出会い
一年ぶりで令和になっての初投稿。
重いものは書けないしか書きたくないのでかるーい内容を。
今週、オレの両親は交通事故で死んだ。親戚には引き取ってもらえず、両親が残した借金を背負うこととなった。
「中三で借金五千万円・・・。」
そうつぶやきながら黄昏の街を歩いていた。
「お嬢様、そろそろお帰りになりますか?」
「そうね、帰りはいつ頃のなるの?」
「十八時頃です。もう家に連絡は済ましてありますのでご安心ください。」
「そう、ありがと。」
お嬢はそう言うとオレの方に微笑んだ。今日は一年ぶりにオレとお嬢とが会った場所に来た。お嬢はそんなこと覚えていいないのかもしれないが、オレはここでお嬢に救ってもらった。あのときはちょうど今頃のような時間帯だった。
俺の前を歩く奴らはカップルなのだろうか、腕を組み談笑しながら歩いている。オレとは違って良い気分なんだろう。オレの後ろは体の大きい男の人を連れた女子高生っぽい人。
「はぁ。」
小さいながらも深いため息をつき、あたりを見渡す。踏切を電車が通過するようだ。
「・・・ぅぶ・・だいじょうぶ、しっかりして!」
女の人の声が聞こえる。軽くたたかれながら目を覚ますとそこには後を歩いていた女性が呼びかけていた。
「君、今踏切に飛び込もうとしなかった?」
「えっ・・・分からないですけど・・・そうなんですか?」
「あなたから負のオーラみたいなのが検知されたの。大丈夫なの?」
そう言われると自然に涙が出始めた。後を電車が通過していく。
「泣かないで。とりあえず近くのカフェでも行きましょうか。」
カフェに入り、コーヒーの香を嗅ぐと少し落ち着いてきた。
「落ち着いてきたようだし何があったのか聞かせてくれる?」
これまでにあった経緯を話し、踏切に飛び込もうという意思はなかったと言うことを伝えた。
「そうなのね。実はこのアンドロイドが周辺情報を観測し続け、あなたから異常が感知されたの。」
「そもそも、横の男性アンドロイドだったのですか。」
「そのことそんなに気にしなくて大丈夫よ。それよりも君、今日から私のところに来ない?一時的には君の借金も肩代わりするし、ね?」
突っ込みどころはあるが、オレにとっては悪い話ではなかったが、これまでに親戚がオレを見捨ててきたことを考えると簡単に信用できない。
「その、あなたはどういう方なのか教えて頂けますか?」
「そうね、私の素性を言っていなかったわね。私は藤原楓、中学三年生よ。藤原グループの娘よ。」
藤原グループとは日本を代表する巨大企業連合で最先端技術を研究、開発、販売や銀行業、自社警備までも行っている。噂では海外に民間軍事企業まで持つという噂まである。また、この女性が本物と思わせるほどの奥ゆかしさを持ち、横にいるアンドロイドとやらも未だどの企業も発表していない。
「はぁ。その、ちなみにアンドロイドとやらは本物なのですか?」
「はい、そうですよ。触ってみますか?最初期型の金属製ですので結構堅いですよ。」
少し席を移動し触って見ると確かに金属のような感じである。
「もう人生一度終わったと言っても過言ではない身です、分かりました。」
「そう、うれしいわ!それじゃあ今から私の家に案内しますね。マイク、今すぐ車の用意を。」
マイクというのかと今頃アンドロイドの名前を知りつつ、中学生にはつらいコーヒーを飲んでいるといかにも高級車な車がカフェの前に止まった。
「それでは行きましょうか。」
車で三十分ほど走ると巨大な門が現れ、ゆっくりと開き始めた。そこから五分走ると西洋の明治や大正あたりに建てられたであろう古い建物が現れ、入り口に付けられるとホテルマン的な人が車のドアを開けてもらった。
「さあ、入りましょう。」
そう藤原さんに言われ入り口に入っていった。客室に招かれるとメイドはすぐ席を外し二人きりになった。
「それじゃあ、この契約書にサインして♡」
なにも考えず一つ返事でサインした。契約には所得税の取られるギリギリの給与が書かれていた。
「あなたが最初に私の家に来た人間よ。」
「えっ?」
「この家には人間が私しかいなくて、ほかのみんなは全部アンドロイドなの。」
オレは黙り込んでしまった。
「それじゃこれからは執事室があるからそこ使ってちょうだい。あなた用のロボットもあるから自由に使ってかまわないわ。」
「ありがとうございます。失礼します。」
そう言うと部屋から出て執事室へ向かった。
執事室につくとクローゼットを開き、それっぽい服を着た。部屋中を見渡し、変わった置物なんかを見ていると机の上の黒電話が鳴り響いた。
「もしもし、私よ。今すぐ部屋に来られるかしら。」
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