適当3
お
「なんで、あんなのが慎也くんと付き合ってんだろ」
ん?慎也付き合ってる奴いんの?彼氏?マジで?気になって声のした方を見てみると明らかにこっちをちらちら見ながら話してる。俺!?いや、確かに俺はあいつと仲いい。そしてあいつはゲイだが。
「ホントそれ、なんであんなのとつるんでるんだろう」
あぁ、そういう。くそ、アイツがゲイって告白したせいで思考がそっちにアイツと同じ勘違いしてしまった。そもそもゲイってアイツらは知らないか。でも今のは言い方が悪くない?なんであんなのに慎也くんが付き合ってるのでしょ。
「何見てんの?キモイんだけど」
ギャル、俺は別に嫌いじゃない。可愛い系も好き。清純派は苦手。おっと、女の趣味の話をする場面じゃなかった。コイツらはギャルでは無いんだろうけど。頭の悪そうな会話してんなぁ。俺と慎也の会話のが馬鹿そうだけど。
「おい!あんた!佐月!」
「何?」
「丁度いいや、ちょっと聞きたいことあったんだよ」
「分かった、どうぞ、話して」
足組とまではいかないが傲岸不遜というかあくまでこっちが聞いてやるってスタンスで行く。
こういう場合は下手に出ない方が良い。説だけど。
「何であんたみたいな運動も勉強もダメで気持ち悪い何の取り柄もない男が慎也君とつるんでんの?」
「たまたま」
勉強は目の前の女子達より出来るが黙っといてあげよう。
あるよね、嫌いな人のこと全部ダメに見えること。
「何その言い方。ムカつくんだけど。あんたみたいなのが居ると慎也くんの箔が落ちるの」
「うんうん」
俺は全然、アイツの箔が落ちてくれても構わないがな。
「どうせ、慎也くんも迷惑してるんだろうけど。慎也くん、優しいから突飛ばせないのよ。だから代わりに行ってあげる邪魔なの、あんたと慎也くんじゃ釣り合わない。失せなさい」
慎也って優しいのかぁ、知らなかった。想像力逞しいなぁ。それに、釣り合うって付き合うわけでもないのに。
「うん、釣り合わないなぁ」
「お前さっきからなんで同調してんの?」
ついでに言うとさっき「うんうん」言ってたのも慎也だ。
「え?慎也くん!?」
「うん、そう」
さもここにいるのが当然のように至って自然な仕草で返す慎也。
「そう、ってまぁ」
「てか、どういう状況だったの?」
「そう、そうよ。ねぇ、慎也くん?もう、こんなのとつるむの辞めなよ。コイツ、何もできないじゃん。空気読めないし、気持ち悪いし。くそ野郎だよ」
「うんうん、確かに」
「そうだな」
「な、何であんたまで同調してんのよ」
え?何故って?
「そりゃ、事実だし」
「そ、そうだけど」
「背が低いとかさ、足が遅いとかさ。別にそれ自体はただの特徴何だよ。なのに悪口に感じるのはコンプレックスを感じてるから。俺は俺という存在に一切のコンプレックスを抱えていない。よって俺は事実を言われても傷つかない!だっはー」
「モテない」
「ぐはっ!」
少々ダメージを受けた。慎也てめぇ。的確に嫌なとこ当ててくんな。
「な、なんなの」
ほら、困惑してるって、身内のりは外には持ち出さない。これ暗黙のルール。
「まぁ、良いや。あんまり悪口言うと自分の価値が下がるって言うし。ほどほどにしときなよ」
そう言って俺はカバンを持ち教室から出た。
◇
「やっぱ、悪口だと思ってんじゃん」
「ん?まぁな」
「まったく、口からでまかせを言うのが上手いんだから」
何故か慎也は嬉しそうだった。
キモ。いや、無駄に顔は良いからそんなにキモく見えないのがムカつくな。
か