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十八話 神の器と無愛想な店主






 薄い雲が影を残し、空を流れる昼前。


 小さき者と死に薔薇の騎士ーーメレストフェリスとフェルベールは二手に分かれて大通りで売っている物を物色していた。


 昨日、ある程度この街の住人から情報を得たが有益な情報はあまり得られなかった。


 ならば、次はバザールで売っているものから何かしら得られないかとメレストフェリスは考えたのだった。


ーーパン、串、干物、果実、菓子、水。


ーー陶器、金属、宝石、衣服、アクセサリーなど。


 目がチカチカするほど多彩な品々の中に、残念ながら、いや、当たり前だがメレストフェリスの目に適うものはない。


 しかし、そんな露店の中でも、一際異彩を放つ店があった。


 果物屋のと衣服屋の間に挟まれるように隣接しているその露店で扱っているものはーー


「えっと、その、それって錬金の乗った、マジックアイテム、ですよね?」


 そう。多種多様な効果の付いたーー魔化された道具がそこにはあった。

 メレストフェリスはこの世界にも魔化された物が存在するのかと、つい陳列ーーというよりただ机の上に置かれただけーーされた商品を見入る。

 

「人間にもわかる者が居たんだな」


 そう無愛想に語りかけてくるのは、店主と思わしき流種だ。いまだに見た目で性別ないし年齢を推測できないが、その声で若くはない、雄の流種だとわかる。


「えっと、はい」


 メレストフェリスはなんと答えれば良いか分からず、適当に返す。

 すると、無愛想な流種は「そうか」と言って黙ってしまった。

 互いに話下手なのが見てとれる。そんなこと、二者は気にもしていないようだが。


 メレストフェリスは眼前に雑に陳列されたマジックアイテムを見る。

 

 基本は耐性上昇系の低域錬金だが、中には素早さのあがるものや、足音を軽減するものまであった。


 その中でも一際効果の強い、土魔術耐性の中域錬金が付与された、フード付きの濃い茶色のケープにメレストフェリスは長く目をやった。

 そんなメレストフェリスの目線に気づいた無愛想な流種が口を開く。


「それが気になるのか。全く良い目をしているのか、はたまた偶然なのかは知らんが…。それはな、アウトメコンで、ゲムブ・ルロムイっていう上種のお方に貰ったもんでな。俺では付与できない、中域錬金が施されているのさ。ハハッ、さすが賢者様だよな」


「はぁ」


 渋い顔ーー多分だがーーでそう言う流種にメレストフェリスはこれはまた無関心な返事を返す。

 二者の会話はそれで潰えた。

 無愛想な流種はすでに虚空を見つめている。


 そんな中、メレストフェリスの頭の中に一つの引っ掛かりができる。


(そういえば、ゲムブってどこかで、聞いたことあった気が…。んー…)


 いくら考えても思い出せない。

 ゲムブなど、そんなありきたりでどこにでも居そうな名前だ。歩いていて小耳にでも挟んだのだろう。

 再び魔化された物に集中しようと目を机に向ける。


 その時、急に大通りが騒がしくなった。しかし、その騒がしさは事件性のあるものではなく、人気者が姿を見せたような、そんな歓喜の思いが透けて見える騒がしさだった。

 そんな騒めきにあてられて、無愛想な流種が言の葉を紡ぐ。


「…騎士団か。何やら、囚徒の森ベルで何か大変らしいな…。ゲムブ様は元気にしてるんだろうか…いや、愚問だな」


 キャラバンでも聞いた騎士団とやら。その言葉が気になり、メレストフェリスは無愛想な流種に質問する。


「えっと、あの、騎士団って、つ、強いんですか?」


「ん?ああ。そうだな。人間にはわからんかもしれんが…強いぞ。だが俺にはそれがどれくらいかなんぞわからんがな」


 そう言って再び沈黙が訪れる。

 

(強いのであれば、じゃまになるかも、しれないですね)


 もし強かったら、そして、メレストフェリスの行動を邪魔する可能性があるなら、早急な排除が求められる。

 その際、相手の力量を確認しておかないと万が一後手に回った際に厄介だ。


「えっと、私はそろそろ行きますね」


 ならば、まだ警戒をされていない今のうちに強さを把握しておいた方がいいだろう。メレストフェリスは早々、話を終わらせに入った。


「ふん、結局冷やかしか。…ただ、いい目をしているな。ーーオイ、これをやるよ」


 多分苦い顔をし、そう言って差し出してきたのは低域錬金の星の魔術耐性が付いた、星の紋様が掘られた金属製のタリスマンだ。

 

「失敗作だ。持っていけ。ふんーーせいぜい達者でな」


「あ、はい」


 タリスマンを受け取り、ペコリと頭を下げてメレストフェリスはその場を後にする。その際、思念でフェルベールに騎士団の監視を命じておく。


 メレストフェリスはスラムに入り、人気がないのを確認してから、あるスキルを行使する。


「えっと、スキルーー<堕天地の門・デモン=インスペクター>」


 魔法陣がメレストフェリスの前に現れ、魔法陣がいくつも重なり門を形造り、その門から巨大な目玉がのそりと出てきた。


「あとは、インスペクターに超域神秘ーー<ギュゲスの囁き>」


 神秘の効果でインスペクターは透明になる。高いレベル帯でもそれなりに通用する透明化神秘だ。

 そんな時、視察を任せたフェルベールから思念で言葉が届く。

 

「ーーふぇ?…えっと、今から急いで、大通りに移動します」

 

 インスペクターにそう言い、メレストフェリスは駆け出した。

 




 会話を書くのってやっぱり難しいですね、というのも、新天地に最近引っ越したばかりで完全に人との会話を絶ってしまっているんですよね…まあ、言い訳なんですけども。


 本日もなんとか2000字達成ということで、いやはや、結局2時間かかってしまいましたよ…。もっと頭の回転率を上げないと…いや、私じゃ無理ですね。


 明日は時間がないのでかなり字数少なくなるか、もしくは投稿できないかもしれません。(*´ー`*人)ゴメンナサイ

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