二周目 5
なんとなく時間があったので更新しました。
おふくろ様は俺に優しく語り掛ける。
「ジュードはどんな商人を目指していたのですか?」
「はい、お母様。私はこの村を富ませるためだけにお金をもうけたいです!」
おふくろ様は頭を振る。
やべ、、ちょっと答えが子供過ぎたか。。。子供っぽくないとか思っているようなので安直にこたえてみたのだが、、、、
「ジュード、本当にそう思っていますか?」
おふくろ様は俺をじっと見る。
「ごめんなさい、本当はそんなこと考えていないです。。。。いや、考えていないわけではないです。本当にこの村を富ませたいとは考えているんです。ですが、本当は、お金が好きなんです。私はお金が好きなんですお母様!!お金を稼ぐにはやはり商人が一番手っ取り早く確実なのです。そして、アイデアも少しはありますし、基本的には物を安く買って利益を乗せて誰かに売るただそれだけですし。。。」
「あなたが考えるほど簡単に事が運ぶとは私には考えられませんが、安く買ってといいますがどうやって安く買うのですか?簡単に安く買えるのなら私なら貴方から買わずにその安く買えるところから買うことにしますし、そのアイデアが何かかは知りませんがそれは本当にうまくいくのですか?もし上手くいかなければ、このような小さな村の財政など直ぐに破綻しますよ。」
「そうですねぇ、私もそう思います。でも、安く買うことの出来るところがあって、、、それを、高く売ることが出来るのなら誰でももうけることができるのではないのですか?」
「そのようなものがあれば出来るのでしょうけど、あるのですか?」
「それがあるのですよ。お母様!」
おふくろ様は黙り込む。
それを見て俺は得意げに話し出す。
「この村の特産物の綿ですよ。これはこの辺りでは採るのは大変珍しい植物です。これを採取から販売まですれば丸儲けではありませんか?」
おふくろ様は黙ったままだ。
さらに、俺は話し出す。
「ここに出入りしている商人明かに暴利を取っているような気がします。それに、ここでしか採れないものですから販売するにしても価格はこちらのつけ放題ではありませんか、それに・・・・」
「判りました、もうその辺でいいでしょう。」
おふくろ様は俺の話を遮る。
「では、私に部下をつけていただけるようにお父様に進言していただけるのですか?」
おふくろ様は首を振る。
「どうしてですか、お母様?」
どうしてなんだよ、おふくろ様、簡単に儲かる仕組みを他人にやらせるのはよろしくないのでは??
「貴方の考えが浅はかというのは判りました。やはり賢そうに見えても子供なのですねぇ。。。」
おいおい、俺は見た目子供だが中身は還暦過ぎてるお爺ちゃんだぞ、、、中身は爺さんより年上だ!!
「どこがいけなかったのですか、お母様!」
「何もかもですよ。。」
そう言って説明を始めた。
おふくろ様が言うには、第一にそれは親父殿が認めてくれないって言うのがあるのだけども考え方が甘いと言われた。そんなことを爺さんや親父殿が考えないはずないじゃないかともいった。
開拓を始めてから今の今まで、この僻地まで、綿を買い付けに来てくれ、そして、月に一度はいろんな商品を運んできてくれるそんな商人中々いない、それにあの商人は爺さんがクライシス伯の従士をしていてきた時からの付き合いで本当にこの村が苦しいときに助けてくれたそうだ。そのようなものを少し儲かるようになったからといって切れるわけないとも、、、それに、綿の利益がないとこの村の人口では半年に一度ぐらいしか行商人は着てくれない、そうすれば毎月来ていていたものが買えなくなる村人はどうなるのだとも、、、また、独自に始めるにしても当然今いる商人は反発して抵抗するだろう。妨害してきて商業ギルドに加盟できるかどうかもあやしいなどなど、、、、、と無理な理由を挙げられた。
「では、それらの条件がクリアになればいいのですか、お母様?」
俺は問いかける。
「ジュード、まだ無理ね。いまいる商人。。。エルウッド商会のことだけども、相場がどうあれ毎年一定の価格で綿を買い取っているのよ。今のところ綿の生産量は開墾した分を除けばほとんど変動のない安定したものだわ。だからこそ、一定の価格で買い取ってくれるということは村の予算が確実に組めるということでもあるの・・・・なぜ、それが大事なことかわかる?」
「クライシス伯爵家に支払う税ですか?」
「そうそれもあるわ、基本的にクライシス伯爵家に支払う税はざっくり12歳以上の人に対して男性銀貨50枚、女性25枚、それと騎士爵家としての税金貨20枚後もろもろで、、、年間金貨100枚ほどよ。それを不安定なものには出来ないっていうのもあるわ。」
「でも、相場が変動するからといって今より収入が減るわけではないでしょ?」
「多分だけどないと思うわ。」
「なら、自分でやったほうが得なのでは?」
「私たちアースノット家は端くれといっても貴族なの面子もあるから儲かるからといって商人じゃあるまいしリスクを臆面もなくとることわできないわ。」
「だから、私が商人になると。。。」
おふくろ様は首を振る。
「もし貴方が商人になっても、そんな利益感情ばかりの人には任せられないわ。エルウッド商会はこの村の立ち上げから係わってくれた信頼関係があるのその信頼以上の利益を我が家にもたらしてくれるというのなら話は別だけど、それが貴方にはできて?」
「・・・・・・・」
俺は考え込む。。。無理だろうな。多少の増収は見込めても自身の収入も欲しいし其処までの利益はのぞめないか。。。。
「ちなみに、村人からは男性一人金貨1枚(銀貨100枚)、働いている女性からは銀貨50枚、主婦の場合は25枚徴収しているわ。」
「なら、税の問題はクリアなのでは?」
「そのかわり、アースノット家が湖への道の整備や、開墾、治水、魔物対策なんかをお金を払って村人たちにやってもらっているのでそんなには我が家にお金はのこらないのよ。」
おっと、親父殿結構考えて行政しているんだな。
税金で集めたお金で開発して雇用を生み出したりしてたのか、そして、開発して人が増えればさらに大きなことが出来るっていうのか・・・少しずつではあるが地道に発展はしていくだろうな。
「結局、地道にやるしかないのですか、我が家は。。。」
「そこなのよ、貴方が貴方のお父様に言ったようにお金を借りて開発するって言うのも私は案外いいのではないかと思います。利子以上に稼げば問題ないのですからね。ただ、五歳の子供の発言ではないわね。。。。。。」
俺は八ッと、おふくろ様の顔を見る。
そして、ボソッとつぶやく、、、
「リスクを恐れ動かないなんていうのは老人がすることだぜ」
おふくろ様がキョトンとする。
「今、なにか言いましたか?」
「いいえ、なにも。」
俺は笑顔で答える。
アンナが俺の後ろで青くなっているのが見なくても判る気がして少し面白い。
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