十話 神の器は情報を集める
時間がなかったため、かなり短いです。申し訳ございません( ¯-¯ )
まだ日の登る前、空の色が階調を見せ始めた頃、窓の外で鳥が鳴くのが聞こえた。
メレストフェリスは朝が嫌いだ。夜は本質的に落ち着くし、朝と違って騒然さを連れてきたりしない。
そんなことを一瞬考えながらベッドの上で再び本を読むことに集中する。
「この砦にあるものでは、もうあまり期待できそうに、ないですね…」
そう言って半分ほどまで読んだ本を閉じ、ベッドから立ち上がる。
その本はこの砦の教会から持ってきたもので、教会にあるのだから世界の様々なことが書いてあると思い込んでいた。
しかし、ほとんどがこの砦の日録と娯楽と思われる絵の類だった。
日録は面白くないし、絵ばかりの本も、流種が抱き合っていたりと趣旨のわからないものばかりだ。
それでも大切な情報の見逃しがないよう、一冊ずつ、一ページずつ細部まで読み解いて行く。
150冊ほどあった本は7日でそのほとんどが網羅され、残すは7冊となった。
明日には新たな情報を得るためにここを離れなければならないだろう。
「あっ、次のルーセントイビルを召喚するのでも、もう帰って、いいですよ」
そう言って真横にいたルーセントイビルを帰還させ、新たにスキルーー<堕天地の門・デモン=ルーセントイビル>でルーセントイビルを呼び出す。
これは決して召喚体が根を上げているからなどではなく、召喚物に時間制限があるためだ。
5時間。それが召喚後にこの世界に残れる最大時間だ。メレストフェリスはいつのまにか召喚物いなくなり、無防備な状況を襲われるのを危惧し、残りの時間が余っていても交代するようにしているのだ。
その甲斐あってかはさておき、未だ危機は迫っていない。
メレストフェリスは再び固く質の悪いベッドで横になり、先ほどまで読んでいた本を読み始める。
この砦にあった本の大体がゴミと同然の本や日録ばかりだったが、もちろん有用な本も見つかった。
例えば周辺の地理を書き記した地図。
これのおかげで、現在地を割りだすことができた。
現在いるのは[囚徒の樹林ベル]と言うらしく、地図上での最東端に位置していた。
地図は決して完全なものではなく、細部まで記されてはいないものの、大きな街や城だろうと予想されるものは発見できた。
今後はその辺りを重点的に調べる必要があるだろう。
ーーしかし、これは流種の国の地図だ。
同種はあまり国を作らないが、今なら人間に近い見た目をしているため、溶け込みやすく、バカで温情で愚鈍で情報を隠そうともしない人間の国があればそっちに行きたい。
最後に見た流種は、メレストフェリスのことを「人間」と誤称していたため、人間がこの世界にいるのは間違いないだろう。
もしかすると流種の国にも少なからず人間か、それに近しい存在、もしくは同種がいるのかも知れない。
メレストフェリスは本を読むことに再び集中する。とりあえず今は情報だ。
情報というピースがなければパズルの完成は訪れはこない。
新たな場所へ赴くためにメレストフェリスは硬いベッドの上で本を読むのだった。
引っ越しはなんとかなりそうですので、明日からまた2000字目指して頑張ります。




