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第8章:高橋哲哉教授とエイアル・シヴァン氏の対談(2)

 高橋教授談:

 「・・・義務に忠実であったり、あるいは仕事を人一倍熱心にですね、きちんと遂行すいこうするということが、状況によっては、非常に『巨大なあく』に加担かたんしてしまう結果をもたらすと・・・いうことだろうと思うんですけれど、そういう点を浮き彫りにするために、この『スペシャリスト』という映画の中では、特にどういうシーンをですね、取り上げて強調しようとされたのか、そのへんについては、いかがですか・・・? 映画との関連ということで。」


 シヴァン氏談:

 「・・・われわれはむしろ、人を殺す人間、犯罪を犯す人間の方に、興味を持ちました。

 彼は『犯罪者』ですが、自分の手で人を殺したことのない人です。 ・・・オフィスにいて、犯罪を犯しました。犯行現場からは、遠い場所にいたのです。

 彼の武器は、『ペンや紙』でした。なにか犯罪の動機があったわけでもありません。彼の持っていた動機は、『すべての命令に従う』ということだけでした。 ・・・結局は、人を殺すような命令だったのに、従順に従っていたのです。

 私たちが関心があったのは・・・そのような平凡なこと、ノーマルなことをどうやって見せるか・・・演出するか、という問題でした。

 アイヒマンの場合には、社会的には『正常』で、『精神異常者』ではありません。社会に、うまく溶け込んでいます。

 ・・・彼の長所は、評価されています。『いいマネージャー』で、仕事に忠実で、礼儀正しく・・・けっして、『野心家』ではありません。

 こうした『長所』を、アイヒマンは犯罪に奉仕ほうしするために使ってしまいました。それが、ナチスの『第三帝国』です。

 アイヒマンは、自分の使命は理解しても・・・『目的が何なのか』ということを、まったく考えないのです。

 自分の『仕事の目的』は考えずに、その『手段』ばかり考えて、技術的解決策を作るのです。

 私たちがこの映画で行なったことは、彼が自分の言葉で、自分を告発するのを、観客に聞かせることでした。」

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