二周目 11
エルウッド商会が我が家になってきて、我が家との商談や村での物品販売がひと段落して、俺は親父殿に呼ばれた、やっとエルウッド商会と引き合わしてくれるのだろう。
エルウッド商会はクライスト伯爵家の領都【ベニー】に本拠地を置く中規模の商会で爺さんがクライスト伯の従士をしていていたときからの付き合いであり、この土地にわざわざ物資を運んできてくれる唯一の商会である。もともとは、ベニーに小さなお店を構えながら各地で行商を行いそれをベニーの店舗で捌くという一般的な小規模商会であったが、大胆にも爺さんが騎士爵に叙爵されこの地を拝領したときにこれに賭けベニーとノット村を往来する商路を開いた。
その結果、我が家が綿花を発見しさらに綿実油を開発することによりベニーで中程度の商会にまでなることが出来た。よくもまあ、こんな辺鄙な場所に勝負をかけたと俺なんかは思うがよほどの勝算か爺さんに弱みをにぎられっていたのだろうか。とにかく現段階ではエルウッド商会は当家との取引を独占しており結構な利益を得られているはずだ。特に綿実油はベニーでは人気で品薄状態が続いているらしい(ベニーで隠居している爺さん情報)。王都でも人気でベニーの特産品として販売されているらしい、ノット村原産なのに。。。。。
そんなわけで、エルウッド商会と我が家はズブズブの関係だ、向こうも当家を切ることは出来ないし当家も向こうを切ることができない。艱難辛苦を舐めあったもの同士結構つながりが深いようだ。
この先、当家が大きくなった場合、一商会だけとの繋がりだけでは心もとないので俺は新たに取引先を探したいのだが親父殿はいい顔しないだろうなぁ。リスクの分散は経営の基本の一つなのだがなぁ・・・・
そんなことを考えているうちに俺は親父殿に呼ばれる。
「ジュードです。父上御呼びでしょうか!」
大きくはっきりした声で親父殿の部屋の前でノックし声をかける。
「入れ。」という声が中から聞こえ俺は親父殿の部屋にはいる。
ソファーに座り親父殿と談笑していた男が立ち上がりこちらに向かいお辞儀をする。
男は大きな身体に引き締まったボディ、そして、頬に大きな傷をもっていた。たぶん服の上からでは判らないが体中傷だらけなのかもしれない鎧を着ていれば歴戦の勇者の風貌だろう。この風貌で商売ってかなりキツそうだが。。。。。ああ、そうかそれで我家に賭けたのか。
「お初にお目にかかります。エルウッド商会会頭のダンでございます。本日は当商会になにやら頼みたいことがおわりとか、何なりと私にお申し付けください。」
俺も軽く親父殿に目配せした後名乗りをあげる。
「こちらこそいつも世話をかけている。私はカール・アースノットが長男ジュード・アースノットだ。今回は父上に頼みこの席を設けてももらったのだが、私が何を頼みたいか聞いているか?」
「いいえ、詳細はジュード様から伺えとのことでなにも存じておりません。」
「そうか、では・・・・」
俺は要望をダンに伝える。
俺は領内で産業を起こしこの領地を更に発展させたい、そのために私個人で人を雇いたいのだがこの土地に来てくれる人はいても子供である私個人に雇われても良いという人間がいなくてエルウッド商会になにかコネがないか、もしくは、商会から人を回すことが出来ないか聞いてみた。
「詳しく事業内容をお教えいただくことは出来ないでしょうか?どのような人材をジュード様が欲しているのかわからないのでは見当違いの人間を紹介してしまいかねません。」
親父殿も横から口をだす。
「そうだ、ジュード、お前が何をやりたいかまだ聞いてなかったぞ。」
親父殿それでいいのか!!と心の中で突っ込みながら俺は考える。
どうしよう、これ、話していいのか?
出来るかどうかもかからないし、、、いや、多分できる。
暫く独占したいんだけど。。。。
どうしよう。。。
俺は黙りこくる。
ええい、ままよ!!
俺はすべてではないが内容をはなしはじめる。
ブクマ、評価いただけたら筆者が小躍りしして喜びます。
それを見たお嫁さんが転げまわって笑うのでなにとぞブクマ、評価おねがいします。




