表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コウくんと、わたしの物語。  作者: 日暮 絵留
5/7

『黒猫のような君と、僕の物語』外伝5

        ゆうか

「頑張れーッ! お兄ちゃーーーーんッ!」

 堪らず私が叫ぶのと同時に、どこかで別の誰かが叫んでいるのが聞こえた。



        ???

「頑張れーッ! コウくーーーーーんッ!」

 口元に垂れるよだれも拭かずに、ウチは思いっ切り、叫んだ。

 隣でぽかんと口を開けていたミズが一瞬遅れて

「それでも男かーッ! クリリンのことかーッ!」

 と、訳の分からないことを叫んだ。



       ???

「マ・ユ・ちゃーーーーーんッ! ナツは…ナツは、マユちゃんと浩一さんを応援してるよーッ!!」



        浩一8

 ゆうかと、どこの誰かも分からない人たちの声援が響き渡ると、その後次々と、僕を鼓舞してくれるような声が上がった。

「ヘタレ野郎ッ! 今年こそ決めてやれよぉぉぉぉーッ!」

「黛さんを幸せにしてやれぇぇぇーッ!」

「羨ましすぎるぞ神崎浩一ぃぃぃッ! リア充、爆発しろぉぉぉぉぉッ!」

 少し前までオスカー先輩に向けられていた『帰れコール』よりも数倍大きな、力強い声の波が『浩一コール』となって、僕の耳に―――いや、胸に突き刺さった。

 おそらく会場の後ろの方の人には全く見えていないはずなのに、覚醒した僕が口を開こうとすると、何故かすべての声がぴたりと止んだ。


 張り詰めた、静謐とすら呼べる空気の中で、僕は彼女への素直な気持ちを伝える―――。



 好きです。麻友さん。



 僕と、結婚して下さい。





        麻友7


 ―――はい―――。





        浩一9


 その瞬間、これまで聞いたどんなものよりも盛大な拍手が場内に広がった。


 麻友さんはたった一言だけ、―――でも、僕が聞きたかった言葉を発した後、ついに泣き崩れた。


 僕が彼女に駆け寄るのと同時に、二人を祝福する喝采の声が上がった。



 それらが止むことはなかった。



 いつまでも、いつまでも―――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ