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自分もこれくらい
記憶力よくなりたいです。←
スルリとドアの隙間から侵入し、この家の執務室を隈なく捜してみるが、全然見つからない。
デスクの上の書類や引き出し、本棚や本の間など・・・
怪しいところは念入りに捜してみたが、やっぱり見つからない。
「・・・マジかぁ・・・執務室に書類が無い!なんてこと、あるぅ?」
再び、溜息と共に愚痴が飛び出た。
勿論、小声である。
「・・・考えろ。『彼』なら何処に『アレ』を仕舞う?否、そもそもこの部屋のさっきと違うところがあったりしないか?」
ジッと耳を済ませ、誰の足音も気配も無いことを探ると、一度深く息を吸って吐き出して目を閉じた。
ボンヤリと浮かび上がる記憶の中の執務室。
ふと、違和感を覚えた。
「ん?」
目を開けて一度、室内を見渡し、再び目を閉じて記憶を探る。
やはり、違和感を覚えた。
つまり、今の執務室は記憶の執務室と多少のズレがある。
今度は目を開けて、執務室をじっくりと見渡した。




