let's go伏見稲荷大社
朝はパンとかベーコンとか食べた。
もう何食べたか覚えてないけど。
「思ったんだけど、佐月くん朝凄い食べるんだね」
朝食の後から気になっていたのか由美さんがバスに乗ると同時に言った。
「え?いやまぁ、今日は特別なんだよ。念のため多く食べといた」
「?ビッフェ形式だったからってこと?」
俺の話をどうにか解釈しようとしたのだろうか。
結果俺は元とるのに躍起になった奴みたいになったようである。
「あはは、まぁそんな感じ」
うぅ、と由美さんが少し苦々しい顔をした。
納得はいってないようだ。
「はぐらかさないで……」
「いや、そんな深い理由とかないからいつもよりお腹空いてただけだよ」
「…そう」
今更ながら、いや本当に今更気付いたのだが。
同い年の女の子と割と友好な関係で事務的じゃない、世間話みたいな話をするのは久しぶりだった。
成る程道理で俺は距離感に困っている訳だ。
まぁいい。したいようにするだけだ。
それから暫く話をしたりしなかったり。
バスレクがあったりしながら伏見稲荷大社へと向かった。
「そして、着いたぜ。京都」
いや、元々京都には着いてたわ。
「伏見稲荷大社、生憎俺は神も妖も信じちゃいないが。鳥居は見ときたいなぁ」
一旦は班で集まり先生の話を聞く。
まぁ、今回も班で行動して、他のお客さんの邪魔にならないようにとかそういうことだった。
「佐月くん。もう一人行動は控えてくれよ」
「あ、それなんだけど。ごめん。無理だわ」
少しやらなくちゃ行けない。いや、やった方が良い気がすることがあるのだ。
◇◆
「一方その頃俺は布団に包まれていた」
うん、まぁそろそろ俺の方の話だろうと思ったのだ。
「さて」
まぁ、何喋ってもここには俺しか居ないんだけど。
取り敢えず凪がグルグル巻きにしてきた布団から脱出する。
そうこうやって転がれば布団が剥がれていく…!イタッ!
そうだ。ベッドに乗ってるんだった。
お腹減った。
もう着替えてはいるので靴を履き部屋の外に出る。
あれ?でもビッフェって普通に行って食べれるのか?
ホテルの勝手を知らず立ち止まっていると先生がやってきた。
「あれ?大丈夫なのか?」
「腹減りました」
「本能に忠実だなぁ。野生児かよ。じゃあ、まだギリ食べれるだろうから行くか」
先生はそう言って踵を返した。
着いてこいってことね。




