割と適当1
「慎也、弁護してくれ」
「だが、断る。もう、お前一旦ここで捕まっといた方が良いんじゃないか?」
某漫画家のように決め顔でそういった。
「いや、俺のことは少年法が守ってるから無駄無駄無駄無駄無駄!なぁ、こんな無理やりネタを入れさせられて叫んでる俺の気持ちになってくれない?」
周りの人から白い目で見られてる。お前を守る少年法に申し訳ないと思わないのだろうか。
大体5mこれが俺とアイツとの距離。
近距離パワー型だと微妙だな。
届くか届かないかぐらいか。
「いや、お前が勝手にやったんだろ......」
「だって、お前が。だが、断る。とか言うから」
無駄無駄言う奴と某漫画家接点無くね?
まぁ同じ作品っちゃ作品か。
「はいはい、それじゃ」
「あ、ちょっと待て置いてくな!頼む!痴漢冤罪で面談とか嫌だ!せめて痴漢してたなら1-1交換でまだ許せるが冤罪は嫌だー!」
「良くねぇよ!1-1交換でオッケーじゃないから!痴漢された側はお前を少年院にぶち込みたいわけじゃないだろ!お前が勝手に得して勝手に損してるだけだろ。プラマイゼロはお前だけで痴漢された側はマイナスだから!」
やっぱ、冤罪で咎めて注意受けさせて良い気がした。
痴漢予備軍だろ。
「アイツ、俺の親友なんですよ。駅員さん。俺アイツに脅されてやったんです」
俺が逃げるとみてか速攻でアイツ曰く親友を共犯にしようとする凪。
友情もクソもあったもんじゃないな。
「親友なんじゃないの?」
話を振ることでやっと言葉を発する駅員さん。
俺達の会話は間がないから言葉を挟む隙がなかったのだろう。
「え?親友って脅す脅し返すの関係ですよね?脅す脅される関係ですか?でもそれだとパシリじゃありません」
「脅す系以外の選択肢はないのかな」
駅員さんが、困惑と呆れ半々みたいな感じで呟く。
「まぁ、一旦話あっちで聞くから。あなたも」
そう言って痴漢されたと訴える人。
というか、痴漢された人はうつむきがちであまり言葉を発せず。
その友達が俺がその人に痴漢したと言ってるのだが。
まぁ、その人。仮に気弱少女としよう。
彼女が痴漢されていたのはホントだ。
それをアイツが止めたタイミングで仮に気強少女としよう、がアイツを痴漢といってきたのだ。
痴漢犯にはその隙に逃げられた。
何故、満員電車だったんだろう、今日。
いつもはもう少し空いてるのになぁ。
「運ないっすね」
俺の考えてたことを代弁したかのように言う凪。
「ふざけてるのか?お前」
「いやいや、率直な感想です」
「お前がやったんだろ。ふざけるな」
お怒りだなぁ。こっちに矛先向くな!
「慎也、アイツ制裁加えさえに行ける?」
「遅ぇよ。もう無理」
「だよな。じゃあ来てくれ」
「はいはい、学校の面汚しになっちゃうしな。まぁ学校の面なんて汚れちまって良いと思うけど」
こんなこと言いながらコイツも俺と一緒に降りてきてくれたんだから、ありがたい。とは言わないが。ナイスだな。とか思ってそうな顔してるな。
「おい!テメェ」
地文がいつもと違うことで無茶な以心伝心させられてると気強少女が凪に怒鳴ってきた。
「リンちゃん。落ち着いて......」
「まみ......」
百合?
ではないか。
セリフ的には近かったがリン←気強少女の方がそんな雰囲気じゃない。
駅員さんも困るということで個室で話すことになった。
◇
さて、いつも通り語りが俺に戻った。
痴漢冤罪で駅員さんと被害者さんと一緒に個室に居る。これ今の状況ね。
「えっと~」
「無罪です」
これ、俺。
「有罪だ」
これリンとかいう人。
「ギルティ」
これ、慎也。
「お前どっちの味方!!?」
あまりにサラっと言うもんだから見逃し掛けたわ。
「もちろん正義の味方だ」
「俺は悪だと?」
「勝てば正義なんだから冤罪とかどうせ疑い晴らせないし被害者の味方をしてる」
「ただの、勝ち馬に乗るじゃねぇか。正義の味方でもお前には正義もへったくれもねぇなぁ!!」
最悪じゃねぇか。
キャラ人気投票あったらワースト一位だよ!
「ふざけないで貰えるか?」
睨んでくる。
リンさん。
うーん、多分高校生だな。
いや、中三の可能性も。ふむ。
流石の俺も無理か。
せめて制服を着ていてくれればなぁ。
「ふざけてるのはこの神崎慎也。中学二年生。血液型A型。星座は知らん。住所は」
「サラっと個人情報流すな。ご丁寧にルビまで振ってんじゃねぇぞ。佐月凪?」
「えっと、電話番号は」
「いい加減にしてくれ」
これはリンさんね。
ふむ、ギャグパートではないのだろうか。
「リンさんだっけな?残念ながら俺、本当にやってないんだよね。そもそも...いや、なんでもない」
困ったなぁ。可愛いんだよなぁ。小動物的というか。内気な感じで丸っこい。ただ、スタイル的には割と良い。ふむ、正直同意があったら正直したい。
まぁ同意があったら痴漢じゃないんだろうけど。
さて、大事なのは駅員さんの判断と。この女子達の気持ち。
「まぁ、正直。まみさん、でしたっけが言い出せないならリンさんがちゃんとしてあげてというか。そもそも満員電車は気を付けてっていうか。うーん。痴漢はする方が悪いんですけどないことではないんでやっぱ対策というか」
「何言ってんだよ。テメェ!そもそも態度改めろよ!今更言い訳しても遅いからな?」
「いやいや、今絶賛弁明タイムでしょ。俺はやってない。って言ってんですよ。やってたのは隣のおっさん。なんなら触ってみて感触で確かめてみ、グヘッ!」
「いや、流石に引くわ」
「いや、むしろ近づいてんだよ!ノータイムで殴ってくんな」
「あの発言がセクハラだから仕方ない」
うっ。確かに。
「すいませんでした」
「ふん、今更過ぎるな。謝ったところで許されない。訴えさせてもらうからな」
えぇ、今の発言そんな罪重いのか。
「えっとー、君たち中学生なんだっけ?」
「はい、中学生っす。中二のセクハラ発言なんで許してくれないですかねー」
「セクハラ発言はまぁ、許せても痴漢はなぁ」
「いや、痴漢はしてないっすよ。慎也も見てただろ?」
同意を得るために慎也を見る。
今現在不利状況なんだ頼む。
「いや、見てない。ただ、まぁお前が移動してってその女の子に手を伸ばしたのは見た」
「うーん、ありがとう。俺の犯罪証明してくれて。じゃねぇよ。偏向報道過ぎる!悪質な証言だ事実を誤解が生まれるように言いやがって。それで?」
「直後に痴漢だ!って叫ばれて。丁度良く扉が開いて一人おっさんが急いで出て行った。運が悪い間が悪いとしか言いようがない」
「うん。そうだな」
マジで、あのおっさん。粛清してやりたいな。会社員かなぁ。慎也顔覚えといてくれたかな。
「観念しろよ!今更おっさんがどうしたんだ?」
「今更今更何なんだ?お前はもう、誰でも良いというのか?誰でも良いから犯人として憂さ晴らし出来れば良いのか?」
「まぁ、そりゃそうだろ。今更おっさんが犯人でしたってなってもどうしようもないもんなぁ」
「っ!馬鹿にするな!」
煽られたと感じたのだろう。
怒りながら吠えるリンさん。
向こうは痴漢されたという子があまり喋らないから一対二的感じだもんなぁ。
「「してないよ」」
「俺は」
「コイツは」
「「いつだって、女の子の味方だ」」
うーん、最低野郎だな。