序章
・・・いまから61年前、イスラエルのエルサレムで処刑された、元ナチスの高級将校『アドルフ・アイヒマン』。
六百万人もの犠牲者を生んだ、『ユダヤ人絶滅計画』の責任者『アイヒマン』の裁判は、世界に衝撃を与えました。
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以下、映画『スペシャリスト』より
イスラエルは、エルサレムの法廷。
防弾ガラスに囲まれた特別被告席で、気難しそうな顔で鎮座する、眼鏡のアイヒマン。
その映像を、350時間余り記録した映像が発掘され、映画として公開されました。
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検事総長:「裁判長、皆さん、目の前のこの男は、民族の抹殺者、人類の敵です。
人に生まれながら野獣のように生き・・・その罪はあまりにも残酷で、とても・・・人間の行いとは呼べません。
我々は、この男に死刑を求刑します。」
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眼鏡をハンカチで拭くアイヒマン。
映像の中のアイヒマンは、『冷酷な殺人鬼』のイメージからはかけ離れた、平凡で几帳面な役人の素顔を見せています。
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傍聴人の一人(男性):「そいつを殺せ! 人殺し!!」
ユダヤ人とおぼしき彼は、警官二人に両脇をつかまれ、ヘブライ語でわめきながら、ひきずられるように法廷会場から外へ退場させられてゆきました。
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二時間に編集された映画『スペシャリスト』は、世界七カ国で上映され、新たな波紋を投げかけています。