二周目 26
数日後、俺たちはノット村を立ちクライスト領の領都【ベリー】へむかう。
ノットからベリーまでの道のりは、馬車で約10日ぐらい掛かり、途中に村、街が大小あわせて15ほどある。ノット村から一番近い村【ガクリン】は人口50人ほどの小さな開拓村で豆を主にした農業で成り立っている。この村はドワイス騎士爵家の領地で極貧の極みに陥っている。領主のカール・ドワイスはちょうど当家とおなじ時期に叙爵され現在の当家の領地と現在の領地どちらかを選ぶことが出来たがノット村を選ばす、鳴かず飛ばずの状態に陥っている。
当初は極貧騎士爵としてお互いに助け合っていたが当家が綿花を見つけ発展していくのを横目で見て当家のことを妬みだしクライスト伯にある事ない事吹き込んでいるようだ。俺としては村の周りに平原があるので開拓すれば結構な作物が収穫できるのではと考えているのだが、当主が個人の武ばかりを前面に押し出してくる人物で商売で儲けようとしている当家を何かとさげすんでくる。
それでも、近所付き合いも大切なので親父殿は何かとコミニケーションを取っている。
俺たちはガクリンの広場で野営するためにドワイス卿の館に赴く。
人口50人程度のガクリンには宿屋などなく、当然野営となるのだが一応、断りは入れて置かないといけない。
「ドワイス卿は居られるか!」
大きな声でドワイス家の館の前でドワイス卿を呼ぶと、後ろから「そんな大きな声を出さなくても聞こえておる。」と声が返ってきた。
其処には爺さんぐらいの歳の恰幅のよい男性がめんどくさそうに立っていた。
「これはこれは、ドワイス卿そんなところに居られたか。。。」
親父殿はドワイス卿と挨拶を交わす。
ドワイス卿と爺ちゃんとは戦友で同じときに手柄を立て騎子爵に叙爵されたが、爺さんとは違いまだ当主で領地を取り仕切っていた。
ふと、ドワイス卿の後ろを見ると俺と同じぐらいの子供が俺を睨みつけている。
「よー、ハンス久しぶり。」
俺は手を上げ挨拶をする。
ハンスはドワイス卿の孫で俺より二つ年上だったはずだ。
ハンスはツカツカと俺のもとに近づいてくる。
そして、、、、
「おい、バジとジルを返せ。」
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俺は首を傾げる。
「とぼけるな、ジュード、お前が俺の村のバジとジルを奴隷にしたことはわかっているんだぞ。」
すると、リリーが近づいて小さな声で教えてくれた。
バジとジルはすこし前に親父殿から押し付けらてた奴隷でバジは14歳の男の子でジルは15歳の女の子のことだった。
奴隷も50人を超えてきてすべては把握しきれない。新しく来たものはそういえばいたなぐらいの認識出しかない。
「ああ、確かにバジとジルいう奴隷が少し前に僕のところに来たようだがそれが何かハンスと関係があるのか?」
「あ~あ、なに言ってるんだお前、おれの幼馴染だから返せって言ってるんだよ。」
貴族の息子がヤンキーかよまったく。
「いやだね、もし返して欲しいって言うのなら俺から買い戻してみろよ。」
「ああ、買い戻してやるよ、其処でまってろ。」
ハンスは館の中に入っていく。
俺は親父殿とドワイス卿を問いただす。
「これはどういうことことですか?」
すると、親父殿が説明してくれた。




