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親作品(テスト)  作者: 浮波飽駄
鬼畜高校九野咲、まず登校が鬼畜でした。
1/9

その印は僕の初めての恋の証。

ちろるという者です。

青い春を書きたくて恋の1話を書きました。

あまあまです、羞恥心を刺激されるかもですねー

コーヒーの準備と夏の終わりをお楽しみください。

何が分からんが喰らえ!

夏は好きだ。


彼は唐突に言う、木漏れ日がさす手作りブランコの中で彼女を見ながら笑って言う。

ボクもだよと彼女は返す、木漏れ日さすブランコの反対側に座り彼を見返しながら笑って返す。

じりじりと日照りが地面を焦がす森の一角で、

ブランコに乗りながらたわいもない会話をしていく。


「夏の何が好き?」

彼女はブランコを漕ぎながら聞いてくる、

その表情はにひっと口元を曲げて笑う…野性的だ。

普通に森であったら食われそうと前に冗談で言ったらちょっと嫌そうな顔をしたけれども。


僕は野性的な彼女が好きだった。

何が好きか…と聞かれたら、ニカッとよく笑う時にでる犬のような歯。切れ長な目、その双眸に収まる茶黒い瞳孔。艶を放ち夏の陽を跳ね返す白の長髪。

…もう思いつかないけど、取り敢えず好きだ!


そうだな…仕草も好きだ。

長い長髪をかき分ける時のにこりと微笑する一時。

喜んだ時の子供っぽい派手なリアクション。

癖になっている欠伸の後のふにゃりとした表情。

…思い出すだけでなんだか幸せな彼女が好きだ。


か、体に目が言ってしまうのはっ!男の性だろう?

だから…えーっと、うん。


胸が大っきい…この前暑さで倒れた時、咄嗟に抱きとめてくれた時頭が胸に抱かれた。

すっごく柔らかくて、着痩せするんだなってぼーっと

する頭でそんな事考えてた。


太ももが(あで)やかで、キレイだと思った。

倒れた後に、膝枕してくれた…むにっとしてて、頭が沈んでいく感覚が気持ちよかった。


あぁ…でも、なんだかんだ一番好きなのは彼女の優しさ。彼女は僕に色んなことを気にかけてくれている、

まるでお姉さん、僕の姉は死んじゃったけどまるで優しい姉さんみたいだ。


彼女を見る度にこんな思考がぐるぐる回って回って、

思わず頬が熱くなってしまう…そんな僕を彼女は笑う


「どうしたの?もしかしてボクに惚れた?」

ふふふっと口に手を当てなーんてねっなんて言う彼女にますます僕はあははと返しつつ内心ドキドキ。


けれども、自分はこの夏にひとつ決めたことがあるし

ここまでの会話はこの為のお膳立て。

活かさなければ損というものだろう。

「僕、君と一緒に話せるなら、正直春夏秋冬何時でもいいんだよ。…君が好きなんだ。」

夏が好きなのは口実で本命はこの遠回りな告白の為。


突然の告白に目を見開く彼女は。

「えっあ、あぁそうなんだ。」

とても驚いた様子だった、だがその頬は明らかに赤くなっているのが分かった。ちょっと何故かわからないが嬉しかった、告白で紅潮してくれたのはどういう意味なのだろうか?


…場は静寂に包まれる。また何とも分からない蝉の声が木霊する。風が葉を揺らすガサガサという音も。

大自然の風が森の全てを音にして運んでくる、

それらは僕の心を鎮めてくれる。

落ち着いて、ゆっくりと…そうゆっくりと。


僕はそのまま告白か口説き文句か…自分でも分からなくなってしまった会話を続ける。

「夏が好きなのは…大好きな君といっぱい話せる、学び舎の夏休みがあるからさ。」

夏休みを選んだのは学び舎は秋に始まり夏前に終わるから。冬休みもあるけど布団でごろごろしてるだけだからね、流石に選べなかった。


「夏休み…そっか。」

言葉は短いものの、ちゃんと噛み締めてくれているような気がした。勘違いかもしれないし分からないが。

「うん、夏休みだといっぱい釣りしていっぱい山を歩き遊んで…いっぱい君と触れ合えるから。」


「…ボクが好きなの?本当に本当に?」

「僕は嘘をつかないよ、僕は鬼祓いの家系だからね」

「うぅ…ボ、ボクだって好きさ!」

…何だと?今正直予期せぬ言葉が彼女の口から出てきた、それは思わず聞き返してしまうぐらいに。

「えっほ、本当?」

「う、うん…キミの嘘をつかないとことか、勉強教えてくれたり…何より嘘つかなくて、生真面目で、

ボクを気にかけてくれるじゃない?」

意外とちゃんとした理由で逆にこちらの頬が紅潮した、そして自然と嬉しさが頬から涙腺へと込み上げる


ねいはちゃんと応えてくれた、僕の告白に対して。

僕はなんだか自然と涙が出てきた。

「えっちょ、ボク?ボクじゃあダメ?」

「違うよ…うっぐしゅっ、君がっ僕の事好きって…」

「う、うわわ!ちょっ泣くのやめて、暑いんだから、また倒れて美味しくない水飲まないといけないよ?」


ふふふっと僕は笑ってしまった…いつものように煽ったり弄ってきたりしないで、本気で慌てている彼女が可愛くて、ついつい意地悪したくなって。

「わ、笑った!今ボクの事笑った!ほ、本気で心配したのに!酷いよじん!」

「ねいがそんなに心配してくれるのって珍しいから、つい、ふはっうふ。」

おかしな笑い声が出てしまう、本当に彼女らしくなかった、新しい一面を見れた。



「むっ…そんなじん嫌い」

「えっ、ちょっ嘘だから、冗談だから!」

流石に慌てる僕は何故か意味の分からない言葉を投げる。(嘘ってなんだよ嘘ついてないだろ…)


「ふんっ」

「いえ…あ、あの…ご、ごめんなさい…」

しばらくねいは片目でじーっとこっちを見ていたが

ニヤリと陰湿な目を向けてくすくすと笑う。

こめかみに筋が集まるじんは、ふーっと息を吐き出すと座っていたブランコから素早く立ち上がり、

ねいに握ったこぶしで殴り掛かる。


割と喧嘩で拳を使うのは二人では茶飯事で、寧は喧嘩が上手い。体がしなやかで柔らかく、姉から習っているのだと言う。


ねいは直ぐに受け身を取るため両手を交差させる。

仁の拳はかなり速いが寧は見えている、回避を選ばなかったのはお返し。

(ふふっその手は読めてるぞー?)

(とか何とか思ってんだろうなぁねいは、ふんっ)

案の定じんはねいの受け身にはまる…かと思われたが

寸前で後ろに少し飛びねいの受け身からの反撃を回避しつつ、ねいの耳元に素早く近づき、息をひと吹き。

「貰ったー!…ひゃっ?!」

突然の弱点責めに変な声を出してしまうねいはそのまま腰を地面に打つかと思われたが、

じんの勢いを利用した受けとめにより事なきを得た。


「ぐっ…なんでボクの弱いとこ知ってんのさー!」

「ん?この前強い風が耳元に当たった時小さく喘いでたのきこえたからなあ。」

なんという事か…正直変態発言である。


「くっそーこの変態め!」

「変態とは失敬だな。それを言うなら君だってたまに模擬戦で僕の股間狙ってるの見て回避した所に蹴り入れられるの参ってんだからな。」

いや変態だろと言う声は置いておいて…その行為もどうかと思った。男に付いている弱点は決定的な物、喧嘩は女が強いと仁は個人的に苦い顔をしながら思う。



「あ、あれは違うもんね!男にそんなものが付いてるのがいけないんだもーん。」

「今の発言こそ変態じゃないか…まったく」


ゆっくり腰に添えていた手を離そうとするじんを

ねいは止める、じんはねいをみる。

微笑むじんとねい、それは微笑みから直ぐに声を出して笑う事となる。

ひとしきりくすくすと笑った後じんは言う。


「僕は君が好きだ、どんな君も…恥じらう君も、

殊勝な君も、嘘つきな君もね。」

ねいはじんに抱かれた格好のまま空を見上げる。

何とも絵になる光景だ、風吹く丘で男が女の足を持って抱く…二人とも空を見ているので尚良しだ。

「…そっか。」

返事は素っ気ないものだが恥じらいの気持ちが声に滲んでいた。じんはやはり恥ずかしいらしく、頬をぽりぽり掻いてしまう。「だから…そのっ」


"好きだ"そう言えない…我ながら情けないと思う。

どうしてこう…決め手に欠けるのだろうか?

そんな事を思考の片隅に置いていたら…

答えは"ねい"が出した、ねいは自分の唇とじんの唇を重ねる。じんは驚いて目を見開き、思わず体制が崩れ芝生の中にふぁさっという音を立てながら転ぶ。


ねいは口を離す、じんは恐る恐ると言った形で聞く。

「ね、ねい今のは…何?」

「おや、じんくん?勉強不足だ!」

ねいは少し恥ずかしいのか?顔が見えないよう、

じんに背を向け首あたりに手を組む。

口付けという概念は仁の中に無い、何だか恥ずかしいものなのか?とねいの反応をみて思ったが。


「口付けの呪印!昔は相手と口を付けると、それは愛の証として見られたんだって。」

「呪、呪印?!あっ愛?!ぇっえ…」

(えっ呪印?悪いやつじゃないよね?あ、うん愛の証明らしいしうん、違う違う。)


「もう、動揺しすぎ!呪印はうそ、印だよ。

(じん)が可愛いから嘘ついちゃった。」

「か、可愛い…ふーんっじゃ、じゃあお返しだ!」

がばっとふわふわの芝生に倒れた拍子に布が風に触れて(なび)く音がする…仁は(ねい)を押し倒し唇を奪う。(僕は何をやってるんだ?!)

今更遅いよという突っ込みが飛んできそうな考えはともかく、勢いのせいか寧は少し芝生とは言え押し倒されることで痛かったようで…


「…強引、ちょっと痛かったから60の負点!」

…お怒りの負の点らしいです、まぁ確かに乱暴だったし繋ぎが強引だったと思う。

「く、口付けなんて知らないよ…負点は酷いなぁ。」

ボヤく仁は寧をまた見つめる。顔を見つめれば自然と頬が緩んでくる。不思議と二人は面白げに笑う、夕日はだんだん暗くなっていく…仁は寧から離れ横に寝転ぶ。


「でも…印を刻んでくれたのは嬉しい、だから60の正点で相殺してあげる!」

元気よく上から目線で言う寧に、笑いながら仁は。

「ははっそりゃあ…どうも。」

地平線に沈む太陽をみて黄昏ながら返事をする。

しかしどんなに黄昏ても、唇の印は切なさを感じさせる…甘くとろけるその印は、何故か酸っぱいはずなのに胸をいっぱいに満たす…とも思えば意識を離せば切なく感じる(これが、幸せって事なのかな?)青年はその日、初めての印付を行った。



仁は夜になると寝る前に今日の記録を付ける。


鳥の年8月26日

晴天猛暑(せいてんもうしょ)青々光る、今日は寧と遊びました…暑い芝生の中いつものようにブランコと名付けたその椅子に座りながら…幸せを感じました。

いつも見れない彼女の何か。

初めて知った幸せの印、胸が満ち足りる印です。

口付けの印と言うらしいですが、僕は寕から貰ったので、寧の印と心の中でそう名付けました。

今日の日ほど過去より幸せを感じたことはないでしょう、願わくば今日をいつか来る死の日まで忘れなきことを…


仁曰く、最初の晴天猛暑青々光るという所がお気に入りらしい。何とも子供っぽいと言うか…

日記をつけ、明日の準備を済ませ床に就く。

今は10時…明日は学び舎の始まりだ。



如何でしたか?

お楽しみいただけたなら幸いですね。

あまあまなお話のせいでミルクは欲しくても、

コーヒーシュガーはいらなかったんじゃないんですかね?


次回投稿日は未定です、近々としか言い様がないですねぇ…趣味投稿なので暇のない時に読んでくださいね。

暇をこの話に使っちゃダメですよー?

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