三月明音とかいう女
まぁ、人には得手不得手というものがある。
俺はどうにも苦手なのだ、この明音という女が。
「久しぶりだね、元気にしてた?」
「お陰様でね、気楽にやってたよ」
お前が居なかったからな!
「そっか、よかった。でも私は寂しかったよ」
そうやって嬉しそうに笑う。
可愛いんだよなぁ。
駄菓子菓子、間違えた。だがしかし、別に、本性は性格が悪いとかそんなことじゃないんだ。それならむしろ俺は萌えるのである。
こいつと関わりたくない理由は単純だ。
命が惜しいからである。
コイツと絡むと遅かれ早かれ多分死ぬ。殺される。
崖から突き落とされて、ボロボロの凪君カッコいい良いと言われたときは少しドキッとしたが、二度と関わらないと誓った。
要は昔から苦手なのである。
昔は俺もなかなかの陰キャだったからなその時からのトラウマとも言える。
意外なことに、いや、元々真面目なタイプだったっけ?記憶がないや。
兎に角、午前中は特にちょっかいをかけられることもなく。平穏に日々は過ぎていった。
なので! 何か起こる前に逃げます!
「佐月くん? 何してるの?」
屋上でパラセール的なにかを構えていると、後ろから声が聞こえた。
「由美さん」
声で分かっていたが良かった、明音じゃないようである。
俺はパラセールのような何かを閉じて由美さんと話をすることにした。
特に理由はない気まぐれである。
「三月さんと何かあったの?」
「いや、別に何もないけど」
「でも、あの女の子好きの佐月くんにしては珍しいよね」
あぁ〜、うん。
まぁ、そうなのだ。
珍しい。
俺は崩れるから嫌なのだ。
「う〜ん、まぁ。単純に苦手なだけだよ」
ん? そういえばなんで由美さんは屋上に居るんだ?
そろそろ昼休みも終わるんじゃないだろうか。
「そうなんだ」
一瞬耳を疑った。
もう一つの人間の声が。いや、女の子の声が聞こえた。
「明音……」
「やっぱり屋上に居た。好きだもんね。高いところ」
「別に今回はそういう理由じゃないけどな」
それに屋上が好きなのは高いからじゃなくて開けてるからだ。
教室とか学校とかそういう何かに縛られた閉鎖的空間にいると気分が悪くなる。
ただの思春期なのだ。
俺は、女の子が好きなだけで、女の子に好きになってもらいたいのではないのだ。
だから、そう好意MAXで来られても困る。
「えいっ!」
屋上の端に居た俺を近づいて来た明音が突き飛ばす。
「え、」
って!
「お前やっぱ俺のこと嫌いだろぉおおおおおおおおおお!」




