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適当2

「あ、美琴さん」


「え、佐月くん。と神崎くん!」

おい、神崎くんの方が反応良いのおかしいんじゃないですか?俺のところでももっと驚こうよ。


「てか、かっこよ」

休日、慎也と出かけてたところを美琴さんと合流。これ今の状況ね。美琴さんはおとなしめのショートで可愛い女の子。それが何故だか今日は男っぽい。

いや、まんまメンズの服を着ていた。

ぽんっと慎也が肩に手を置いて憐みを含んだ眼を向け左右に小さく首を振る。


「あぁ、言いたいことが分かるのもムカつく。俺のがダサいってことね!ちくしょう!俺のカッコよさは女子にも負けるのか!」


「どんまい、と俺は満面の笑みで言った。あ、そうだ。ここに女子なのにこんなにかっこよく男の服を着れちゃう人が居るんだから教えてもらいなよ」

最近コイツが何読んでるのかが今分かった。


「うぅ、美琴さん。服選び手伝ってくれない?」


「え?え、と。良いけど。その......。えっと。その、あんまり下の名前で呼んでほしくないかな」

言葉を詰まらせながら言う美琴さん。

俺と慎也では普通の話の展開速度でも美琴さんにはとても理解の追いつかない状況かもしれない。

0.01秒の領域展開ってな。

俺と慎也セットのところに会ったのが運の尽きだ。


それはそれとして

「嫌だ。俺は女子は下の名前で呼ぶって決めてるもん。なんで?」

説明もなしに、とは行かない男それが俺だ。

察して聞かないとかはあまり得意じゃない。


「そ、それは。あんまり好きじゃないから」

目をキョロキョロさせながら。小さく呟く姿を見ていると問い詰めてるみたいで罪悪感湧いてきた。


「おい、察しろよ」

慎也が笑いをこらえながら俺の肩をちょんちょんと突く。


「何だよ」


「お前のことが()()()()()()から気安く下の名前で呼ぶなってことだよw」


「あ、そういう。尚更嫌だね」

何だ、平常運転じゃないか。でも、直接言われたのは流石にショックかも。

しかも、おとなしめの女子に。


「いや、そうじゃなくて自分の下の名前が嫌いで」


「「あ、そういうこと」」

あ、ダブった。



「これとか、どうかな」


「分かんない」


「だよね…」

何だろう、どっか恥ずかし気な感じだ。それに、俺の反応に怯えてるような。


「これとかどうだ」

そう言って慎也が持ってきたのは黒タイツ。勿論、全身だ。こんなの某名探偵のところの真犯人演じる時以外使わないだろ。


「舐めてるだろお前、逆にどこにあったんだよそれ」


「ちえ」


「……なんで、あの二人道端であった大して仲良くもない女、子。買い物に誘えるんだろう」


「あれ?そういえば美琴さんは何しに外出してたの?」

極めて自然に視線を向けることもなく、相手の油断し一人の世界に入りかけたタイミングを狙うって問う。俺はシリアスパートに突入さえしていなければ会話の中で相手の素を引き出せる自信がある。


「お、俺は、じゃなくて。私はちょっと散歩に」

すっ、と慎也の元に滑るようにして近づき耳打ちをする。


「俺っ娘ってホントに居るんだ」


「いや、どうだろう。うーん、俺っ娘っていえるのかな」


「あの、やっぱり変ですか?」

美琴さんが、何処か寂しげなような悲しげなような。

それでも今までで一番ハッキリとした声で聞いてきた。


「え、俺っ娘?めっちゃ良いと思う」


「い、いや。その。そうです、ね」

何処か歯切れの悪い美琴さん。ただ、何を伝えたいのか言ってくれないとまだ俺には分からん。絆レベル5ぐらいまで行けばそれなりに分かるのだがな。


「トランスジェンダー、体は女だけど心は男。みたいな」


「……!」

目を丸くして驚く美琴。


「図星か、安心しな俺はゲイだ」

何を安心しろというのか、謎すぎるな。俺の慎也迷言録に記録しておこう。ついでに言うと名言録は無い。


「そ、そうなんですか」


「うん」

そりゃ気まずくなるさ。大して仲良くないのにゲイ宣言。しかもコイツに関してはなまじ有名だからな。女子人気も高い、反応に困るだろ。美琴さんの友達がお前のことすきだったらどうすんだ。


「成る程ね」

全く分からん。質問の意図が。


「はい、だから変かどうか。気になって」


「変だよ。変ってのは周りと違うってことだ。そういう意味ではお前らは変だよ。それは聞くまでもなく当たり前のことだ」


「いや、別に俺は含めなくて良いんだが」

そんな慎也の言葉は全く考慮せずかぶせるように話し続ける。


「君たちは性的マイノリティ。俺とかは逆に性的マジョリティとかそんあ感じなのかな?少数派、異端。君が気になるのは周りの評価かな?ただ、まぁ。写輪眼みんなが持っててもつまらないでしょ。少数、異端だからこそ輝く。変なことを悪いことだと一概には思わない。個人の自由でしょ。君が男と主張しようが女と主張しようが世界は滅亡しないんだから。変だとしてどうした。それが君達にとって大事なことなんじゃない?だっはー、だがな!俺の方が変だ!舐めるなよ!」


「あ、ダメだ。こいつテンション狂った。ごめん、夜崎さん。こいつ偶におかしくなるんだ」

うんしょ、うんしょ、と神崎くんが暴れる佐月くんを連れていく。


「あ、夜崎さん。その服装凄い似合ってる」

そういえば、佐月くんは女子は下の名前で呼ぶと言っていた。最後の呼び方が神崎くんにつられたのか気遣いだったのか私には分からない。



「女子ってさ、体だと思う?心だと思う」


「何?タイプの話?」


「いや、何でもない」

LGBT、ね。



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