続・恋占いの石
班の人達と別れ、慎也と集合し、慎也と別れた後。
俺は一人で適当に散歩気分で清水寺周辺を見て回っていた。
実質おまけみたいなもんだろ。
ラスボス倒した後のアフターストーリーみたいな。
胎内巡りだのなんだのを順番バラバラで効率もへったくれもなく回っている間に。
集合時間が迫っていた。
生徒達が減ったことでさっきまでの賑やかさが嘘のように静まり返った道で人影を見つけた。
てか由美さんだった。
目を瞑って歩いてるからなんだろうと思って思い当たる。
恋占いの石。
人が居なくなってからやってるのがガチっぽい…。
いやいや、普通に今しかタイミングが無かっただけかも知れない。
「もうちょっと左」
「え?」
「あ、目開けちゃダメだよ」
驚いて顔を上げた由美さんが目を開けないように注意する。
「う、うん」
そう言って頷いた後、由美さんは少し左にズレた。
「余計だった?」
「いや、そんなことない、よね?これ誰かの力借りたりしたらダメだったりは」
「大丈夫だと思うけど」
スイカ割り的な感じで他の人もやってたと思うし。
俺は一人でやったけど。
「──だったら、手伝って」
「お安い御用」
とは言ってもかなり良い感じで進めてるからな。
「後2メートルぐらい先かな」
こくっと頷いた由美さんが慎重に足を進めていく。
氷の女王なんて呼ばれていて、怖い印象だったけど。
いざ関わってみれば普通の女の子って感じだ。
特に口調がいかつい訳でも、お嬢様口調なわけでもない。
校則知らないとかありそうだなぁちょっと抜けてるときある気がするし。
いや、待て。中学生でこれは凄くない?
銀髪って髪染めたの?
そういえばロシア人の血が流れてるとか流れてないとか。
いや、小学校の頃黒だったと思うけど。
「あ、ストップ。ゆっくり腰突き出すようにしゃがんで」
「腰突き出す必要はなくない?!」
「しまった、つい癖で」
「セクハラ癖……」
由美さんは普通に慎重に手で探して恋占いの石に触った。
「ありがとう」
「どういたしまして」
なんだ、これ。
この間どうするよ。
「好きな人でもいるの?」
「えっ!いややってみたかっただけよ」
こりゃいるな。
焦り具合が。
氷の女王様の氷溶かしちゃう人来た?
まぁ、もう随分と溶けている気もするが。
クラスの男子全員に恐れられていると言っても過言ではない彼女は。
ただのいじると面白い。普通の可愛い女の子だった。
「あ、集合時間。間に合うかな」
「あ!急がないと。道理で人が」
今気付いたの!?
まぁ、謎に人が居ないタイミングとかあるからなぁ。
運動会の日とか登校する時誰にも会わなかったりするんだよなぁ。
走って向かうと既に人数確認が行われていた。
「お前が3分しか遅れないなんて奇跡かよ」
酷い言い草もあったものである。
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