作戦3-⑥ 能力診断テスト、明暗
新、ケイン、カミィは師匠の家から出ると、どこに通り魔がいるのか、どこを目指すかを考え始めた。
とりあえずこの街にいることはわかっているから、どこか人気の無い場所か、それともあえて住宅街や交差点のように人が多いところで人に紛れているか…
新が頭をフル回転させていたその時だった。
「あっ!そうだ!師匠がいる場所か、その近くにいるんじゃないかな?師匠なら、もしかしたらもう通り魔の居場所突き止めて、今まさに捕まえようとチャンスを狙ってるかもしれないよ。それか、もう捕まえたかも!」
いきなり声をあげたのはケインだった。
新は驚きながらもケインの話を聞いて、そうかもしれないとケインの考えに同意した。
確かに師匠なら、もう通り魔の居場所を突き止めているかもしれない。
なら、自分達で探すよりも効率よく通り魔の居場所を突き止められる。
そこまでは良かったが、2人は大事なことを忘れていた。
しかもそれは、かなり致命的な問題だった。
「ねぇ、師匠のいる場所どーやって見つけるの?お馬さんじゃなくて、今度は師匠とおいかけっこするの?」
カミィが的確に、そして明確に2人に突きつけた疑問は、2人の力作に鋭いメスをいれた。
…そうだ。なにを考えてたんだ。
師匠の居場所がわかれば、最初からそこに向かっている。
しかし、そうしなかったのは師匠がどこに行ったのかわからなかったからじゃないか。
「あ…あぁ…。そっか~!俺達師匠がどこに行ったのかわっかんねーよ!それじゃあ結局自分達で探しながら行動しなきゃいけねーじゃんか!」
新が頭をグシャグシャとかきながら大声で怒鳴ると、ケインも続けて小さくため息をついた。
「そうだね。僕たちだけでどうにかしよう。元々そのつもりで外に出てきたわけだしさ」
ケインにそう言われ、新はしかたないと言わんばかりに大きなため息をついた。
ははっ はははははっ!
すると、2人のやり取りを見ていたカミィが笑いだした。