第11章
以下は、映画『スペシャリスト』より
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検事長:
「・・・あなたは、警察の尋問の中で、こう供述しています。
『有罪になるのは、わかっています。死刑になるかもしれないが、慈悲は求めません。私は、それに値しませんから。』
あなたは、『おそるべき犯罪をあがなうためならば、【公開処刑】をも辞さない。』とまで言っています。供述調書の361ページ・・・あなた自身の言葉ですよ?
数百万もの虐殺の、共犯であると認めますか・・・?」
アイヒマン:
「法律的な観点からは。」
検事長:
「法律ではなく! あなたの『良心』として、ユダヤ人虐殺の共犯として、有罪だと思いますか。」
アイヒマン:
「(険しい表情で、口元をゆがめてから)
人道的には・・・認めます。私には、『強制移送』を組織した責任がありますから。
・・・しかし、後悔しても犠牲者は、よみがえりません。後悔することは無意味で・・・子供だましです。
大事なのは、将来、同様の事態が起こるのを防ぐことです。私は、許されれば・・・この裁判のあと、この問題のすべてを本に著して、ありのままを語り、未来の人々への『警告』としたいです。」
裁判長:
「・・・ちょっと待って下さい、検事長。私から、被告人に言います。
その本で書くつもりのことを、まずすべて、ここで語ることが、あなたの義務なんですよ。」
アイヒマン:
「裁判長が『明白な答えを』とおっしゃるのなら申し上げます。
私は、この『ユダヤ人絶滅計画』を、人類史上最大の犯罪のひとつだと考えます。
結論をいえば、当時から私の『個人的信条』では、この残虐行為は、正当化できないと思っていました。
・・・正当化できません。当時でさえ、おそろしいと思っていました。
しかし悔やまれるのは、私は『忠誠の誓い』に縛られていたので、職務として、輸送の管理に従事しなければならなかった。『誓い』をやぶることはできませんから・・・。
・・・ですから、私は心の底では、『責任がある』とは感じていません。
『有罪』とは思えません。実際の『絶滅作戦』に関与せずに済んで、安堵していました。
自分の任務だけで、手いっぱいでした。任務自体は、私に向いていました。
・・・命令に従って、義務を果たしました。そのことで責められるべきことなど、なにひとつありません。
今日でもなお、それを言っておきたいと思います・・・。」




