1話 呪われるべき日が来た
始まりはほんの一瞬の出来事だった
リトス「夥しい呪力に耐えられなかったか…!
おいやばいぞ…!おぬしらは早く立ち去るのじゃ!
わしは仙女として妄想を具現化して
何とか呪力を抑えてやる
時間は創ったぞ!」
妄想の具現化
それが仙女の出来る力だった
ライドウ「仙女の妄想か
妄想でこの呪力に立ち向かえるとでも本気で思っているのか?」
ライドウはそう感じた
仙女リトスの妄想力で出来上がったのは
天狗+龍を組み合わせたイメージングだった
ライドウ「俺の肩から浮き出ている呪力…見えるだろ?
これがお前のイメージングである天狗龍を食い殺せるぞ」
リトス「呪力の内にある殺食欲が浮き上がっているのはわしにも良く分かるわ
わしの仙女としての力でも適わないってな
肩から浮き出た呪力にすらかなわない圧倒的な力だと」
それでも仙女は守りたかった
人を
ライドウ「奉仕していた奴らだな
そういや神社を祭っていた奴らだ
あいつら、まだ良い奴らだったんだろう
だが俺も制御しているぞ」
リトス「知っておるわ
おぬしもそこまで馬鹿な奴では無いのは知っておる
だからおぬしが呪力を何とか我慢しようと押し殺してるのは分かるわ」
扇子を口に寄せるリトス
肩から浮き出る呪力は殺食欲をちらつかせながらも
ライドウがその感情から湧き出る意欲を我欲で制御していた
リトス「しかしそれは我欲でどうにか出来るものでは無い
おぬしが出来るのは時間の問題
直ぐにテイクオーバーが出て来るわ
だからわしはここで死ぬのじゃ」
ライドウ「は?何言ってるんだ
お前 そんなの俺が許すかよ
今すぐ呪力で殺しの限りを尽くすぞ!」
我欲呪力がリトスの眼前まで来る
そこには自我の纏った呪力がリトスに殺意を向けていた
剣にも銃にも具現化しながら
その呪力は保っていた
リトス「おぬしの呪力には優しさが混じっておるからな
それにその呪力を手に入れた時
わしを救う気だったのじゃろう?
おぬしの奉仕度合いよく分かった
じゃから眠れ」
ライドウ「やめろ!
俺なら何とか出来る
我欲呪力で殺食欲を消して見せる」
しかし消す事は出来なかった
そしてライドウに眠気が襲ってくる
ライドウ「なんだこれ
俺、眠気が起きている」
リトス「それはわしがさっき妄想に加工を加えたのじゃ
ヒーリング効果はあったじゃろう
自律神経を乱されておるおぬしには睡眠効果が適切に訪れるじゃろう」
ライドウは必死に目をあけたかったが目は閉じられた
そしてその瞬間ライドウの肩から殺食欲呪力が天狗龍を襲った
~~
≪気付いた時にはそして何も無くなっていた
辺りから人っ子一人いやしなかった
何が起きたのか良く分かった
そして自身にある満腹感の中身が何かをだ≫
「俺のこの呪力は
様々な欲が詰まっている
中でも危険なのが殺食欲だ」
~~
ソドム「おやおや
これは酷い惨状ですね」
ライドウの呪力が襲い掛かる
ソドム「殺食欲を抑えられないと来ましたか
ですが最初に謝罪しておきます
私にはそそられるものは無いのですよ」
殺食欲を跳ね返す
殺食欲の衝動が抑えられず
ライドウの我慢と裏腹に食いつく
ソドム「私は私以外の外界から
全てを跳ね返してしまう呪力に塗れていてね
拒絶結界が張られているのです
私もあなたと同じ呪力持ちですよ」
殺食欲が食いついても全て跳ね返される
ライドウはその時にやっと感情を露わにした
泣き続けた 降り頻る雨の中
紳士眼鏡の青年ソドムは拒絶結界を繰り出しては雨の中ライドウを護った
~~
ソドム「泣き止みましたか」
ライドウ「俺は、呪力の中に皆の魂が」
ソドム「そうですよ
あなたに取り付いた殺食欲によって
みんなの魂は全てあなたの経験値として加算されました」
ライドウ「それってつまりもう」
ソドム「えぇ 助けられませんよ
残念ながら」
ライドウ「そ、そんな」
ソドム「だがしかし助けられます
助けられる命があります
あなたはそれをしなさい
さすれば呪力の陰謀も呪力の感情も分かるでしょうね」
ライドウはソドムについていった
雨は止まなかった
それよりもそれ以上の雨量を伴う
ライドウ「なんか雨量がおかしくねぇか?」
ソドム「それはその通りですよ
何故なら呪力の解放がされてしまったからですよ
私はそんな解放された呪力を撃ち滅ぼせる存在を探しているのですよ」
ライドウ「それが俺」
ソドム「まあその中の一人ですかね
誰もが選ばれし者とは限りませんが
ライドウ君だけが選ばれた者でもありませんから」