魔王からは逃げられない!!
おっと主人公のキャラがブレてきたぞ。
「はーい、皆さん。席に着いてください。あれ、佐月達もいるのか珍しいな」
「今日は転校生が来ると聞いて。やっぱ最初ぐらいちゃんと挨拶しないとね」
勿論、転校生が女子だと聞いたからだけどね。
可愛いといいなぁ。
時期的に珍しい気がするが、そもそも転校があまり多くないので分からないな。
「じゃあ、入って来て」
「はい」
女の子の声。どうやら噂は本当だったらしいな。
ん? いやでもこの声。聴き覚えがあるような。
教室の扉が空き、声の主が入ってくる。
目鼻立ちの整った顔立ちにと光が反射し少し白く光る漆のように艶のある綺麗な黒髪。
学校の中でも指折りの美少女と呼ばれるだろうと誰もが確信し。
凪が変なことしそう、とみんなが凪のことをチラ見した瞬間。
「早退します!」
想像以上の奇行を凪はしていた。
「慎也君!捕まえて」
転校生が慎也に向かって叫ぶ。
この転校生のことを俺は知っている。
だから、逃げる!
基本、俺は女の子が大好きだし可愛いかったら尚好きだ。
だがしかし!この世には関わらない方がいい奴ってのがいる。それがあいつ。
俺は窓からの脱走を試みようとしたが鍵を開けている間に慎也に追いつかれ、飛び降りる寸前で足を掴まれた。
「あぶねー!掴むタイミング考えろ!頭壁に打ち付けて死ぬとこだったわ」
「悪りぃ」
絶対悪いと思ってないじゃん。
「何故あの女の味方をした」
「え、だって面白そうじゃん」
ダメだ、こいつ。取り返しがつかないところまで外道に染まっている。
「ありがとう、慎也君」
「何が慎也君だ。明音」
「会えて嬉しい、私の愛しい愛しい凪君♡」
ハートマークついてやがる。
ハートマークがつきそうなとかなら分かるがマジで付けさせてくるとは。
今にも抱きついて来そうだ、正直嫌いじゃないので抱きついても良いのだが流石にキモいのでやめて欲しい。
いきなりの展開に教室は唖然としていた。
そんな中先生だけは興味無さそうに提出物の確認をしてる。アイツ担任向いてないだろ。
「あ、良い? お前ら取り敢えず座れ〜。まずは自己紹介からしろ」
まぁ、坂口先生が言うなら、みたいな謎の感じがこの教室にはある。
あの人はなんでもさくっと終わらせたいタイプだからみんなも取り敢えず従うのだ。
「ほら、だってよ」
「そうね、じゃあ先に自己紹介してくるわ」
「じゃあ、俺帰るんで」
「別に早退は構わないが理由は?」
「これから全身骨折します」
「却下だ、席に付け」
くそ、逃げられないか。
嫌々ながら席に付く。
「初めまして、皆さん。私の名前は三月 明音です。そこの凪君の幼馴染です。元々は隣町に住んでいたのですが、小5の時に兵庫の方に引っ越して、昨日戻って来ました。これからよろしくお願いします」
笑顔で、緊張を見せることもなくしっかりと自己紹介をしきった。
「何か質問があれば各自聞くように〜。取り敢えず席は」
「凪君の隣で、」
「いや、別にアイツの隣空いてないけど」
「凪君の隣で、」
「じゃあ今からくじするか?」
「凪君の隣で、」
「…………じゃあ佐月の隣で」
「折れるなよ、教員が!」
「だってもう、メンドイ」
ダメだ、頼りにならない。
俺の席の隣まで机と椅子を持ってきた明音が言う。
「またよろしくね、凪君」
「あぁ、ほどほどにな」
ついでに言うと元々隣だった女子はそそくさと場所を変えていた。
勿論俺は手伝いを申し出て机を運んだ。




