま。


 周囲の流種から息を呑む音が聞こえる。彼らは見守るだけ、しかし、見守っているからこその緊張というものがあるのだろう。

 先ほど挑発を受けたグレイトスでさえ、勝ちを待望し、真剣な眼差しでその戦いを見ていた。


「フンッ」


 上に跳んだエイレンは飛躍しながら頭上に構えた大槌を落下の力と共に振り下ろす。

 その一撃は空を圧縮し、大きな音と共にモラクスの頭部に吸い込まれるように飛んでいく。


(…避ける気がない? それとも避けられないのか?)


 しかし、あまりにも隙があるとエイレンは考えるが、隙を狙わないのは愚者のする事だと自分に言い聞かせ、頭に向かって振り下ろした。



 短い。うん。短いですね…。

 短いのもですけど、内容が希薄なのでもう少し考えなければ…。

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