二周目 30
「始め!!」
ドワイスの開始の合図とともに、俺は盾を前に構えハンスに真っすぐつっこんでいく、ホーンラビットでのレベリングのおかげで基礎体力は結構高い。
ハンスは俺のスピードに少し戸惑った様子だが、すぐに冷静に剣を俺に向かって構える。
俺は構わずハンスに突っ込んでいく、そして、盾をハンスに向かって投げつける。ハンスは今度は読んでいたのだろう剣で盾を受け止める。
やはりハンスは強い!
一度の経験を次に簡単に生かせるだけの自力があるのだろう。
俺の盾は遠くに弾き飛ばされる。
しかし、ハンスに戸惑いと驚愕が訪れる。
目の前にいるはずの俺がいないからだ。
俺は盾を投げつけると同時に体制を低くし更にスピードを上げハンスの死角へと、先の戦いで盾に意識が言っていたのだろう容易に足元に滑りこめた。
ハンスは俺が消えた様に感じただろ。
次の瞬間、ハンスは天と地がひっくり返る。
俺はハンスに向かってス〇リートファイターのリュウ・ケンの↓強キックばりの足払いをした。ハンスは天を仰ぎ倒れる。
俺は別に俺より強い奴には会いたくないが出会ったのなら仕方がないだろう。
俺は剣を蹴飛ばし、短槍をハンスの喉に突きつける。
「そこまで、勝負あり。」
親父殿が勝負の終わりを告げる。
「ハンス殿これで決着でよろしいかな。」
親父殿はハンスに話しかける。
親父殿その終わらせ方はだめだ。『これで決着でよろしいな!』と念を押さないと付け込まれるって、、、
「いやいや、三本勝負ですから三本先に取った方が勝者でしょう。まだ、そちらが二本取っただけでこちらは負けてはおりませんよ、アースノット卿」
ドワイスが割り込んでくる。
そら、この村で金貨100枚は致命傷だろうけど、酷しぎやしませんかねえ。
親父殿とドワイスが話し合い三本取った方が最終勝者となることに決まった。
親父殿としては自分の腹が痛むわけでもないので、この機会にドワイスに貸しを作っておきたかったのだろう。ドワイスにしても子供のわがままで自領がピンチになるのを防ぎたいしメンツもあるし必死だ。
ドワイスは俺よりハンスの方が強いのが見て取れるのだろう、そして、恥も外聞もなく決着のゴールポストを動かしてきた。
俺はハンスに話ける。
「ハンス、お前はこれでいいのか?自分より弱いものに喧嘩吹っかけて、二回も負けて、自分の爺さんに恥ずかしい思いをさせて、自分のエゴで幼馴染をとりかえす、、、僕が買う奴隷の子は大抵やせこけて栄養状態もよくないひどい有様の子供たちが殆どだ。バジとジルのことはあまり記憶にないって事は同じような感じだろう。当家にいる奴隷たちは当家に逆らわないという制約以外は領民と待遇はほぼ変わらない。仕事もあって食べるものも困らない。それでもこの村に戻したほうがあの子たちにとっては幸せか?」
「うるさいだまれ。友達が奴隷として売られていった者の気持ちなぞ、お前にはわからない。」
「ああ、判らないよ。そんなに大事なら奴隷に出させるようなことはさせないけどな。」
「もういい、勝負だ!」
ハンスは俺に剣を向ける。
ハンスも判っているのだろう、自分がどんなことと言っているのか。それでもどうにもならない心が自分にこの行動をさせているということを。。。
情けないような辛い様な悲しい表情で俺に挑んでくる。
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