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そう言うランスの声と共にパチンと鳴る指に合わせて執務室に魔法で明かりが灯る。
「くっ。あともう少しだったのに・・・」
「残念でしたね」
カチャリと私の首筋の剣を鞘にへと戻し、ランスがクスリと笑う。
「ランスはもう少し、手加減ってものを覚えた方が良いと思います・・・」
「何言ってるんですか・・・敵が手加減なんてすると思います?」
「うぐ・・・」
「手加減して敵を出し抜けるなら幾らでも手加減しますけど?」
「うぐぐぅ・・・」
余裕そうなランスの表情にムカついて、思わず出た言葉だったけれど、彼の正論でボコボコにされただけだった。
「でも、まぁ流石ですよ。私が頼んで三日目でこの仕上がりですからね・・・ジン、普通の貴族が相手ならこれで十分ですよ」
「・・・アルヘイム様を狙うような輩が『普通の貴族』で居ますかね?」
「大丈夫、少なくともアルヘイム領の貴族にはそんな奴居ませんよ・・・」
「それは、他領の貴族なら居るという意味です?」
「『居ない』とは言いませんね・・・」
「あくまで『肯定』も『否定』もしないと?」




