強者が勝つのではなく勝った奴が強者
「よって俺は強者」
「ブー!」
「ふざけんなぁ!」
「そうだそうだ!」
なんとも威勢の良い声援なことだぜ。
慎也が体操の歴史に名を残せそうなことをした後。
俺は普通に恋占いの石をクリアした。
その結果のブーイングである。
「でも、アイツ5回回った後に普通に真っ直ぐ行ってたくね?」
「は?どうせ薄く目開いてたんだろ」
「いや、うん。そうか」
勿論目は閉じていた。慎也にあれだけ言ったんだ当たり前田のクラッカーである。
正直10回でも20回でも行けたと思うけど、酔うのは酔うからな。
「慎也、次のチェックポイントに向かおうぜ」
「別にここダンジョンでもなんでもないんだが」
うるさいうるさい。
こういうのはノリなんだ。
中学2年生の修学旅行は一度しかないんだ。
楽しんだ方が良いだろ。
慎也と集まれたら行く場所は決めていた。
「清水の舞台。飛び降りようぜ」
「坂口先生に問題起こすなって言われてるだろ」
呆れながらも俺が歩き出せばコイツは着いてくるんだ。
「ツンデレって奴?」
俺の言葉を耳聡く聞いた慎也がうへぇと吐きそうな顔をしたのを確認しながら俺は出発進行!なんてふざけながら清水の舞台に向かった。
「ほら、仁王門。目隠し門って呼ばれてるらしいけど。それは清水の舞台から天皇のいる場所を見ないようにだったらしいぜ」
「よく知ってんな」
「……俺京都に来たことはねーんだけど。よく話してくれる奴がいたんだよ」
少し、目を伏せる。
逡巡。
思い起こされるわ、13の春。
「班にいたのか?」
「何で当てちゃうかなぁー。つまんねぇ奴だなぁ。某五歳児に嫌われるぞ」
「あれ、どちらにしろ悪印象なの理不尽だよな」
「まぁ、五歳児だしな」
設定上。
「こうして見ると高いな。飛び降りた奴は何をとち狂ったんだろう」
「度胸試し、じゃないか」
なんでなんだろう。本当に。
命を軽率に投げ打つのはそれほどまでに望む何かがあったのか悩んでたのか。
昔の人のことなんて。
いや、他人のことなんて俺は知らないからな。
「あ、慎也君いたー」
「ホントだ!どこ行ってたの班行動しなきゃじゃん。もうすぐ終わっちゃうよ?」
こっちに駆け寄ってくる女の子達。
てかまぁ慎也の班の野郎どもも同じか。
それを一瞥して俺は慎也の肩を押し班の人達のところに向かわせヒラヒラと振り返らずに手を振った。
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