こちら慎也、ターゲットに接近中
さて、映画村に行かなくてわ、なんて口に出して行った後、俺はすぐに窓を開け鉤爪をかけた。
そしてロープを下ろしそれをつたって下に降りる。
地面に着いたら、予めロープの先に結んでいた棒を持ち窓に向かって投げる。
正直登るのにはロープは要らないのだ。
降りるのは少し難しいが登るのはそうでもない。
窓開けてロープをまで着いてるのは少し不用心過ぎるかという気持ちばかりの行動だ。
「よし、いや、何も良くは無いんだけど。急いで行かねぇと」
昨日覚えたここら辺の地理を思い出しながら駅へ急ぐ。
流石にタクシーは使えないからな。
料金もそうだが。中学生が平日の昼間にタクシーに乗ってるってのは明らかにおかしい。
前に学んだのだ。
あの時は、危うく学校に届けられかけた…。
凄い良い人だったのだが余計なお節介という奴だった。
段々とペースを上げながら長距離走のようなイメージで駅へと向かって行く。
信号にどうしても捕まるのがうざったるい。
どうだろうか。今頃まだバスだろう。
バスジャックなんてのは流石に厳しいだろうし、着いてすぐは全員で集まって話をして団体行動になるから大丈夫だろうけど。
何かしらの方法で班のメンバーとバラけさせてから襲うのか。
班ごと襲うのか。
映画村。
予想つくような一人になるタイミングとかがあるのか?
分からない。
京都に詳しくはないからこればっかりはしょうがない。
やっぱと人選間違ってるなぁ。
駅に着き交通カードを取り出して改札を通る。
実はカードも俺は持ってきていたのだ。
バスとか使う場合はお金だから別に持ってるんだけど。
ともかく俺は電車に乗り映画村を目指す。
最寄りの駅に着き走り出す。
改札に向かってカードを投げ。カードを反応させるところに当たり跳ね上がったカードを改札を飛び越えながらキャッチする。
確かあっちだ。
駅を出て一段とスピードを上げる。
徒歩7分。
走れば信号に少し捕まっても5分で行けるだろ。
赤信号。
車は渡ってきてない。
急ぐなら無視するのも…。
「やっぱなし」
俺は立ち止まった。
まぁいきなり止まると心臓に悪いから少し足踏みをしながら信号が変わるのを待つ。
今は良くても次同じ場面があった時、車が通れば事故に遭うかもしれない。
一度やってしまえば二回目は簡単だ。
ストッパーみたいなのが崩壊してしまう。
そういうことをすると後で手痛いしっぺ返しを喰らうと相場が決まっているのだ。
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「はぁ、はぁ。んで、どこ居るんだ?」
笹木さんだったよな。
あれからは信号に捕まらず2分ほどで映画村に着いた。
しおりを取り出し。スタート地点と予定時間を見る。
右手にした腕時計を確認する。
現在の時刻から考えて。
「あっちら辺か?」
まぁ、迷ってるほど、余裕があるかも分からないので行くしかないんだがな。
あたりを付けた位置に差し掛かったところで。うちの学校の生徒だと思われる人達を遠目に見つけた。
写真を貰ったから顔は分かるがこの距離だと分からないな。
ちょっとさり気無く近づいて───。
「あれ?あれ神崎じゃね?」
ビクッと小さく反応する。
なんなら危うく振り向くとこだった。
「え?でもアイツ一組だろ?だったらあの鳥居の方に居るんじゃないか?」
そうだ。俺はここには居ないはずだ。というか鳥居の方にもいない設定だ。
バレてもここで護衛をするのには問題ないだろうが後々面倒だ。
それに、いや、理由としてはもう十分だろう。
「伏見稲荷大社な?でもそうか。似てるだけか」
何かしらの変装をした方が良いかもしれないな。
何かしら身に付けるものを買おうかと辺りを見回すとお土産屋さんと思われるところが目に入った。
まだ、生徒達は居ない。
俺は小走りでその店に向かい。
編み笠のような時代劇なんかに出てくる剣客が被っていそうな帽子と。羽織り。
更に木刀を買った。
ここならこの格好もそこまで変じゃない。スタッフかテンション上がっちゃった観光客に見えることだろう。
木刀に文字を刻んで貰ってないがしょうがないか。
それらを身につけ変装した俺は。
笹木さんを探しにまた走り出した。




