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四原色の呪法  作者: 二泊十日
第一章 裁きの仮面
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四話 新しい時代

  

 戦況は一進一退だった。仁座と少女はお互い余計な散財はしたくないのか、最低限の二人ずつ机の上にだして行く。


「……なんかこう、ちまちまと出し合ってるの見てるとイライラするな」

「ジンさん、もっとこうガッと出してこうよ」

「馬鹿言え。なるべく安値で買った方が得だろ。それに無駄遣いできるか。これ一個五千園だぞ。見ろ! 相手はまだ子どもだ。なんだか俺と同じ位人形もってるように見えるけど……きっとありゃほとんどハッタリだ! 親の財布でも盗んだか、後ろのお姉さんに借りてるだけだ。絶対そろそろ音をあげるはずだって――」


 後ろでアドバイスをしてくる二人に異を唱えながら、仁座はコツコツと値を釣り上げる。

 しかし、そのままずるずると商品の値段は上がっていき、やがて両者五十人を過ぎたところで、片方に限界が見えだした。


「く、くそっ、この小娘金持ってやがる!」


 仁座である。


「……なあ、兄ちゃん、もう諦めなって。あんたが無駄に値を吊り上げても、こっちの利益が減っていくだけだ。帰りに買い食いする金がなくなっちゃうだろ」

「うるさい! 男には負けられない意地というものがあるんだよ」


 大の大人が年下の少女、それも見るからに働いてない者に財力で負けるなんてことがあってはならない。

 そんな恨めしげな視線を少女に送るも、相手は余裕の表情だった。


「そうは言うけど、ざっと数えたところ、あんたは残り十人、オレはあと十五人ってところだ。それともまだ使ってない金があんのか?」

「くっ! それは……。嘘だろ? こんなのってないよ」


 感情論を理屈で反論されて、仁座は言葉に詰まるとガックリと首を垂れた。

 どうやらわが軍はここまでのようだ。恨めしそうに諦めそうに目の前にずらりと並ぶ己の吼安君像を見下ろした。

 すると、横から八人の木の吼安君像が置かれた。

 思わぬ援軍に驚き顔をあげると、そこには二人の友人が、


「諦めるな。ジンザ」

「ほんの少しだけど力になるよ」

「お前らっ……!」


 八人ということは、二人で四万園だ。日当三千園の癖して、なんて気前のいい奴らなんだろうと仁座は感激した。

 彼の視線を受けて、照れくさいのか彼らはおどけた様子で笑って見せた。


「豊雲男児は、飛人の女子なんかに負けない。そうだろう?」

「汗水たらして稼いだ金が、子供のお小遣いに負けてちゃ駄目でしょ」

「ああ! そうだよな。もちろん儲けは三等分だかんな!」


 そう言って残りの人形を全部机の上に載せる。これで人形六十八個、計三十四万園、予定より随分と高い買い物になってしまったが、それでも十六万近くの儲けにはなるはずだ。


「卑怯だ! 反則だ! そんなの無しだろ!」


 少女が慌てて店員に異議を唱えた。

 店員は少し考え込むそぶりを見せると、もったいぶるように短く告げた。


「――ありです!」

「よっしゃあ! 努力友情勝利ぃ!」


 仁座達は肩を組み歓声を上げた。


「では、こちらを――」


 その時、三人の熱気に冷や水を浴びせるような凛とした声が横からかかる。

 少女の後ろに控えていた長身の女性が机の上に新たに一つ人形を置いた。


「銅の吼安君……」


 唖然とする三人。銅の吼安君は木の孝安君十人分だ。

 友情の援軍はたった一人の猛将に蹴散らされた。


「勝負あり、ってところだね」


 少女が得意げに笑いながら、仁座の出した額からちゃっかり五千円分だけ上回るように人形を並べた。


「――それはどうでしょう?」


 しかし、その喜びも長くは続かなかった。

 声と共に伸びてきた第三者の手が、一人の伏兵を取り出した。


「銀の、吼安君……!?」


 木の孝安君百人分、並みの猛将では敵わない将軍が両軍を圧倒した。


「御二方、まだ張りますか?……はい。それではこの商品は私のものですね?」


 二人の争いに飛び入りで参加してきた男、蔵持が早口で宣言した。

 どうやらいつの間にか二人の争いを見ていたらしい。


「ふう、危なかった……。蘇芳さんたちの態度から、だいたいこれぐらいの価値はあるんじゃないかと踏んだんですが、どうでしょう?」

「ぐぅっ、当たりです。――でも、横からかっさらうなんてずるいですよ。俺が見つけたのに……」

「そうだそうだ!」


 少女が仁座に同調して叫んだ。


「商人の強かさと思って許してください。ところで蘇芳さん、これはどういう術具なんですか?」


 蔵持は得意げな笑顔を崩さず訊ねる。

 仁座は悔しげに呻りながらも、術具の説明をした。

 説明を聞いた蔵持は思案顔でうなずくと、


「……なるほど。では、蘇芳さんにこの術具の修理を依頼してもいいですか?」

「いいですよ。いっておきますが、修理代は、きっちりもらいますからね」

「それは勿論。料金は弾みますよ。――そうだ! 今夜に私の店に来てもらっていいですか? 実は明日から遠方で急ぎの用事があるんです。本当はここで渡してもいいのでしょうが、一応ちゃんとした仕事として契約書を用意したいので。そうだなあ……」


 蔵持は、そういって少し考え込むと、


「……少し遅くなりますが、今夜九時半以降で何とか時間が取れませんか?」

「今夜ですか? いいですよ。じゃあ、夜の十時前ごろにそっちに伺います」

「おねがいします。では、私はまだまだ買わないといけないものがあるので……」


 蔵持は仁座の了承を聞き満足げにうなずくと、店員に二言三言商品について指示して立ち去った。


「……まだ買う気かよ。あのおっさん金持ってるなあ」

「きっと悪いことしてるに違いないよ」


 畏怖の感情がこもった洋三の呟きに、直澄が嫉妬混じりの小声で返す。


「それよりこの残った大量の吼安君どうしよう」


 渋面で机の上の人形を見下ろす仁座に、ほくほく顔の店員が笑いかける。


「換金所で買い取ってくれますよ」


  ○


「……買い取りに手数料がかかるっておかしくないか?」


 店員からもらった風呂敷に木の人形を包んで換金所に向かいながら、仁座は納得がいかない様子で首を傾げて呟いた。


「畜生っ……大損だ」


 同じように風呂敷を抱えていた少女が、仁座の隣に駆け寄った。


「あんたのせいだぞ。貧乏人の癖に無駄に意地を張るから……」

「えぇ!? 俺のせいか?」仁座は、ムッとした顔で反論する。「お前こそ子供のくせしてこんな場所に来んなよ。異国に来たからって少しハメを外しすぎなんじゃないか?」

「あ? 異国? ……チッ、ガキ扱いすんな。もう自分の責任ぐらいとれる年齢だよ」

「嘘つけ。どうせ親のすねかじってんだろ。高いお小遣い貰ってるからって調子乗りやがって」

「ああ! こいつ言っちゃいけないことを言いやがったな!」


 少女は顔を真っ赤にして怒ると、人形を抱えたまま体当たりをしてきた。仁座はそれを難なく受け止めると、さらに口撃をする。


「何度でも言ってやるよ。そうだ! なんならお前の親に伝えてやるよ。お宅の娘さん、やくざが主催している闇市で見かけましたよってな!」

「げぇっ! ……む、無駄だ。うちの親がそんな与太話を信用するわけないだろ。私が知らないと言えばそれまでなんだよ……なあ!?」


 あからさまに狼狽えた少女は、後ろに立つ長身の女に同意を求めた。


「無理に親を説得しようとするより、いつもみたいに反省文でも書いたほうが手っ取り早いのでは?」

「ちょっと! そういうことばらすなよ」

「子ども扱いすんな、ねえ……子供じゃないか」


 長身の女の提案に顔を赤くして文句を言う少女を見て、仁座は意地悪気に笑った。


「それより、そろそろ会場を後にしないと電車に送れてしまいますよ」


 女はポケットから懐中時計を取り出して時間を確認すると、少女に帰宅をすすめた。


「げっ、もうそんな時間か。……ジンザっつったな。アンタの顔と名前は覚えたかんな。今度街で会ったら覚えてろよ」


 精一杯すごんで見せた少女の脅しも、もはや子供の強がりにしか聞こえなかった。

 仁座は、さっさと帰れとでもいうように手をひらひらと振って興味なさそうな声で返す。


「おうおう、なるべく早く頼むな。異人の顔はあまり見分けがつかんのでな」

「……絶対ぶっとばす」

「ふっ……勝った」


 悔しそうな顔で去っていった少女の背を見送りながら、仁座は得意げに呟く。


「――見ろよ、ナオスミ。あいつ年下の女の子を言い負かして勝ち誇ってるぞ」

「空しい勝利だね」

 

 後ろで囁いている二人の言葉は、聞かなかったことにした。


   ○


 ここ提灯橋ちょうちんばし通りは、綺京にある飲み屋街の一つだ。

 川沿いにずらりと並んだお店は、高い物から安いものまでピンからキリまであり、通りには金持ちから庶民まで様々な層の客が、うろついていた。

 一角にある鍋物屋で、仁座達は鍋を囲んでいた。


「うわー、おいしそう」

「今日は俺の用事に突き合ってもらったからな。奢りだ、たんと食ってくれ」

「へへっ、悪いな」


 三人は手を合わせると、鍋へと箸を伸ばす。


「しかし飛国の人間はやっぱり金持ってんだな」ふと、洋三が言った。

「我が軍は勝利することは叶わなかった。……だが、戦は豊雲の勝利だったな」


 仁座は、自分にも言い聞かせるように言った。

 逃がした魚はデカかったが、異国に貴重な術具が流出しなかっただけ良しとしよう。


「それにしても」仁座は、ガラスのおちょこに入った酒を飲み干し呟いた。「蔵持さんには参ったよ。高いものを片っ端から買ってるんだもん」


 仁座の言葉に、直炭も同調してうなずく。


「いるんだね。あんな高いものぽんぽん買う人……今日だけで僕達の人生二回分くらいの金は使ったんじゃないの」

「やめやめ! 考えてると明日の仕事頑張れなくなっちゃう!」


 洋三が手を振って話を遮ろうとする。

 しかし、直炭はそのまま話を続けた。


「……でも、僕らは明日からもはした金で働いて、たまにこうしておいしい物を食べに行く。それでいいんじゃないかな。これだって数年前まではできなかった新しい生き方でしょ」

「……そうだな。俺達にはこの鍋ぐらいの幸せが身の丈に合っているのかもな……」


 直澄の言葉を聞いた洋三は、鍋を見つめながらしみじみと呟いた。

 そんな真面目な空気を払いのけるかのように、仁座はふき出して笑い声をあげてみせる。


「いや、お前ら鳥鍋とか十分贅沢だから」


 仁座の物言いに、つられて直炭も笑う。


「……ははは、確かに。どちらかというと今僕ら背伸びしてるね!」

「くっそーっ、贅沢は敵だ! 急いで倒さないと! それ! それ!」


 負けじとおどけた様子で、洋三は箸で肉をひょいひょいとつまむと自分の椀に放り込んだ。

 続いた仁座も肉をつまみながら、洋三を注意する。


「おいおい、お前肉ばっかり取りすぎじゃないか? こういうのはな。譲り合いの心が大切なんだぞ。でないと鍋が戦争になっちゃうからな」


「あ……」


 そんな光景を笑って見ていた直炭が、ふと何かに気付いたかのような声をあげた。


「どうした、ナオスミ?」

「……今気付いたんだけど、あんなに金出しあって競うより、あの女の子と相談して、吼安君三つで買った後、もうけを山分けとかしたらよかったんじゃないの? そっちの方が結果的に儲かった気が……」

「……」

「……」


 直澄の言葉を聞いて黙り込む二人。静寂の中くつくつと鍋の沸く音だけが響いた。


「……お前頭いいな」と洋三は言った。

「俺もまだ修業が足りないということか……」仁座も悔しそうに呻く。

「……よし! ナオスミ。肉食え肉」

「俺のもやるよ」

「ええ! そんなにいらないって」


 譲り合うことの大切さ。一つ賢くなった三人は、譲り合いながら仲良く鍋を食べた。


   ○


 時刻はもう九時半をまわっていたが、川沿いの飲み屋街は、まだまだ賑やかな人々の明かりが見える。


 仁座はその通りから、川一つ挟んだ細道を一人歩いていた。

 賑やかな通りは、橋を一つわたるだけで、静かな倉庫街へと変わる。

 外灯は少ないが、白漆喰の壁が月の光を反射して足元は十分に明るく、独り考え事をしながら歩くにはうってつけの路だった。


「新しい生き方、か……。先生との会話を思い出すな」


 仁座は、ぼんやりと月を見上げて呟いた。


 彼が最後に師匠にあったのは、今から五か月前、まだ雪が積もる季節のことだ。

 豊雲国の東部に位置する阿須国州に住むの師匠のもとに、数年ぶりに新年のあいさつに訪れたのだ。


「え? 嘘でしょう先生?」


 向かいに座った白髪交じりの髪を整えた長身の老人、蘇芳請浄すおうしょうじょうの口から出た言葉に、仁座は我耳を疑った。


「嘘ではない」請浄は一言一句違わず同じ言葉を口にした。「我が『鍛心流たんしんりゅう』はお前の代で終わりとする」

「どうしてですか!」


 仁座は、必至な形相で師へと詰め寄った。彼にとって鍛心流の務めはまさに己の人生といっていい。八つの頃に師匠の元へ弟子入りし、修業しながら共に七年間、一人立ちしてから五年、ずっと歩き陰陽師として各地を旅してきた。ようやく自分も一人前になったと思って師のもとへと顔を出した矢先にこの宣告はショックだった。


「俺には後進を育てるような資格がないってことですか!」

「待て待て、勘違いするな」


 請浄は、仁座を宥めた後、文机の引き出しから一枚の紙を取り出した。


「これを見なさい」

「これは……新聞? 」

「どうせお前のことだ。新聞なんぞ呼んではいないだろう。今年の正月、政府によって『明政の四禁』というものが公布された」


 受け取った新聞には、大きく「新時代到来」と見出しが記されており、その横には四つの箇条書きがならんでいた。


 一つ、軍事による国内の問題解決を禁じる。

 一つ、政府の許可なく施設の建造をすることを禁じる。

 一つ、裁判所以外による裁判を行うことを禁じる。

 一つ、国の許可なく異国へ渡航することを禁じる。


 請浄は仁座が読み終えるのを待ってから言った。


「これまで歩き陰陽師に許されていた多くの役割は、今後全てが政府の務めとなる」

「参ったな……うちの流派は法令違反ってことか……」


 仁座は、悔しげに新聞を握りしめた。

 四つの条文のなかでも、とくに重要なのは三つ目の項目だ。

 歩き陰陽師は納めている知識に偏りがあるため、それぞれが得意分野を担当しており、鍛心流は『裁き』の役割を担う。

 代々国中を旅しながら、地方で起きた諍いの仲裁や、目にあまる悪人の処してきた武闘派の流派なのだが、


「国が王を中心に一つにまとまった今、私たちの役目も終わりということなのかもしれん。幸いお前はまだ若いから新しい人生を歩むというのも遅くはあるまい」

「しかし、先代たちはみんな人生駆けて役目を全うしたというのに、俺だけ呑気自由に生きるなんてできません!」

「お前は相変わらず、変なところで真面目だな」


 請浄は苦笑した。納得がいかない様子の仁座を、呆れながらもどこか慈愛の情を感じさせる瞳で諭すように語り掛けた。


「いいんだよ。その時代の人々の成果とは、次の世代に現れるもんだ。お前らには、私達より良い時代を与えることができた。それは、我々にとってとても誇らしいことでうれしいことなんだ」

「でも……」

「まあ、お前が後ろめたさを感じる気持ちもわからんでもない。――そこでだ、お前に九代目『鍛心流』の伝承者として、最後の仕事を与えようと思う」


 急に畏まった師の声音に、あわてて姿勢を正して耳を傾ける。


「お前の持っている祭具、陰陽剣『鳳旋歌ほうせんか』は、昔とあるお方が我が鍛心流の役目の一助となるようにと貸し与えてくれたものだ。そこで、『鳳旋歌』の返却へ赴き、我が流派の職務の完遂と礼を告げて来てほしい。……本当なら私が参上したいところだが、今の『鳳旋歌』の持ち主はお主だ。年寄りが出しゃばるべきではないだろう」


「先生……! この仁座、お役目確かに承りました!」


 何十年と役目を担ってきた師が、弱輩者の自分へと大事な役目を譲ってくれる。師の心遣いに感激しながら、仁座は深く頭を下げた。


   ○


 二階建ての土蔵がずらりと連なる通りを進むと、石造りの橋につながった東西の大通りに出る。その十字路の角にひときわ大きな建物が頭をのぞかせる。

 三階建ての店蔵だ。二階と三階は白い漆喰が塗られた壁に、分厚い鉄製の扉のような窓がはめ込まれており、一階の店舗の屋根には大きく『玉繭蔵』と書かれた看板が、月明かりに照らし出されていた。

 仁座は店の戸を開けようとして取っ手に手をやり首を傾げた。


「あれ? おかしいな……閉まってる。一応誰かは居るっぽいんだけど」


 建物を見上げると、夜なのに三階部分の分厚い段形の窓が一つ開け放たれいて、木の格子の隙間から灯りが漏れていた。


「おーい! 蔵持さん! 蘇芳が来ましたよ」


 開いたままの窓に向けて声をかけるも返事はない。


「あれ?」


 仁座はもう一度首を傾げる。

 見上げていた窓の内から、ちらりと何かが光った。

 やがてふわりと窓格子から蛍火のような燐光が漏れ、それらは夜の空を舞った。


「おいおい……嘘だろ!」


 舞い散る赤光、その正体に仁座は心当たりがあった。

 【燐虫りんちゅう】――最も有名な『赤気』を扱った陰陽術の一つ。炎を生み出す〈赤気〉の流れを強め誘導するだけの簡単な術だ。

 熟練の使い手なら一瞬で建物を火で包むこともできる術でもある。

 仁座は慌てて消火の呪文を考える。

 『赤気』は『陽』の気へと大きく偏った状態だ。つまり対処法は『陰』の気が強まる呪文を考え唱えればいいだけなのだが、


「えーと『夜天は夕暮れを蓋い、暗闇は兵の路を塞ぐ、零露れいろは荒心を潤し――くそっ! 駄目だ! 全然呪文が追いつかない!」


 仁座が呪文を唱えているうちにも、燐光は爆発的に増えていった。

 観念した彼が悲鳴をあげたその瞬間、目前で光と熱の爆発が起こった。



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