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第11章

 以下は、映画『スペシャリスト』より


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 検事長:

 「・・・あなたは、警察の尋問じんもんの中で、こう供述しています。

 『有罪になるのは、わかっています。死刑になるかもしれないが、慈悲じひは求めません。私は、それにあたいしませんから。』

 あなたは、『おそるべき犯罪をあがなうためならば、【公開処刑】をも辞さない。』とまで言っています。供述調書の361ページ・・・あなた自身の言葉ですよ? 

 数百万もの虐殺の、共犯であると認めますか・・・?」


 アイヒマン:

 「法律的な観点からは。」


 検事長:

 「法律ではなく! あなたの『良心』として、ユダヤ人虐殺の共犯として、有罪だと思いますか。」


 アイヒマン:

 「(険しい表情で、口元をゆがめてから)

 人道的には・・・認めます。私には、『強制移送』を組織した責任がありますから。

 ・・・しかし、後悔しても犠牲者は、よみがえりません。後悔することは無意味で・・・子供だましです。

 大事なのは、将来、同様の事態が起こるのを防ぐことです。私は、許されれば・・・この裁判のあと、この問題のすべてを本にあらわして、ありのままを語り、未来の人々への『警告』としたいです。」


 裁判長:

 「・・・ちょっと待って下さい、検事長。私から、被告人に言います。

 その本で書くつもりのことを、まずすべて、ここで語ることが、あなたの義務なんですよ。」


 アイヒマン:

 「裁判長が『明白な答えを』とおっしゃるのなら申し上げます。

 私は、この『ユダヤ人絶滅計画』を、人類史上最大の犯罪のひとつだと考えます。

 結論をいえば、当時から私の『個人的信条』では、この残虐行為は、正当化できないと思っていました。

 ・・・正当化できません。当時でさえ、おそろしいと思っていました。

 しかし悔やまれるのは、私は『忠誠の誓い』に縛られていたので、職務として、輸送の管理に従事しなければならなかった。『誓い』をやぶることはできませんから・・・。

 ・・・ですから、私は心の底では、『責任がある』とは感じていません。

 『有罪』とは思えません。実際の『絶滅作戦』に関与せずに済んで、安堵あんどしていました。

 自分の任務だけで、手いっぱいでした。任務自体は、私に向いていました。

 ・・・命令に従って、義務を果たしました。そのことで責められるべきことなど、なにひとつありません。

 今日こんにちでもなお、それを言っておきたいと思います・・・。」

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