時計の針を進める世界
時計の針を進める世界だ。
確かに1日は24時間しかない、1年は365日だ。
皆が、少しでも有意義に時間を使おうとするのは理解出来るさ。だからって、1日を30時間にしてどうする、1年を400日してなんになる。
けれども、少しでも時間を圧縮しようとしている。
クリスマスはいつから10月になったんだ、おせちだってそうだ。お歳暮は暮れじゃ無いのか。お中元が春の最中に届くのはどうしてだ。
正月もそこそこにあちこちで初売りだなんだと騒いでいるが、そのうち、大晦日に初売りカウントダウンなんて始めるんじゃ無かろうか。
果てしのない加速に労働力が削られている。
人間は定められた時の中で生きるべきでは無いのか。資本主義という化け物に追われて、搾取される者たちの怨嗟は、いつか針を錆び付かせるだろう。
時計の針を進める世界はいずれ時計そのものの破壊を招くはずだ。
その時計は人の魂だと思わなければならない。
たった一人の王様など、存在する価値もないのだから。