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二周目 25

「父上、僕がお金を出すのであればお願いがあります。」

断れないのであればとお願いしてみることにした。


「なんだ、いってみろ。」


「父上、この話が断れないのであればクライスト伯にお願いしていただけませんか。」


俺は自身の商会の設立と商業ギルド入会許可、クライスト領での通行の自由、各町への支店の設置を願い出ることにした。貴族だからという理由で自分で商会を立ち上げるのをおふくろ様から禁止されていたけれど実際問題、多くの貴族が傘下に商会を持っている。だが、金儲けが卑しいものと考える貴族が多いのも事実だ。子供のうちは商会という形ではなく俺個人の小遣い稼ぎみたいな事業という認識で許してもらってきたが規模が大きくなりすぎて、そろそろ商会(会社形態)にしなければキツイ。

ちゃんと組織化をはかり、俺がいなくても継続的に回るようにしなければ今後やってはいけないだろう。俺の事業が躓けば学院でかかる費用はアースノット家の財政を大いに圧迫する。


「そんなこと俺が言えるわけないだろ。」


「どうしてですか、父上!!僕がいなくなって、僕の事業が上手くいかなくなればアースノット家からの支出になるのですよ。折角、上手く領地の経営がいっているのに学院の為にじり貧になるかもしれませんよ。」


「なら、お前が交渉しろよ。」


ええ?

当主でもないものが交渉できるわけないだろ。。。

しかも、騎士爵ふぜいの息子だぜ?

それに、子供だぜ・・・

無理無理無理。。。。

俺がクライスト伯なら、お前舐めてるのかってなるね。

侮ってるのか!!ってはなしだよ。。

でも、親父殿ならば端くれとは言え貴族の当主だし、上納金も沢山収めることができるようになってきたし、学院の費用を我家に負担させるのだからそれと引き換えにこれくらいクライスト伯に吞ませることが出来るはず。

別に伯爵の懐が痛むわけでもないし、当家に対する貸しも出来るし、これくらいはきっといけると俺は親父殿に訴え続ける。


「俺が嫌なんだよ。クライスト伯爵家の有望陪臣貴族として折角認知されてきたのに、金の亡者みたいに思われるのが嫌なんだよ!!」


「僕が交渉しても金の亡者みたいに思われるのは代わらないと思いますよ。だったら、成功率が高い父上がやったほうがよいと思いますよ。それに息子に世間を知らしめるためにとか俺にかずければ、それほど父上の株は下がらないと考えます。」


「そうか??」


「そうですよ!!」

ここが押し時だと一気にまくし立てる。

「父上の代に代わってから、アースノット領は確実に発展していっています。その当主である父上が次期当主である僕に少しでも経験を世間のことをわからせる為にあえてやらしてみる的なことを言えば説得力も出ます。」


「そうかぁ・・・」


「そうです!!」


親父殿は考え込む。

そして、親父殿はセバスのほうを見る。


俺もセバスのほうを見る。

お願いセバス、親父殿の背中を押して!!


「旦那様、アースノット家の家令として一言申し上げますと、もし、ジュード様の事業が駄目になりますと順調に言っている当家の事業にも影響が出てまいります。ジュード様の事業と当家の事業はもう密接に係わりあっておりジュード様の事業がなくなると学院の費用を捻出するために当家の予算の殆どが消えていくと考えられます。下手をすると伯爵家に借金をお願いする羽目になるかもしれません。」


えっ?

借金なんかできるのって顔でセバスを見るとセバスが説明してくれた。

伯爵家のご子息と学院に行くことは大変名誉なことではあるのだが、反面、伯爵家からの援助で学院に通うので伯爵家に完全服従で今後、手柄をたてて男爵に陞爵されても完全にひも付きになってしまうそうだ。伯爵家の庇護のもとに入るのでそれはそれで別に悪いことではないが伯爵家の依頼はほぼ断れなくなるだろうとの事だ。

騎士爵、準男爵であれば貴族といえども伯爵家の陪臣みたいなものだから問題はないけれど、男爵に陞爵したとしても完全に言いなりになるのは折角陞爵しても残念な感じになってしまうみたいだ。


俺としては貴族として一本立ちするために最低でも男爵になっておきたい。

そうしないと、俺がこれからやろうとしていることができない。


親父殿はセバスの言葉をきいて更に考え込む。。。


「よし、一応、伯爵にお願いしてやる。だが、お前も一緒に会談に出席してお前からも願い出ろ。」


「ありがとうございます、父上!!」

俺は胸をなでおろす。

親父殿の口ぞえがあれば多分何とかなるだろう。。。


「しかし、ジュードよ。お前、口が上手いな。。。。。。」

親父殿は苦笑いをする。


それを見たセバスが苦笑いをする。


それを見た俺が苦笑いする。


親父殿の執務室にほのか苦い空気が漂った。




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