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「あー・・・すみません。この先にある街を目指していたら物音が聞こえたもので、様子を見に・・・どうやらお邪魔なようですね・・・失礼しました~」
元より、コイツらに関わる予定など皆無だった私は、作り笑いを顔にくっつけてその場を去るべく別れの挨拶を切り出し、二人に背を向けた。
「あー、待った!ちょっと、待った!」
「はい?」
さっさと去ろうとする私を、何故かシュテンが慌てたように止める。
思わず返事をして振り向けば、彼は先程の笑顔を浮かべたまま告げた。
「その、多分なんだけど・・・君が目指してる街って、俺の領地の街だと思うんだ。初めての訪問っぽいし、色々手続きとかあるから一緒に行ってあげようか?」
思わずポカンと相手を見つめてしまった私は絶対に悪くない。
だって、何処に見ず知らずの人間に・・・否、今人間じゃなかった・・・半魔人にそんなこと言う奴がいるよ?
ほら、フレディだって、口開けてポカンとしてるよ?
「ちょ、シュテン!」
「何さ?」