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ただ、自分の性格から予測するに、月狼を造って、この二頭だけを特別にしたのなら恐らく・・・
「・・・会話が出来るように設定しているよねぇ・・・」
ボソリと呟き、当然この後に起こるであろうイベント内容を予測するため、この森とその先一キロ圏内を範囲に設定して、もう一度探査の魔法を放った。
勿論、こっそりとである。
そうして引っかかった複数人の人間ともう一つの高魔力反応に溜息と共に一歩づつゆっくりと狼に近寄った。
「ジン?!」
「ちょっ、戻りなさい!!」
後ろから驚いたようなルキウスとアランの声が追いかけてくる。
そんな二人に聞こえないふりを決め込み、狼に話しかけた。
「えっと、あの・・・君達二人って、『人語』話せるよね?そっちが仕掛けて来なければ、こっちも何もしないからさ、出来れば話し合いで解決しませんか?」
そう言って私は前方の狼二頭に笑って見せる。
両手にはこっそりと忍ばせた私専用に造られたスズメ型の魔獣を模した硝子式。
騎士団に入って二日目に徹底的に叩きこまれた魔法の訓練と硝子式の扱い・・・。
右手の式の中の術式を物理と魔法攻撃の防御に特化したモノへと変更し、狼に気付かれないように魔力を込めると、そっと放した。
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